生殺与奪の代償魔術(サクリファイス) ~世界最強の魔術師って呼ばれてるけどチートを使うたびに相棒の服がはだけていく仕様だから心が痛い~

からぶり

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第一部

プロローグ

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 あるところに、それはそれは大きな蛇がいた。

 その身体は山と見間違うほどの巨大で、全身は魔法を跳ね返す強靭な鱗で覆われており、さらに炎・雷・毒と異なる性質の息吹を吐き出す三つの頭を持つ邪悪な蛇である。

 その三つ首蛇の前に、青年と少女の二人が立ちふさがった。

「……本当に、いいのか?」

 念を押すように青年は言う。
 すでに三つ首蛇は二人の存在を捉え襲い掛かろうとしているのにもかかわらず、青年は蛇には目も向けず、少女を見つめていた。

 少女も青年をまっすぐと見つめ、その覚悟を露わにする。

「もちろんです。人を、街を、世界を守るためならば、私はこの身がどうなろうと構いません」

 揺らぐことのない強い意思を見て、青年はどこか諦めたようにもう目前まで迫ってきている蛇へと腕をかざした。

「すべては悪を倒すため……さあ、今です! 私はどんな辱めを受けようと構いません!」
「はぁ……仕方ない。――――【即死魔術】!」

 その瞬間――《パァン!》と音が鳴り、三つ首蛇の全身がはじけ飛んだ。

 ……そして、青年のすぐ隣からも、同じく《パァン!》という音が鳴った。

「やったぁ! さすがですヒユウさん! スリーヘッドデビルの討伐成功です!」
「う、嬉しいのは分かったから! ユアは早く服を着てくれ!」

 服のほとんどがはじけ飛び、裸同然の格好になってしまった少女・ユアに青年・ヒユウは必死に叫ぶ。


 ヒユウは世界最強の冒険者である。
 その身に宿す魔力量も、使用する魔術も、どちらも常軌を逸している。

 だが…………

「はぁ……魔術を使うたびに相棒の服がはだけていく仕様、本当にどうにかならないかなぁ…………ああ、心が痛い……ッ!」

 強大な力には、それ相応のデメリットも存在するのである。
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