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イベリスの見た景色 3
しおりを挟む「ぶわああぁ~……極楽っす~」
長い時間歩いて疲れがたまった身体が、お風呂に入って解きほぐされていく。
ウチ的には暑い時期こそ熱いお湯に入るのが、さいこーに気持ちいいと思う。なんと言っても、お風呂上りに身体が火照ったまま食べるアイスがさいこーにたまらない。
「……まさか、あんなところで先輩に会うだなんて思ってなかったすね」
ちゃぽん、と肩の先まで湯船に沈ませ、そんなことを呟いた。お湯から香るアロマの匂いが、深いリラックスをもたらしてくれる。
アロマの香りがする入浴剤は、いいことがあった日に使うお気に入り。
つまりウチは、今日一日をいい日だったと思っているということだ。
今日あそこに行ったのは、別に新しい服が欲しかったからとか、そういうんじゃない。
せっかくの日曜日に朝から暇を持て余していたウチは、何か面白い事でもないかなーなんて考えていた。その時、なんとなくショッピングモールにでも行ってみようかな、と思いついたのだ。
そこには特に理由もなく、そしてなんの根拠もなく、ふと『あそこに行けば何かいいことがあるかも』って、本当にただなんとなくそう思っただけだ。
……その『なんとなく』の行動で先輩と会ったのは、まさかの予想外だったけど。
なんとなく思いついて。なんとなく足を運んで。
その結果、先輩とばったり出会う。
そんな偶然、本当にあるんだなぁ……。
……どうしてウチは、あんな『なんとなく』を思いついたのだろう。本当にただの偶然? 何かしらの直感とか?
それとも――ロマンチックな言い方をすれば、運命……とか?
「いや……いやいやいや、運命って。そ、それじゃまるで――」
まるで、ウチが先輩に会いたがっていた、みたいな。
「……ち、違う違う。会いたがってたとか、そんな…………違う、っすよね?」
じゃあ、会いたくなかった? ……それはない。会えてうれしかったかうれしくなかったかで言えば……そりゃあ、どちらかで言えばうれしかったけど……。
で、でもそう思うのと会いたがっていたって思うこととはまた違うはず。今日会ったのが先輩じゃなくて違う友達とかでも、ウチはうれしく思ったに違いない。
そう、友達と会えてうれしいと思うのは間違っていないはずだ。ウチと先輩だって、その関係はただの同じ部活仲間だけでなく、仲のいい友達同士とも言えるのだから。
「仲のいい友達と偶然会って嬉しく思うのは……普通、っすよね?」
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