鬼ごっこ~あのこがほしい~

三日月

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修行編(瑠璃丸&京一郎) 3

鬼隠しの代償 side 雅

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俺のしてしまったことは。

光を抑えるために、鬼隠しを選択。
周りのことも、その後のことも全然頭に無かった。
想像以上に身体も傷ついて完治するまで一ヶ月。
学校に行くのはゴールデンウイークまで待つように、父さんにも母さんにも釘を刺された。

春休み中に終わらせなくちゃと、焦って。
その結果が・・・これ。
すでに、一学期が始まってるし。
京一郎も俺に付き添ってくれてるし。

それに、それに。

「黒曜・・・どこいったんだーっ!」

鬼隠しの夜から、5日目。
黒曜の姿が消えていた。


謝ろうとするのをやめさせたのが、3日目の朝。
昨日は、京一郎が包帯や薬を塗る様子とか。
離れた場所で見ていて。
今朝、起きたらログハウスから居なくなっていた。

やっぱり、怒らせた・・・んだよな。
黒曜には、物置小屋であんなことされてたから安易に考えてた。
いくら‘我が主’と言われる立場になってても、俺が傷ついて済むならとしか思ってなかったし。

「雅、そんなに怒るとあとでまた熱出すよ」
「・・・自分に怒れて止まらないんだよ」

階段下から京一郎に心配される。

この山に連れてこられるまで、面識も無かったのに。
京一郎には下の世話までしてもらってるし。
情けなすぎる。

枕を抱きしめ、溜め息をその中に閉じ込めた。

風呂場で黒曜のあの大きさを見て、切れたりはするだろうと予想はしてたんだけどな~
想像以上の惨状。
だからしばらくは、点滴で栄養補給。
マットレスから出歩くのも禁止。
流動食も止めておけと、毎朝夕点滴の付け替えに来てくれる男に言われた。

どこかで見た顔だなと、初めはわからなかったけど。
いろんな雑誌で、モデルをしているMIROKUさんだと思いだし。
話しかけたら、少し言葉を交わすようになった。
まだ、学生だから違法なんだけどなと言いながら。
慣れた手つきで点滴を変え、京一郎になにかしら指示をして帰っていく。
俺を最初に介抱してくれた白銀さんも、話し相手として一緒に連れてきてくれたり。

確か、医大生で、モデルで、未婚の子持ちで。
しかも、神宮寺家でも働いていて。
忙しいのに、俺のことまでさせてることになる。

黒曜に舐めてもらえば、傷口は治癒できたことを思い出して。
今日は、あれから全然触れてこない黒曜に傷の治療を頼もうかと思ってたんだけどな。
調子良すぎたか・・・

ただ、寝て、寝て、寝て。
自分が治るのを待つしかない。
黒曜を探しにいくことすらできない。

俺の傷、治さなくていいから。
傍に居て欲しい。

傷つけた黒曜からしたら、傷ついた俺を見るたび苦しめるのはわかってるんだけど。

あー、もう、俺って本当に馬鹿猫だなっ
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