失恋の特効薬

三日月

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悠介が日時を尋ねると、なんと明日の14時から挙式らしい。
知り合いに尽く断られ、でも一人で行く勇気もなく、最後の頼みは悠介しかいないんだとまで言われると断りづらい。

挙式前に顔を出すだけなら、一時間もかからないだろう。
そんなことに、兄弟間で今からお金のやり取りをするのは如何なものか。

悠介はこれからのことも考え、引き受けることとお金はいらないことを伝えた。


「ゆ、ゆぅちゃん、良い子ぉぉおおおおおー!」


即時、感動した瞬から再び拝まれ疲れる悠介。


「あの、この年でちゃん付とかして欲しくないです」

「わ、ごめんね、気を付けるね。
なんか、つい、ちゃん付けしちゃうんだよね」

「俺、お客じゃ無いんで」

「了解っ」


悠介にお願いが承諾されると、瞬の笑顔は一際明るく輝いた。
きっと、これまでもこれからもこの笑顔にお金を払う人がいるんだろうな。
悠介が今まで家で見てきた、気を使いながらの強張った笑顔に比べると別物だ。


「あの、俺、式場に行くような服って制服しかないですよ。
まぁ、俺が直接会うわけじゃないだろうから、普段着でも大丈夫ですよね?」

「ふだ・・・んんっ
い、一応、ほら、式場の敷地には入っちゃうからね?
お兄ちゃんの服を貸すよ!
あと、お金を出すのでカット・・・が無理ならせめてヘアセットはしてくれない、かなぁ、なんて」

「まぁ、髪はそろそろ切ろうとは思ってたんで助かりますけど。
そこって、普段瞬さんが使ってる店、ですか?」


ホスト専用サロンに連れて行かれ、色を抜いたり、染めたり、特殊な髪型にされるのは避けたい。
悠介の警戒心を察した瞬は、大丈夫だよ、と特に気分を害した様子なく答えた。


「俺の幼馴染がしてる店に今から予約捩じ込むから」


・・・捩じ込む?
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