希望を歌う悪の姫

花村 ネズリ

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聖女召喚

兄弟

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クラン「ラピスのお兄さんって、オニキス・クローリーだよね。どうして、ラピスはお兄さんを‥その‥」



知っているのですね‥
まあ、悪名高い方ですから


風が、クラン様の髪を撫でる




「‥ただ‥哀れだからですわ‥。」



クラン「哀れ‥?」


そう‥哀れなのです‥あの人はずっと‥



「わたくしが、生まれたことにより、お兄様の人生は地獄の道になりました。
いっそのことわたくしを恨めばいいものを‥見下し、蹴落とせばいいものを‥。

あの方は、誰よりも醜くて誰よりも‥本当は優しいのです。

クローリー家などに生まれてこなければ‥
きっと真っ当な人間になっていたでしょう。」




ーーー母様!ラピスが僕の名前を呼んだんだ!!凄いでしょ?!1番に覚えたんだよ!僕の名前を!へへ!!






私が生まれなければ、
あの人を孤独にする事も、母様が死ぬ事もなかった。
全て私のせいです。

それなのに‥あの人は何処までも‥



私を見捨ててはくれない‥





クラン「ラピス‥君は‥お兄さんが大好きなんだね」



、大好き‥


愛情の言葉の一種。
分からないのです。私には、その感情が言葉がどのようなものなのかも


目の前の赤い髪を見つめる。
素直、純粋、汚れのない瞳ーー
ずっと知りたかったのかもしれません。
この方なら

私は口を開き、恐る恐る問いかける事に致しました。






「ッ、だい、すき‥とは‥、どのような事なのでしょう‥」


期待を込めた目でクラン様を見つめる。
好奇心、
例えば
夢見た絵本の中のお姫様と王子様のような‥
例えば
家族で笑い合う家庭の風景‥


私が、どこかで求めて、そして諦めているもの



クラン「え、ええ!?えっと‥ど、どう説明したらいいんだろ‥温かいもの?‥いや、好きってのはもっとこう‥あああ!?ダメだ!俺頭悪いから、うまく説明できないよ!?」



「そう、ですか‥」


クラン「ゔ、‥ご、ごめんね?」


あら、困らせてしまいましたね


「ふふ‥、いいのです。ただ貴方に聞いてみたくなっただけです‥そうですね‥リン様も‥ルドのことが、大好きなのでしょうか‥?」



クラン「え、リンが?」


「辛い時や悲しい時に、意中の殿方に頼りたくなると、そう本で読みましたわ。」


クラン「そういえば‥リンはやけにリカルドにこだわってる気が‥ええ!?もしかしてそうなの!?で、でもまださっき会ったばかりだよ!?」


「一目惚れかしら‥」


クラン「ほえ‥ひ、一目惚れ‥」





「素敵、ですわね‥」



物語の始まり‥それは幸せの物語‥
私はそれを眺める読者といったところでしょうか?


ほんとに‥





羨ましいですわ
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