13 / 22
第1章
13
しおりを挟む‥
「桜田ってほんと苦手だよ‥いつも目がギラギラしてる‥なんだか、狙われた獲物みたいな気分になるんだよね‥」
「意外だな‥アイツは誰にでも慕われていると思っていた。苦手な奴もいるのか‥それより、お前、生徒会誘われていたんだな。入らないのか?」
教室に戻りながら、そんな事を話す。
自分の体をさすりながら、桜田の話をするスバルは、よっぽどアイツが苦手らしい。
まあ、スバルの言う意味がわからなくもない。
スバルを見る桜田の目は異常だった。
なんといあか、サイコパス‥いや、これは個人的な恨みからきているな‥
「あ、当たり前だよ!!あんな奴がいる生徒会に入るより、鉄朗と居る方が数倍幸せだし!」
俺の手を握るスバルに苦笑いする。
スバルの母ちゃんも言っていたが、
俺離れできるのか心配だ。
いつかお互い別々の道を行く。そうなれば、
将来いつまでも一緒ってのは難しいだろうしな。
今の内に、俺以外の誰かと親しくして慣れていかないと‥
「転校生くんは~どんな子が好きなタイプ~?」
「ふ、え!?僕は、その‥ぼ、僕を、ま、守ってくれる人、かな‥?」
「か、可愛い~!!」
教室の入り口の前まで来たところで、相田と先程の男の声が聞こえて動きを止める。
ああ、そういえば変な奴が‥
転校生って事は、今朝相田が話していたあれか。
「‥そうだ、転校生がって、スバル?」
「何あの猫被り男ッ‥絶対裏があるよ!騙されたらダメだよ鉄朗!!」
扉から顔を出し爪を立てて男を威嚇するスバルに顔が引きつる。
機嫌が悪いからだろうか。転校生に対してやけに厳しい。つか顔怖えよ
「お、おう‥」
「っ、あ!て、鉄朗くん!!どこに行ってたの?」
気づかれた‥
トテトテと駆け寄ってくる姿がどこか懐かしく感じて首をかしげるも、
すぐさまスバルの視線を感じて、プリプリと怒ったポーズをする男に適当な嘘をつく。
「‥別に‥便所」
「む‥嘘!さ、サボってたんでしょ!」
バレるのが早い。
つか
「‥お前には関係ないだろ‥」
「ッ、ぼ、僕の事‥もしかして‥嫌い‥?」
っ、唐突すぎる質問だ。予想外。
目をウルウルさせるところとか、
すっげえ見覚えがあるのだが、
はてどこだったか
「は?いきなり何?」
「ご、ごめん‥僕ってその‥空気読めなくて、いつも疎まれるから‥分かってるんだけど、なかなか、なおせなくって‥その‥馴れ馴れしかった?」
「まあ、かなり‥」
基本、寝ているのを邪魔されるのは好きじゃない。
自分で言うのもなんだが、
俺の幸福の半分は睡眠で出来ていそうだ。
「ッ、い、嫌な思いしたよね‥ごめんね‥」
素直に謝るか‥
印象は悪くないな
「‥いや、構わない。」
「っ!」
目を見開いたそいつから視線をそらす。
そらしたのはいいが、すぐさまスバルに腕を掴まれて、コソコソと耳元で囁かれ俺の精神は病みそうだ。
眠たい‥
「っ!?ちょちょ、ちょっと、て、鉄朗!チョロすぎだよ!?」
「え?何が?」
「ああいうのは適当に流さないと」
「は?だから流しただろ、適当に」
「っ~、鉄朗は自分の魅力に気づいてない!!」
「‥?」
魅力‥?何のことだ‥
たまにスバルはおかしな事を言うから理解不能。
こう言う時は、黙って首を傾げればいい。
「ゔう‥もう、仕方ないんだから‥そ、そそそそそ、この、君!!て、てて鉄朗は、ひと、人見知り、だ、だから!!ああ、あんまり、近づかないで、あげて、く、くくください!!」
そしたら面倒ごとは避けられる‥って、
自分から突っ込んでいくなよ馬鹿‥
「へ?え、えっと‥?貴方は‥?」
「ひっ!?お、俺のことはき、きききにしないでっ、て、鉄朗~!?!?」
俺の背後に隠れるスバルに呆れる。
馬鹿だ。正真正銘の馬鹿だ。
頭にはてなマークを浮かべる転校生。
それを楽しそうに見る相田。こいつ楽しんでやがるな
「なにしてんだ‥人見知りはお前だろうが‥」
「ゔ~」
唸るスバルを無視して自らの席へ戻る。
授業開始のチャイムと共に講師が入って授業が始まった。
そして俺はいつも通り夢の中へ‥
そう、
いつも通り、いつも通りだ‥
0
あなたにおすすめの小説
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか
まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。
そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。
テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。
そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。
大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン
ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。
テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。
本当に悪役なんですか?
メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。
状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて…
ムーンライトノベルズ にも掲載中です。
【本編完結】死に戻りに疲れた美貌の傾国王子、生存ルートを模索する
とうこ
BL
その美しさで知られた母に似て美貌の第三王子ツェーレンは、王弟に嫁いだ隣国で不貞を疑われ哀れ極刑に……と思ったら逆行!? しかもまだ夫選びの前。訳が分からないが、同じ道は絶対に御免だ。
「隣国以外でお願いします!」
死を回避する為に選んだ先々でもバラエティ豊かにkillされ続け、巻き戻り続けるツェーレン。これが最後と十二回目の夫となったのは、有名特殊な一族の三男、天才魔術師アレスター。
彼は婚姻を拒絶するが、ツェーレンが呪いを受けていると言い解呪を約束する。
いじられ体質の情けない末っ子天才魔術師×素直前向きな呪われ美形王子。
転移日本人を祖に持つグレイシア三兄弟、三男アレスターの物語。
小説家になろう様にも掲載しております。
※本編完結。ぼちぼち番外編を投稿していきます。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる