僕の初恋

humi

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第2章

これが、恋①

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泉さんとトモ君が家に入るのを見守ってから、車に乗り家路に着いた。

僕等が今日、本当の親子のように見えたのは素直に嬉しかった。

でも、どうして嬉しいのかはわからない。

でも、2人のことを考えると嬉しくて楽しくて笑顔になる。

これが本当の友達というのかもしれない。

その結果に満足したが、後にこれが恋だと早く気付かなかった事を後悔した。

ーーー

今日僕の誕生日だ。

歳が歳なので、盛大にはしないが、従業員と兄弟、何人かの友人を呼んだ。

その中には泉さんとトモ君も入っている。

早く会いたいと思うが、そういう時に限って時間が経つのが遅い。

あゆみちゃんから、向かってるというメールを見て、泉さんも一緒かなとまたドキドキ。

そういえば、先日あまりにも動悸がするので精密検査をしてもらった。

結果待ちなので、まだわからないが、悪くない事を祈る。

ピンポーン

ドキっ!

そこには友人の2人が。

またピンポーン

ドキっ!

今度は兄夫婦と、双子の子供。

何度もインターホンが鳴るが待ち兼ねている2人はまだだ。

今日の僕は主役だ、招待客の相手もしなくてはならないので、泣く泣く出迎えるのを諦めて秘書に代わりをお願いした。

それから数分もしないうちに

「おじちゃーん!」

声が聞こえた。

後ろを振り向くと、トモ君が走ってくる。

その笑顔に癒され、走ってくるトモ君を受け止める。

すぐに担ぎ上げ、元気か??と聞いたら、うん!と返事が来る。

そのすぐ後には、シックな黒のシンプルワンピースを着た泉さんと、相変わらずド派手なあゆみちゃんが来た。

あゆみちゃんに隆さん❤︎と言われながら腕を首に巻かれ、ほっぺにキスをした。

いつもはこれが普通なのだが、今日はトモ君を抱っこしてるので、異常にウザいと思ってしまった。

「子供の前では止めてくれ」

「あら、真面目なのね」とふてくされた顔で愚痴る。

正直不貞腐れようが、拗ねられようが、僕には関係ない。

子供の前でする行為では無いと思うからだ。

「泉さん、こんばんは。1週間ぶりですね。」

「あ、はい、こんばんは!お招きいただきありがとうございます。凄く素敵なお家ですね」

僕とあゆみちゃんのやり取りを見て少し頬を赤らめた泉さんにドキマギしながら、普通を装い話しかけた。
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