20 / 195
はじまりの鬼2
しおりを挟む
角無し鬼は、迫ってくる御子息を微動だにせず迎えた。
「角がない鬼は、人と契った鬼なんだヨ。
角を無くした鬼は、真名を奪われその人を守ってくれる。
代わりに人は、契った相手に糧を提供する。
そういう決まりごとになってるんだヨ」
そうなったのは、現当主になってから。
それまでの関係は。
契った人の矛となり。
仲間であった鬼を手にかけ。
その盾となり、傷つき倒れ。
仲間だった鬼に殺される。
角無し鬼の大半は、使い捨てにされてきた。
過去の一方的な服従は、身を守るためだったとしてもいき過ぎていた。
「あったところに、角が無いだろう?
あの場にいたのは、キミとこの方だけだろう?
この世でキミ以外に、『はじまりの鬼』と契れる人間なんていないんだから」
頑なに閉じていた御子息の瞳が、お師匠様のわずかに怒気をはらんだ声に促され。
軽く頭を垂れたその頭部。
そこを目にして、更に見開かれる。
「な、い」
お師匠様が手を離すと、よほど衝撃だったらしい。
御子息は視線はそこからそらさず。
膝からその場に崩れ落ちた。
「大丈夫か、我が主」
角無し鬼は、現当主とお師匠様の話を肯定するように。
今も混乱する御子息に跪き、言葉をかけている。
低く、甘いテノール。
その声に含まれる労わりが。
形式ではなく。
この御子息に、あの『はじまりの鬼』が下っていると知る。
その瞳と髪は、目にしたものを呑み込むような漆黒の黒。
見る人を魅了する容姿は。
内包する力を物語る。
現場では、遠目からではっきりと見えていなかった。
特に、空腹を示す青い唇。
ここまで色を変えているのに、動いていられるなんて。
目の前の、極上である契った相手に糧を求めず。
青ざめた表情のまま。
相手を労わるなんて・・・ありえない。
空腹も底をつけば、どれほど強い鬼も角無し鬼も死ぬというのに。
「この方と我々の今のルールでは、いろいろと違ってるところもあるだろうし。
雅ちゃんがそのあたりをしっかり相手に聞き取ってね」
空腹が何を示すかわかっているはずなのに。
現当主は、『はじまりの鬼』の状態には一切触れず。
混乱したままの御子息に丸投げした。
「角がない鬼は、人と契った鬼なんだヨ。
角を無くした鬼は、真名を奪われその人を守ってくれる。
代わりに人は、契った相手に糧を提供する。
そういう決まりごとになってるんだヨ」
そうなったのは、現当主になってから。
それまでの関係は。
契った人の矛となり。
仲間であった鬼を手にかけ。
その盾となり、傷つき倒れ。
仲間だった鬼に殺される。
角無し鬼の大半は、使い捨てにされてきた。
過去の一方的な服従は、身を守るためだったとしてもいき過ぎていた。
「あったところに、角が無いだろう?
あの場にいたのは、キミとこの方だけだろう?
この世でキミ以外に、『はじまりの鬼』と契れる人間なんていないんだから」
頑なに閉じていた御子息の瞳が、お師匠様のわずかに怒気をはらんだ声に促され。
軽く頭を垂れたその頭部。
そこを目にして、更に見開かれる。
「な、い」
お師匠様が手を離すと、よほど衝撃だったらしい。
御子息は視線はそこからそらさず。
膝からその場に崩れ落ちた。
「大丈夫か、我が主」
角無し鬼は、現当主とお師匠様の話を肯定するように。
今も混乱する御子息に跪き、言葉をかけている。
低く、甘いテノール。
その声に含まれる労わりが。
形式ではなく。
この御子息に、あの『はじまりの鬼』が下っていると知る。
その瞳と髪は、目にしたものを呑み込むような漆黒の黒。
見る人を魅了する容姿は。
内包する力を物語る。
現場では、遠目からではっきりと見えていなかった。
特に、空腹を示す青い唇。
ここまで色を変えているのに、動いていられるなんて。
目の前の、極上である契った相手に糧を求めず。
青ざめた表情のまま。
相手を労わるなんて・・・ありえない。
空腹も底をつけば、どれほど強い鬼も角無し鬼も死ぬというのに。
「この方と我々の今のルールでは、いろいろと違ってるところもあるだろうし。
雅ちゃんがそのあたりをしっかり相手に聞き取ってね」
空腹が何を示すかわかっているはずなのに。
現当主は、『はじまりの鬼』の状態には一切触れず。
混乱したままの御子息に丸投げした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる