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強制力1
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現当主は、まだ帰ってこない。
御子息の身体から消えていた光が。
再び輝きを取り戻す。
現当主から預かっていた扇で、御子息に風を送り。
徐々に光は収まるけれど・・・手を止めると、すぐに押し返してくる。
扇ぐのを止められない。
単調だが、地味に手首がだるくなる。
瑠璃丸に代わりを頼めば壊されそうだし。
まさか、お師匠様に交代は頼めないし。
目の前で、角無し鬼から見下ろされ。
顔を赤くしたり、青くしたりしているこの御子息を見ながら。
ひたすら、扇ぎ続ける。
御子息は、俺たちのことは全く視界に入れず、角無し鬼に迫っていた。
「ォ、俺が、その、主だって言うなら。
命令は、ちゃんときくんだよな??」
声、裏返ってますけど・・・本当にこの御子息、大丈夫なんだろうか。
真名を知られた鬼は、その相手に縛られる。
命じられれば、意思に反していても優先して動かされてしまう。
むやみに、命令ってつけないほうがいいのに。
隣のお師匠様は、何も教える気が無いようで。
腕組をして傍観モード。
後ろの瑠璃丸は、おんぶ状態で私にもたれて来る。
先ほどまでの緊張感、無くなった~
「俺だけを、喰えよ!」
あ、バカがいる。
さすがにこの状態でまずいんじゃ・・・
「お師匠・・・」
「大丈夫だ、と・・・リアンが、言ってた」
お師匠様も顔をしかめているじゃないですか!
最後のほうなんて、モゴモゴ言い過ぎて聞き取りにくいですよ!
こんなお腹すかした状態で喰えって命令してしまったら!
主であるはずの御子息の手を乱暴に払い。
角無し鬼の手がその首筋を捕らえる。
力任せに引き寄せ、その首に牙を立て。
あふれる血がその喉を潤す。
痛い、今のは痛いだろう!
深く、必要以上に刺さった牙。
肉が抉られ、致命傷になりかねない。
なのに。
御子息は顔をしかめながらも声を出さず。
恐る恐る角無し鬼の背に手を回し。
血に塗れたローブを、ギュッと握って耐えていた。
「うまそう~」
親指を噛みだす瑠璃丸から強い視線を感じるが、無視。
さ、さっき、た、食べさせてるし。
我慢してもらおう。
私の気がそれている間に。
もっとよこせと、首筋の牙に力を込められ。
「・・・ひぐっっ、ィ、てぇっ」
さすがに、悲鳴が漏れる。
ようやく正気に返った角無し鬼は。
見ている私が気の毒なほどに。
自分がしでかしたことに硬直・・・
刺さったままの牙を首から抜いて。
あふれ続ける噛み跡を。
許しを請うように舌でなぞり、穴を綴じた。
御子息の身体から消えていた光が。
再び輝きを取り戻す。
現当主から預かっていた扇で、御子息に風を送り。
徐々に光は収まるけれど・・・手を止めると、すぐに押し返してくる。
扇ぐのを止められない。
単調だが、地味に手首がだるくなる。
瑠璃丸に代わりを頼めば壊されそうだし。
まさか、お師匠様に交代は頼めないし。
目の前で、角無し鬼から見下ろされ。
顔を赤くしたり、青くしたりしているこの御子息を見ながら。
ひたすら、扇ぎ続ける。
御子息は、俺たちのことは全く視界に入れず、角無し鬼に迫っていた。
「ォ、俺が、その、主だって言うなら。
命令は、ちゃんときくんだよな??」
声、裏返ってますけど・・・本当にこの御子息、大丈夫なんだろうか。
真名を知られた鬼は、その相手に縛られる。
命じられれば、意思に反していても優先して動かされてしまう。
むやみに、命令ってつけないほうがいいのに。
隣のお師匠様は、何も教える気が無いようで。
腕組をして傍観モード。
後ろの瑠璃丸は、おんぶ状態で私にもたれて来る。
先ほどまでの緊張感、無くなった~
「俺だけを、喰えよ!」
あ、バカがいる。
さすがにこの状態でまずいんじゃ・・・
「お師匠・・・」
「大丈夫だ、と・・・リアンが、言ってた」
お師匠様も顔をしかめているじゃないですか!
最後のほうなんて、モゴモゴ言い過ぎて聞き取りにくいですよ!
こんなお腹すかした状態で喰えって命令してしまったら!
主であるはずの御子息の手を乱暴に払い。
角無し鬼の手がその首筋を捕らえる。
力任せに引き寄せ、その首に牙を立て。
あふれる血がその喉を潤す。
痛い、今のは痛いだろう!
深く、必要以上に刺さった牙。
肉が抉られ、致命傷になりかねない。
なのに。
御子息は顔をしかめながらも声を出さず。
恐る恐る角無し鬼の背に手を回し。
血に塗れたローブを、ギュッと握って耐えていた。
「うまそう~」
親指を噛みだす瑠璃丸から強い視線を感じるが、無視。
さ、さっき、た、食べさせてるし。
我慢してもらおう。
私の気がそれている間に。
もっとよこせと、首筋の牙に力を込められ。
「・・・ひぐっっ、ィ、てぇっ」
さすがに、悲鳴が漏れる。
ようやく正気に返った角無し鬼は。
見ている私が気の毒なほどに。
自分がしでかしたことに硬直・・・
刺さったままの牙を首から抜いて。
あふれ続ける噛み跡を。
許しを請うように舌でなぞり、穴を綴じた。
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