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「はーい、目玉焼きに白ご飯。炊きたてだよー」
佐藤の方をちろりと伺って、微笑まれたから箸に手を伸ばす。ここにお母さんがいないとはいえ、普通を受け入れると決めたとはいえ、すぐには変えられない。
「……美味しい」
「そりゃあ良かった。圭一郎くんは何をかけるのが好きかなぁ?」
テーブルには、醤油にマヨネーズにケチャップに。その他もろもろの調味料が並べられていた。
「何か、かけるの?」
「もちろんかけなくても美味しいんだけれどね。より美味しくなる、と思ってるよ」
「……佐藤は?」
未知の味に不安を感じて聞いてみる。先人の教えに倣うべき、と聞いた気がする。
佐藤は醤油を手に取り、僕の目玉焼きにかけてくれた。醤油に油が浮きでて、確かに美味しそう。
僕の手から箸を抜き取って、小さく小さく取り分ける。
僕の口はそんなに小さくないよ。
「はい、あーん」
口を開けて、その小さな目玉焼きを受けいれた。……美味しい。すごくすごく美味しい。
「ね?美味しいねえ」
優しく頭を撫でるから頬が緩んで胸が痛んだ。最後に撫でられたのは、一体いつだったかな。
「ふふ。おいで」
佐藤が膝をぽんぽん叩く。引き寄せられるがままに膝に乗ると、僕の頭を佐藤の胸に押し付けた。
「たくさん泣こうね。ぜーんぶ吐き出して、幸せになろうね」
拭っても拭っても止まらない涙に、僕は苦しくて泣いた。
佐藤の方をちろりと伺って、微笑まれたから箸に手を伸ばす。ここにお母さんがいないとはいえ、普通を受け入れると決めたとはいえ、すぐには変えられない。
「……美味しい」
「そりゃあ良かった。圭一郎くんは何をかけるのが好きかなぁ?」
テーブルには、醤油にマヨネーズにケチャップに。その他もろもろの調味料が並べられていた。
「何か、かけるの?」
「もちろんかけなくても美味しいんだけれどね。より美味しくなる、と思ってるよ」
「……佐藤は?」
未知の味に不安を感じて聞いてみる。先人の教えに倣うべき、と聞いた気がする。
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僕の手から箸を抜き取って、小さく小さく取り分ける。
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「ね?美味しいねえ」
優しく頭を撫でるから頬が緩んで胸が痛んだ。最後に撫でられたのは、一体いつだったかな。
「ふふ。おいで」
佐藤が膝をぽんぽん叩く。引き寄せられるがままに膝に乗ると、僕の頭を佐藤の胸に押し付けた。
「たくさん泣こうね。ぜーんぶ吐き出して、幸せになろうね」
拭っても拭っても止まらない涙に、僕は苦しくて泣いた。
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