77 / 111
9 大浴場
7
しおりを挟む
「もう、洗わせてもらえないのか・・・」
ガックリと面白いくらいに肩を落としてぼやく木曽。「お前、なんかしたんじゃねーの?」と築花に問われ、真剣に考え込んでいる。これまで木曽は、千里と入浴時間が重なったときは欠かさず願い出て、2、3回に一度は許可を得れていた。αの能力ではなく、千里の器の大きさにあこがれている木曽にとって、その背中に触れ、疲れを癒やす一助となり得る意味は大きい、らしい。群れの一端として鋼を通して役に立つのではなく、直接千里本人になにかさせて欲しいと常に願っていても、なにせ、それをリーダーの鋼が阻むのでチャンス自体が早々無いのだ。千里が一人で風呂場へ向かうときがあれば教えてほしいと頼まれていた身としては、そこまでするのかと呆れつつも完全に拒まれた今の状態を若干不憫にも思う。
(まぁ、胡麻みたいに問答無用で一撃喰らうよりかはマシだろう)
群れの執行役を担う木曽は、千里に隠れて動くことが多くそばにいる時間も少ない。今後は、鋼が千里のガードを更に上げているから極端に減るだろう。
「そう、気を落とすなよ。俺が一回群れを出されたときなんか、食堂で手を振っても挨拶しに行っても無視されてたんだぞ。背中洗えないくらい、全然温い」
「・・・いや、俺はお前と違ってドMじゃねーから」
「俺だってドMじゃねーわっ」
キャンキャン騒がしくなってきた下級生に胡麻が「うるせぇ」と割り込み、なぜかドM三人組がどれくらい鋼に酷いことをされてきたかを競い始める。
本日の一撃を浴びた胡麻の話を直に聞き(漆戸から事前に説明はしている)、「うぉおーっ、センパイの本気の一撃浴びてぇーーーっ」と瞳を輝かせる築花は間違いなくドM優勝だ。峯森が未来の変態上司から目を背け、星空を仰いで現実逃避に走っている。
「お前も大概されてんだから、入ってきたらどうだ?」
「いや、俺は大丈夫だ」
漆戸は、浴槽の隅で大人しくしている葛籠に声を掛けたが遠慮される。同室歴ほぼ6年、誰よりも鋼と長い時間一緒にいるのだからエピソードには事欠かないと思うのだが。
「おい、追加で話がある。築花、お前みたいな笹部さん信者は除いて」
「ふふん」
ドヤ顔をする築花に、漆戸は半目。鋼に傾倒していることを揶揄し、わざわざ信者と呼んでも喜ばれてしまうのはなぜだろう。(深く考えないでおこう)
「穂高さんがさっき木曽に触れてほしくない素振りを見せ、笹部さんはそれを嬉しそうに見ていたのを確認した者もいるだろう。穂高さんに触れようとする人間は、尽く排除するぞ。嫌な予感しかしないからな」
「教師もか?」
攻撃された胡麻が、手を上げて確認してくる。
「笑って許されそうなレベルだったか?」
「まさか!ってことは、教師も生徒も、なんなら学園の外でもってことかよ」
「生徒会から退いたから、学園の外に出向く機会は無いと思うが。もし、一人で外出されるようなことがあれば随行する」
「そこまで必要かぁ?」
千里に重きを置かない築花は疑問視。
「俺が張り付くっっ」
一方木曽は、勢いよく立ち上がり、漆戸に迫って猛アピール。漆戸は、顔にかかる飛沫を手で払いのけながら頷いた。
「わかった、わかった。そのときは木曽を優先させる」
「ヨッシャーーーーーッッッ」
両拳を天井高く上げて喜ぶ木曽。(まぁ、笹部さんが一人にしそうに無いけどな・・・)漆戸は、明日から授業に出る鋼と千里の周りで問題を起こさないよう、それぞれの群れに細心の注意を払えと厳命した。
ガックリと面白いくらいに肩を落としてぼやく木曽。「お前、なんかしたんじゃねーの?」と築花に問われ、真剣に考え込んでいる。これまで木曽は、千里と入浴時間が重なったときは欠かさず願い出て、2、3回に一度は許可を得れていた。αの能力ではなく、千里の器の大きさにあこがれている木曽にとって、その背中に触れ、疲れを癒やす一助となり得る意味は大きい、らしい。群れの一端として鋼を通して役に立つのではなく、直接千里本人になにかさせて欲しいと常に願っていても、なにせ、それをリーダーの鋼が阻むのでチャンス自体が早々無いのだ。千里が一人で風呂場へ向かうときがあれば教えてほしいと頼まれていた身としては、そこまでするのかと呆れつつも完全に拒まれた今の状態を若干不憫にも思う。
(まぁ、胡麻みたいに問答無用で一撃喰らうよりかはマシだろう)
群れの執行役を担う木曽は、千里に隠れて動くことが多くそばにいる時間も少ない。今後は、鋼が千里のガードを更に上げているから極端に減るだろう。
「そう、気を落とすなよ。俺が一回群れを出されたときなんか、食堂で手を振っても挨拶しに行っても無視されてたんだぞ。背中洗えないくらい、全然温い」
「・・・いや、俺はお前と違ってドMじゃねーから」
「俺だってドMじゃねーわっ」
キャンキャン騒がしくなってきた下級生に胡麻が「うるせぇ」と割り込み、なぜかドM三人組がどれくらい鋼に酷いことをされてきたかを競い始める。
本日の一撃を浴びた胡麻の話を直に聞き(漆戸から事前に説明はしている)、「うぉおーっ、センパイの本気の一撃浴びてぇーーーっ」と瞳を輝かせる築花は間違いなくドM優勝だ。峯森が未来の変態上司から目を背け、星空を仰いで現実逃避に走っている。
「お前も大概されてんだから、入ってきたらどうだ?」
「いや、俺は大丈夫だ」
漆戸は、浴槽の隅で大人しくしている葛籠に声を掛けたが遠慮される。同室歴ほぼ6年、誰よりも鋼と長い時間一緒にいるのだからエピソードには事欠かないと思うのだが。
「おい、追加で話がある。築花、お前みたいな笹部さん信者は除いて」
「ふふん」
ドヤ顔をする築花に、漆戸は半目。鋼に傾倒していることを揶揄し、わざわざ信者と呼んでも喜ばれてしまうのはなぜだろう。(深く考えないでおこう)
「穂高さんがさっき木曽に触れてほしくない素振りを見せ、笹部さんはそれを嬉しそうに見ていたのを確認した者もいるだろう。穂高さんに触れようとする人間は、尽く排除するぞ。嫌な予感しかしないからな」
「教師もか?」
攻撃された胡麻が、手を上げて確認してくる。
「笑って許されそうなレベルだったか?」
「まさか!ってことは、教師も生徒も、なんなら学園の外でもってことかよ」
「生徒会から退いたから、学園の外に出向く機会は無いと思うが。もし、一人で外出されるようなことがあれば随行する」
「そこまで必要かぁ?」
千里に重きを置かない築花は疑問視。
「俺が張り付くっっ」
一方木曽は、勢いよく立ち上がり、漆戸に迫って猛アピール。漆戸は、顔にかかる飛沫を手で払いのけながら頷いた。
「わかった、わかった。そのときは木曽を優先させる」
「ヨッシャーーーーーッッッ」
両拳を天井高く上げて喜ぶ木曽。(まぁ、笹部さんが一人にしそうに無いけどな・・・)漆戸は、明日から授業に出る鋼と千里の周りで問題を起こさないよう、それぞれの群れに細心の注意を払えと厳命した。
2
あなたにおすすめの小説
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる