時空快盗 銀鳩:シルバーピジョン

モンブラン伯爵

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出発

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 覆面の男が去った後、青年いやシルバーピジョンは手に持っていた工具を他のそれが入った銀色のボックスに放りいれた。そして建物の奥の方に向かって「オージーちょっと来てくれ」と声を張りながら言った。
 すると建物の奥から何やらカシャッカシャッっと音を立てながら人形の何かが歩いてきた。
「お坊っちゃまなにかご用で?」奥から歩いてきたのは少し古めかしい二足歩行型ロボットだった。この頃では珍しくゴーグルカメラアセットを使用した作りで、カメラやセンサーは頭部のゴーグルのような部分に集まっている。ただ、何回か改造や修理が繰り返されているようで通常では使われない戦闘ロボット用の部品も体のあちらこちらに見られた。
「もうそろそろ出発だからグレインを準備しといてくれ」シルバーピジョンは作業着を脱ぎながらそう言うと錆びた自動ドアを通って自分の部屋へ入っていった。
「かしこまりました」オージーは早速シルバーピジョンが整備していた機械、グレイン、に荷物を入れたり、翼の部分を点検し始めた。
 シルバーピジョンは部屋にはいると、一番奥の壁の円柱型のガラス張りの保管スペースに入っていた灰色の特徴的な服一式を取り出した。彼は肌着を着た後、肩や胸、膝、肘、首、手の甲の辺りに合金のプレートが付けられた灰色の伸縮性のある繋ぎを身につけた。そしてその上から内側にいくつもの武器をしまうことのできる黒色のコート、最後にバックルのある灰色のベストを着た。
丁度シルバーピジョンが着替えを終えた頃オージーが部屋のドアをノックした。
「失礼します、お坊っちゃま」そう言うとオージーは自動ドアからゆっくりと顔だけを覗かせた。
「坊っちゃん、出発の準備ができました」オージーは丁寧な口調で報告するとゆっくりと去っていった。
「オーキードーキー」シルバーピジョンはそう陽気に応答すると、オレンジ色に彩飾された合金製の耳から口までを覆い隠すマスクのようなものを顔に身に付け部屋を出た。
 シルバーピジョンが部屋から出るとオージーはすでに、先ほどシルバーピジョンが整備していた乗り物の前で待ち受けていた。
「行きましょうお坊っちゃん」オージーはそう言うとグレインの中へ入っていった。シルバーピジョンもそれに続いた。
 二人は機体の前方にある操縦席と副操縦席についた。操縦席に座ったシルバーピジョンがレバーを奥へ少し倒した。すると機体がゴー、っと音を立て、小刻みに震え始めた。同時にオージーが天井のスイッチを押した。すると建物の天井が開き、大きな穴が開いたかと思うと床が機体と共に上昇し始めた。床が最後まで上りきると折り畳んでいたいくつもの翼が開き、ゆっくりと機体が浮上した。
「よし」シルバーピジョンはハンドルを手で握り、レバーを最大限に倒した。途端にグレインは大きな唸り声を上げて飛び立った。飛び立ってまもなく機体はドームバリアーを飛び抜け、いくつもの貨物船や旅客船の間を綺麗にくぐり抜けた。
「気をつけて下さいね、お坊っちゃん」オージーは心配そうにシルバーピジョンに注意する。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ」シルバーピジョンは軽く聞き流し、いかにも楽しそうに操縦を続けた。ある程度の高度に達したところでシルバーピジョンがオージーを横目に彼に指示を出した。
「準備はできてるよね」そうシルバーピジョンが確認するとオージーは、
「当たり前です、お坊っちゃま」と返答し、天井のいくつかのスイッチを切り替えた。
「しっかり掴まってください!」オージーはそう言うと赤い取っ手を引いた。
 その瞬間、強く機体が揺れたかと思うと周りの景色がパラパラと剥げ落ちるかのように消えていき、いつの間にかグレイン号は真っ白な空間を飛行していた。まるで白いキャンバスのなかをさ迷うようだった。そして数秒後、次は景色がペタペタと張られていくかのように現れはじめた。彼らが見たのは先程とは真反対の景色、漆黒の宇宙だった。
   「着きました、ボドゥ=マナですよ坊っちゃん」




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