恋愛ビギナーと初恋イベリス

からぶり

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エピローグ2 イベリスの花言葉

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「そうだ先輩! 連絡先交換しましょーよ!」
「うえっ!? あ、そ、そうだね、その方が便利だもんね!」
「というかそもそも、今まで知らなかったのがおかしかったんすけどね」

 ほら、同じ部活なんすし――と、それっぽい建前を言いつつ、お互いのスマホを向け合う。

 本当は、ただ先輩との目に見える繋がりが欲しかっただけっすよ――そんな本音を、隠しながら。

「……えへへ」

 トークアプリに表示される先輩の名前を見て頬が緩む。ただ連絡手段を得ただけで、なんだかぎゅっと距離が縮まったような感じがした。

 きょ、今日の夜とかに早速電話しちゃおっかなー……な、なーんて。


 ……ほんとにしちゃおっかな。
 先輩の周りには翠泉先輩と西木先輩っていう強敵がいるんだから、負けないためにもっと積極的にならなきゃダメだろうし……。


 さっきだって、どうやって夏休みにも先輩と会う口実を作るかを悩んでいたけど、先輩が誘ってくれるまで何もできなかった。こういうところで自分から誘って、積極的にアピールしなきゃいけないのに……。

 しかも嬉しすぎてつい『一番楽しみにしてる』って口が滑っちゃったし……へ、変な子だって思われてないよね?

 ……こんなんじゃダメだ。このままだと、いつまでたってもウチと先輩の関係は変わらない。

 もっともっと、積極的にならないと。だってウチは、ライバル候補の翠泉先輩や西木先輩と違って、年下の一年生なんだから。学年が違うと言うのは、それだけで大きく不利だって自覚しなくちゃ。

 せっかく出来た、初めての好きな人。

 初恋は実らないってよく聞くけど、だから何だと言うのか。今の関係のままで満足するつもりはさらさらない。だってウチは、欲張りなんだから。

 先輩、覚悟してくださいね? ウチ、遠慮するつもりはないですから。

 これでもかってくらいアピールして、先輩の方から告白したいと思わせるくらいウチのことを好きになってもらうんだ。ウチの本気を見せてあげますよ!

 本気を出すのは、明日から? 早速明日から本気を出す? いやいやそんな。明日からなわけがない。そんなの時間がもったいないでしょ?


 今日から――いや、今からだ。

 今から本気で、先輩を攻略するっすよ!


 これまで好きな人がいなかったウチは、当然彼氏が欲しいなんてことも考えたことはなかった。
 考えたことがないのだから、どうすれば先輩を彼氏に出来るのかなんてことももちろんわからない。
 でもだからって、何もできないわけじゃない。

 まずウチがやるべきなのは、自分をアピールすること。そして、先輩の気を引くこと。
 それにほら、一人で考えても分からないなら、誰かに聞けばいいって言うじゃない?
 なんたってここには、その相談をするのにうってつけの人がいるんだもん。

 だからとりあえず最初は、こんな相談から始めてみようと思う。


「ねぇ先輩。どうすれば彼氏って出来るんすか?」
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