7 / 14
早い
しおりを挟む突如現れた黒い空間。
こいつら、何者やねん‥
岡を守るように前に出る。これでも風紀ですから。生徒の安全第一。
「おっと、ポケットもこの世界には存在しないのか‥驚かせてしまい申し訳ない。先程も話したが、俺たちはこの世界とは別の異世界から来た異世界人だ。
」
「いや、ポケットの規模が違いすぎるだろ!!」
困った顔をした金髪。震える岡が俺の背後に隠れてプルプルしながらもナイスツッコミをかます。
「う、嘘じゃ‥なかったんだ‥あんなの‥見せられたら、信じるしかない‥。」
全くもってその通り‥。俺はまだ半信半疑やけど‥タネも仕掛けもありませんって感じやし‥これは‥人生で経験することのないような体験なんやろう。
「姫様ッやっと俺達の話を信じてくださったんですね!」
急に緑色の髪をした奴が目を輝かせて岡に詰め寄ってくる。大人しそうな雰囲気やし、なんか空気で忘れてたけど、こいつも仲間か。だがな、岡は俺の背後にべったりくっついてるからサンドイッチ状態やねんな。
すかさず緑色くんの顔面を手で押さえた。
「ゔむッ、なにをしゅるのでしゅ!?!」
それはこっちのセリフや。
「いや、近いなって思って。」
「離してください!!貴方、先程から姫様にベタベタとっ!!一体どういう関係ですか!?」
グイっと引っ張られる襟元。
さっきから荒々しくて怖いわ俺。
異世界人って野蛮なんかな?
でもさ、こいつ身長低いから、めっちゃ‥いじめたくなるタイプ
あかんあかんッ何考えてんねん!?早く自体を収集して報告しに行かなあかんのにッ
「‥襟が伸びるから離してくれます?」
おっそろしい顔でメンチ切られてるけど、どないしよ。
俺が途方に暮れていると、岡が俺を庇うように前に出てきた。
「その手を離せ!東はっ俺の親友だ‥。傷つけたら許さないから!あ、あと、、俺は姫じゃないッ」
はて、いつから親友になったんや、、
岡の言葉に驚いたような顔をした緑色がしぶしぶ腕を下ろす。
あら、素直。
でも襟はしっわしわッ
「親友とは知らず‥無礼な真似をっ、失礼しました‥。」
頭を下げる緑色は、情けなく涙目でびっくりした。
なにこいつ‥そそ、られ‥ッく、我慢するんやっ、殺されたいんかッしっかりせえ!
「もう‥でさ、その姫ってのは何者なんですか‥?俺に瓜二つとか、魔王に狙われてるとか‥なんか嫌な予感がするんだけど‥」
俺が欲望と戦っている間にも、岡は淡々と話を進めていく。
こいつ、普段はのんびりして頭も悪いけど、こういう時にはしっかりしてるからほんま凄いと思うわ。
「姫様は‥その、凄く、美しくて‥お優しくて‥頭も良く、それでっ」
「いや、外見とか性格とか興味なくて!どういう存在なのか、教えてほしいんですが!」
「も、申し訳ありませんッ」
喋っては怒られて。ああ、可愛いなこいつの表情。絶望とそれから‥あかん、またや‥
俺がため息をつきかけた時、金髪の王子みたいなやつが真剣な声色で話し出す。
「姫様は‥俺達の国の王の第一子。第一王女であられる。魔王は彼女に執着していてな‥。手に入らぬならば奪ってしまえと俺達の国に戦争を仕掛けてきたんだ。そこで預言の剣により選ばれし勇者として、俺達は彼女を守り、魔王を討ち亡ぼす使命を与えられた。だが俺達は‥魔王との対戦中に、後一歩のところで時空間魔法でこの世界へと飛ばされてしまった‥。」
ええ、王様に、姫に?魔王に時空何ちゃら魔法?ほうほう。それはそれは。
なんか、小学生の時に流行ったゲームみたいな話やな‥流石異世界。この話をあの鬼にしたとして、果たして俺は無事でいられるんやろか?
「ひ、姫様と魔王はどうなったんだよ‥?お前らの世界に野放しになったのか‥?」
岡が引きつった顔で金髪さんに問いかける。
嫌な予感してんねんやろな。確信してんねんやろ岡。
お前、巻き込まれてまっせ。ぷぷ、
「いや、姫様は間一髪のところで、このジェノがお逃がしになられた。今頃城へと帰還なさっているだろう。しかし、魔王はしつこくてな、交戦しているうちに、俺達と共にこの世界へ‥」
「そん、な‥じゃ、じゃあ、‥う、」
今にも白目むきそうな岡を支える。
フラフラしててなんか様子が‥
「ああ、この世界の何処かに存在しているだろう。そして、姫様がいない今、狙うのは」
刹那、金髪さんの言葉を遮って、鳴り響く爆音。
気づけば真っ黒な影のようなものに俺と岡は捕まえられる。
なん、なん、これッ
「姫様、みーつけたッ!!」
黒い煙から現れる男。
驚く面々。
だけど、流れでなんとなくわかるその存在。
「えぇ‥魔王きちゃったけど‥どうするん‥?」
異世界って展開早い。
1
あなたにおすすめの小説
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。
※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました!
えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。
※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです!
※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜
COCO
BL
「ミミルがいないの……?」
涙目でそうつぶやいた僕を見て、
騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。
前世は政治家の家に生まれたけど、
愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。
最後はストーカーの担任に殺された。
でも今世では……
「ルカは、僕らの宝物だよ」
目を覚ました僕は、
最強の父と美しい母に全力で愛されていた。
全員190cm超えの“男しかいない世界”で、
小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。
魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは──
「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」
これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)は、見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良ワーウルフの悪友(同級生)まで……なぜかイケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、異世界学園BLラブコメディ!
毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる