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卵騒ぎ/金鷹
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しおりを挟む「ティアリーゼいるかな?」
「いる。帰ってくるとこ見たから」
「……もしかしてさっきまで二人のところにいたの?」
「置いてって悪かったよ。でもお前もいなかったじゃん」
「それはそうだけど――」
「いいからあとにしようぜ。そいつが孵ったら俺たちの手に負えねぇぞ」
「そうだね。ちょっと待ってて」
セランが慌てた様子で毛布をかき集めてくる。
卵はなにも知らずに脈打っていた。
そうしてセランと卵を連れ、キッカは再びシュクルのもとへ向かった。
事情を説明し、どうすればいいかを尋ねる。
「どうせお前んとこまですぐ来られるし、向こうで親が見つかるまで預かっててくれねぇか?」
「気が進まない」
「そんなこと言わないの。困っている人がいるんだから、助けましょう」
ティアリーゼがそっと言い、シュクルは憮然としながらもキッカの言葉に頷いた。
「さすがに俺にはお前っぽい奴の育て方なんてわからねぇしなー」
「鳥ならわかるの? あんまりキッカが子育てするところは想像できないんだけど……」
「んなこと言ったら、俺だってお前がそうしてるとこ想像できねぇよ」
「相変わらず仲良しなのね、二人とも」
ふふ、とティアリーゼが笑ったのを見て、シュクルが嬉しそうにしている。
「他の方の子供かもしれないけど、今後のためにきちんと対応すると誓うわ。ご両親が早く見つかるといいわね」
「ありがとう、ティアリーゼ。迷惑かけてごめんね」
「いいのよ。鳥と爬虫類じゃ全然違うでしょうし……」
そう言って、ティアリーゼはシュクルを見上げる。
「あなた、爬虫類なの?」
「わからない」
「少なくとも鳥じゃないわね」
「シュクルってトカゲじゃないの? だったら爬虫類だと思うよ」
「じゃあ、やっぱりそうなのかしら……?」
セランの言葉に、ティアリーゼは困った顔をする。
シュクルは自分がなにであるか大して気にしていないようだった。
「まぁ、それじゃ後は頼んだ。……セラン、帰るぞ」
「えっ、もう? ちょっとだけティアリーゼとお喋りしたい……」
「また今度な。連れてきてやるから」
「絶対だよ。勝手に一人で行かないでね」
「はいはい」
名残惜しそうにしながら、セランはティアリーゼに手を振る。
ついでにシュクルにも振ったようだが、さすがに手を振り返してはくれなかった。代わりに尻尾が振られていたが、いつもそうしているせいでセランに応えたのかどうかわからない。
大きな卵を預け、キッカはセランを乗せて再び空を駆ける。
なんだかとても気疲れする一日だ、と思いながら。
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