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第3章 復讐編

ズルい人

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アサヒsideーーー




ビリっと音がして、
サルさんがドレスの裾を破いた。


俺はドレスの仕様なんて分からないけど、
中にズボンのようなものを履いていたみたいで、
いつものサルさんらしい姿に少し安心する。






綺麗だったーーとても


今でも長い赤茶色の髪は目を惹くほど美しくて、
切れ長の目はうっとりと細められている。


俺が一瞬でもドキッとしてしまったから


きっとラシルさんは‥



俺もそこまで鈍感じゃない。
なんとなく、ラシルさんの気持ちは気づいてる。




だけど
ぎこちない二人の間に、少しでも入る隙間があるんじゃないかって


俺に優しくしてくれた人

なんだかほっとけない人

かっこよくて‥俺を救ってくれて‥





サルさんよりも、今はずっと近くに‥


そう思ってたのに


「ッくそ‥サルファーッ」






そんな距離なんて、すぐ埋めてしまうんだ。







サルさんはズルい‥








「‥排除する‥」


虚ろな目でこちらに近づいてくるサルさん。

この状態は、確か
ラシルさんが言っていたターゲット、

第一王子のクロスのスキル、絶対支配ーーー



あの王族の証である赤い目と目を合わせると、
支配の暗示にかかってしまう厄介なスキルだ。



先にそれを聞いていた俺達は対策済みだけど‥




「チッ‥予定変更だぁ‥。サルを取り押さえとけ。その間に奴を殺す‥」




イライラする‥



こんなの


ただの
足手まといなのに‥



「‥おい、犬ぅ‥、お前はサルを‥っ、‥?」



なんで‥

いつもは切り捨てるくせに‥


モヤモヤはどんどん奥に広がって、
真っ黒い感情が胸の中に渦巻く






「おい」



「ラシルさん言ってましたよね‥足手まといは切り捨てろって‥。仲間を犠牲にしてでも任務を遂行しろって‥
俺はッ‥相手がサルさんでも、




ラシルさんから貰った‥任務の為に戦いますッ‥」



「っ、」



ラシルさんの為なら‥
俺は‥なんだってできる



あの人とは違うんだッ





「‥俺は覚悟できてますよ。


貴方のために、
サルさんだって殺す覚悟をーー」








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