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弥勒過去編(瑛二&白銀)
鬼落ち
余裕の笑顔で角無し鬼が近づいてくる。
僕は、僕は。
もう、覚悟は出来ていた。
真名を、無差別に口にする。
「おまえっ!!」
角無し鬼の顔が、初めて歪んだ。
僕の策を知り、焦ってももう遅い。
ここに逃げてくるまでの間。
契りの呪縛から抜け出したばかりの鬼達の。
三角クラスを狙い真名を何体も奪った。
奪った相手がその真名を繰り返すことで、契りは完成する。
お前が鬼落ちを防ぐために。
自分の力を、最小限に落としたところで。
僕は、器以上の真名を告げて契りを結べば。
僕の鬼落ちを止める術はないっ
「なんてこと、するんだ!?
俺がお前を見つけるまで、どれ程待ったと思うんだっっ」
わなわなと震える角無し鬼の、その額に。
角が再び生え出す。
身体が、熱い。
頭が痛いっ
息が、喉が、焼けるっ
割れるように、ガンガンと打ち鳴らしているのは心臓の鼓動か・・・?
服を破り、皮膚を裂き、内側から新たな肉体が顔を出し始める。
立っていられず、膝を折る僕に。
鬼は、白夜の宮は、目を潤ませていた。
この反応は、意外だな。
「オレの花嫁になれば、ずっとずっと傍で愛でてやったのに。
濡羽色のその瞳も、緋色の唇も、オレのものになったのに」
その言葉で。
僕の策が正し答えを導けたことを知った。
やっぱり、鬼になってしまえば嫁には出来ない。
痛みより、安堵が上回る。
あぁ、だけど。
鬼落ちしても、僕の記憶はそのままだ。
白すぎる掌と、なぜか浴衣を着ているこの身体。
百夜の宮の角は、完全に元に戻っていた。
僕の身体も、変化を終えていた。
「僕を、殺すのか?」
鬼の知覚が、相手の強さをびりびりと肌が震えるくらい知らせる。
格が違う。
「人間と違い、鬼は同士討ちを好まない。
鬼となったお前にも、もう、興味はない。
眷属にもする気さえ起きないっ」
苛立ちを隠さず、百夜の宮はその姿を消した。
・・・この後のことは、考えていなかったな。
僕は、足元に転がる刀を慎重に手に取る。
あれだけ頼りにしていた刀が。
わずかに力加減を誤れば、簡単に折れてしまうのがわかる。
あぁ、この身になれば、夜目も効くんだな。
崖下にごろごろ転がる人の死骸と砂の山。
残りの鬼たちは、姿を消している。
これで、何も口にせず。
時間が経てば。
何れ砂となって、この身体は崩れ落ちる。
空腹での死は、つらいだろうか?
そう、考えている僕が・・・続かない。
会いたい、会いたい
瑛二に、会いたい
ぐるぐると、心の中を占領する気持ち。
謝らなくては、当主としてしまうこと。
それに、この刀を渡さなくては。
違う、違うっ
そんなこと、理由になんてならないっ。
謝ったところで、変わらない。
刀はこの場に残して消えればいい。
誰も戻らない、異常事態に気付いた偵察係が回収してくれる。
頭と心が、一致しない。
会いたい、会いたい
瑛二に、最後に、会いたい
こんな姿で、会ってどうなる。
鬼落ちした家族なんて標的にしかならないっ
最後に、会いたい
最後に、会いたい
最後に、会いたい
会って、どうするんだっ
瑛二にこの身体を切らせることになる。
瑛二に、殺されたい
瑛二が始めて殺す鬼になりたい
瑛二の心に、有り続けたい
最後に、会いたい
最も強い思いに、振り回される。
自分が本当に望んでいるところまで、全てを削ぎ落とされる。
自分の願いを、突きつけられる。
なんて、馬鹿げた思考なんだ。
瑛二に鬼を殺させるなんて。
一番、したくなかったことなのに。
最後に、会いたい
僕が、それを望むのか。
僕は、僕は。
もう、覚悟は出来ていた。
真名を、無差別に口にする。
「おまえっ!!」
角無し鬼の顔が、初めて歪んだ。
僕の策を知り、焦ってももう遅い。
ここに逃げてくるまでの間。
契りの呪縛から抜け出したばかりの鬼達の。
三角クラスを狙い真名を何体も奪った。
奪った相手がその真名を繰り返すことで、契りは完成する。
お前が鬼落ちを防ぐために。
自分の力を、最小限に落としたところで。
僕は、器以上の真名を告げて契りを結べば。
僕の鬼落ちを止める術はないっ
「なんてこと、するんだ!?
俺がお前を見つけるまで、どれ程待ったと思うんだっっ」
わなわなと震える角無し鬼の、その額に。
角が再び生え出す。
身体が、熱い。
頭が痛いっ
息が、喉が、焼けるっ
割れるように、ガンガンと打ち鳴らしているのは心臓の鼓動か・・・?
服を破り、皮膚を裂き、内側から新たな肉体が顔を出し始める。
立っていられず、膝を折る僕に。
鬼は、白夜の宮は、目を潤ませていた。
この反応は、意外だな。
「オレの花嫁になれば、ずっとずっと傍で愛でてやったのに。
濡羽色のその瞳も、緋色の唇も、オレのものになったのに」
その言葉で。
僕の策が正し答えを導けたことを知った。
やっぱり、鬼になってしまえば嫁には出来ない。
痛みより、安堵が上回る。
あぁ、だけど。
鬼落ちしても、僕の記憶はそのままだ。
白すぎる掌と、なぜか浴衣を着ているこの身体。
百夜の宮の角は、完全に元に戻っていた。
僕の身体も、変化を終えていた。
「僕を、殺すのか?」
鬼の知覚が、相手の強さをびりびりと肌が震えるくらい知らせる。
格が違う。
「人間と違い、鬼は同士討ちを好まない。
鬼となったお前にも、もう、興味はない。
眷属にもする気さえ起きないっ」
苛立ちを隠さず、百夜の宮はその姿を消した。
・・・この後のことは、考えていなかったな。
僕は、足元に転がる刀を慎重に手に取る。
あれだけ頼りにしていた刀が。
わずかに力加減を誤れば、簡単に折れてしまうのがわかる。
あぁ、この身になれば、夜目も効くんだな。
崖下にごろごろ転がる人の死骸と砂の山。
残りの鬼たちは、姿を消している。
これで、何も口にせず。
時間が経てば。
何れ砂となって、この身体は崩れ落ちる。
空腹での死は、つらいだろうか?
そう、考えている僕が・・・続かない。
会いたい、会いたい
瑛二に、会いたい
ぐるぐると、心の中を占領する気持ち。
謝らなくては、当主としてしまうこと。
それに、この刀を渡さなくては。
違う、違うっ
そんなこと、理由になんてならないっ。
謝ったところで、変わらない。
刀はこの場に残して消えればいい。
誰も戻らない、異常事態に気付いた偵察係が回収してくれる。
頭と心が、一致しない。
会いたい、会いたい
瑛二に、最後に、会いたい
こんな姿で、会ってどうなる。
鬼落ちした家族なんて標的にしかならないっ
最後に、会いたい
最後に、会いたい
最後に、会いたい
会って、どうするんだっ
瑛二にこの身体を切らせることになる。
瑛二に、殺されたい
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瑛二の心に、有り続けたい
最後に、会いたい
最も強い思いに、振り回される。
自分が本当に望んでいるところまで、全てを削ぎ落とされる。
自分の願いを、突きつけられる。
なんて、馬鹿げた思考なんだ。
瑛二に鬼を殺させるなんて。
一番、したくなかったことなのに。
最後に、会いたい
僕が、それを望むのか。
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