初恋は儚く散りゆくが、また俺は君に恋をする

花村 ネズリ

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第1章

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「桜田ってほんと苦手だよ‥いつも目がギラギラしてる‥なんだか、狙われた獲物みたいな気分になるんだよね‥」


「意外だな‥アイツは誰にでも慕われていると思っていた。苦手な奴もいるのか‥それより、お前、生徒会誘われていたんだな。入らないのか?」


教室に戻りながら、そんな事を話す。

自分の体をさすりながら、桜田の話をするスバルは、よっぽどアイツが苦手らしい。

まあ、スバルの言う意味がわからなくもない。

スバルを見る桜田の目は異常だった。
なんといあか、サイコパス‥いや、これは個人的な恨みからきているな‥


「あ、当たり前だよ!!あんな奴がいる生徒会に入るより、鉄朗と居る方が数倍幸せだし!」


俺の手を握るスバルに苦笑いする。
スバルの母ちゃんも言っていたが、
俺離れできるのか心配だ。


いつかお互い別々の道を行く。そうなれば、
将来いつまでも一緒ってのは難しいだろうしな。

今の内に、俺以外の誰かと親しくして慣れていかないと‥





「転校生くんは~どんな子が好きなタイプ~?」


「ふ、え!?僕は、その‥ぼ、僕を、ま、守ってくれる人、かな‥?」



「か、可愛い~!!」


教室の入り口の前まで来たところで、相田と先程の男の声が聞こえて動きを止める。

ああ、そういえば変な奴が‥

転校生って事は、今朝相田が話していたあれか。


「‥そうだ、転校生がって、スバル?」



「何あの猫被り男ッ‥絶対裏があるよ!騙されたらダメだよ鉄朗!!」


扉から顔を出し爪を立てて男を威嚇するスバルに顔が引きつる。

機嫌が悪いからだろうか。転校生に対してやけに厳しい。つか顔怖えよ


「お、おう‥」




「っ、あ!て、鉄朗くん!!どこに行ってたの?」


気づかれた‥
トテトテと駆け寄ってくる姿がどこか懐かしく感じて首をかしげるも、
すぐさまスバルの視線を感じて、プリプリと怒ったポーズをする男に適当な嘘をつく。


「‥別に‥便所」


「む‥嘘!さ、サボってたんでしょ!」

バレるのが早い。
つか


「‥お前には関係ないだろ‥」





「ッ、ぼ、僕の事‥もしかして‥嫌い‥?」


っ、唐突すぎる質問だ。予想外。
目をウルウルさせるところとか、
すっげえ見覚えがあるのだが、
はてどこだったか



「は?いきなり何?」


「ご、ごめん‥僕ってその‥空気読めなくて、いつも疎まれるから‥分かってるんだけど、なかなか、なおせなくって‥その‥馴れ馴れしかった?」


「まあ、かなり‥」


基本、寝ているのを邪魔されるのは好きじゃない。
自分で言うのもなんだが、
俺の幸福の半分は睡眠で出来ていそうだ。




「ッ、い、嫌な思いしたよね‥ごめんね‥」


素直に謝るか‥
印象は悪くないな


「‥いや、構わない。」


「っ!」


目を見開いたそいつから視線をそらす。
そらしたのはいいが、すぐさまスバルに腕を掴まれて、コソコソと耳元で囁かれ俺の精神は病みそうだ。

眠たい‥


「っ!?ちょちょ、ちょっと、て、鉄朗!チョロすぎだよ!?」


「え?何が?」


「ああいうのは適当に流さないと」


「は?だから流しただろ、適当に」


「っ~、鉄朗は自分の魅力に気づいてない!!」


「‥?」


魅力‥?何のことだ‥
たまにスバルはおかしな事を言うから理解不能。
こう言う時は、黙って首を傾げればいい。


「ゔう‥もう、仕方ないんだから‥そ、そそそそそ、この、君!!て、てて鉄朗は、ひと、人見知り、だ、だから!!ああ、あんまり、近づかないで、あげて、く、くくください!!」

そしたら面倒ごとは避けられる‥って、
自分から突っ込んでいくなよ馬鹿‥


「へ?え、えっと‥?貴方は‥?」


「ひっ!?お、俺のことはき、きききにしないでっ、て、鉄朗~!?!?」


俺の背後に隠れるスバルに呆れる。
馬鹿だ。正真正銘の馬鹿だ。


頭にはてなマークを浮かべる転校生。
それを楽しそうに見る相田。こいつ楽しんでやがるな



「なにしてんだ‥人見知りはお前だろうが‥」


「ゔ~」


唸るスバルを無視して自らの席へ戻る。
授業開始のチャイムと共に講師が入って授業が始まった。

そして俺はいつも通り夢の中へ‥


そう、

いつも通り、いつも通りだ‥


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