テリトリー

三日月

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エピローグ

「じゃ、コイツ貰いますね」

「「どうぞ」」


薬師一族の本家からやってきた弁護士、刑事部長の叔父、そして俺の両親。
全員示し合わせた様に池内に頭を下げて快諾。
三谷は唸るしかない。
自分の隣で微笑む池内のうなじには、三谷があの日付けた歯型が残る。
あの場で死かΩかを迫った三谷に、池内は朦朧とした頭で「死にたくねぇ」と答えた。

叔父に夜中に潜入することを事前に告げ、二時間連絡がなければ手を打ってほしいと保険は作っておいた。
廊下で番う二人を見てしまった従兄弟とは、あれから一ヶ月経つが顔を合わせていない。

身体がΩとして固定するまで、池内は薬師一族の息がかかる病院に隔離されていた。
薬師一族の説明と朧気な記憶を繋ぎ合わせ、なんとか現実と向き合っている。
あのときはこうするしか無かったのだと、直接言い訳してこない三谷の株が彼の中で密かに上がっていることはまだ知られていない。

巻き込まれた池内には、『オメガバース』の事情が全て話され、これから薬師一族が生涯謝罪を尽くす示談も済んだ。
残るは、番ってしまった三谷との関係だ。
池内は、「じゃあ、ください」と公安部に引き入れること、公私ともに相棒になることを提案した。

三谷にも薬師一族にも選択権など残されていない。
あっさりと契約は締結した。

元締めも捕まり、事件自体は収束に向かっているが、Ωに変わった人間はどうやら池内だけでもないらしい。
現代に現れたΩとその番の話はこれからが本番だ。
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