希望を歌う悪の姫

聖女召喚

散歩

‥‥




「いつまで、繋いでいるおつもりですか」


クラン「んー？ラピスが独りぼっちだって思わないように、ね？ 」


「はあ‥」


鬱陶しい‥


聖女さまの元へ戻ればいいものを、
散歩しようなどと馬鹿ですかこの方は


これではわたくしの計画の邪魔でしかありませんわ‥。



クラン「もう、そんな顔しないでよ？ほら、笑顔だよ、笑顔ー！」


女子生徒が見れば、叫び出すであろう王子のスマイルは、
残念ながら、今はわたくしの機嫌を損ねるものでしかありません。



「‥。」


どうせ無理矢理作っても、この方にはお見通し。
それなら、無理に微笑む必要がありませんわ。


クラン「‥、ごめんね。やっぱり怒ってるよね‥。俺、いつもお節介で皆んなを怒らせちゃうからさ‥」


「自覚しているのなら、今後その能力は使わないことが最適ですわ。」



私のように、内に秘めていればいいものを‥。
能力を全面的に使用するのが間違いですわ。


人間という生き物は、
心の奥底の深い闇を隠しながら生きているのですから。



ずっと離れない手のひらから伝わる温度は冷たくて、
緊張しているのがわかる。



嫌われるのが怖いのですねーー



このおバカさんは、正義感が強すぎますわ