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第1章 冒険の始まり

そんなこんなで田中

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‥‥




そんなこんなで俺は今





「た、助けてくれぇ‥」




魔物の群れの中にいる。





いや、なんでやねん!!
おかしいやろおおお!?



遡る事、3日前や、
あの会議以降、トントン拍子で進んでいく勇者の冒険への準備。

村上の事は、なんとなく話の流れで薄れていった事にも驚いたが、
まあ、アイツらの脳内は異世界やから、俺は知らん。






1日目に行ったのが、
魔力測定。

魔力量と属性が測れる特殊な水晶に手を触れるだけで、全てが分かるあれ。
俺はすでに確認済みやったから、王女さんにその事を伝えたら見学になった。

倉本さんから、挑戦して、
属性は緑で、魔力量も高い方らしい。
そしてなんと【聖女の守り】という、特殊な防御スキルを持ってる事が判明した。

スキルってのは稀に現れる特殊な能力らしい。うん、俺はない。

因みに、王女さんは【王者の盾】というこれまた凄い防御スキルを持ってるらしい。
うん。このパーティ防御力高め

次に木下が測定して、
奴が触れた瞬間、粉々になった水晶をみて、その場にいた異世界の人は皆驚いてた。
全属性に判定不能の魔力量。
スキルも多数で覚えてない。

はいはい、予想通りですね。



そして、2日目
このアクア王国に伝わる水の聖剣、アクエリアスを木下が抜きに行く事。

結果はもちろん
抜けた。そりゃもう簡単に。
スポンと音がした時は、もう俺失笑。

すぐに城に帰って、
相部屋が嫌すぎたので、変えてもらった一人部屋を満喫。
爆睡した。





そして
3日目‥




「おい木下ぁあッ!?まだかー?!」


「あと少しだ!!」




グルルル‥ーー

 


冒険出発‥
早すぎるってほんま‥


目の前の魔物を観察する。
真っ黒なドロドロしたゾンビみたいな狼の群れ。


グロい‥




森にはいって数分で囲まれる始末。
そして俺は見事に囮となる。




グキャァーー




「おいいいいっ!?きのしたあああああッ!!はよ助けてくれな死ぬううううッ!!」



木下に至っては、女の子達に守られながら、レベル上げ中。
勘弁してください。
こんな事なら、最後にルクさんに会って癒されとくべきやった‥。

はあ‥女神様‥一目でいいから会いたいです‥。





グルガッッーーー




ついに我慢できなくなったのか、俺を食べようと大きな口を開くゾンビ犬。
死ぬーー瞬時にそう思い、俺は叫んだ。





「ぎゃあああああッーーー」




刹那、
ぐしゃりと嫌な音がして、
俺のテンションはダダ下がり




「よっと、‥ふぅ‥そんなに急かすなよ、相棒?」


「お、まえ‥」



決めてるとこ悪いけどさ‥

俺、返り血で吐きそう‥
まじで無理。帰らせてくれぇ‥





オボロロ‥おえ
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