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第一章 魔法士学校編
第二話 ファーストキス
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いったいどのくらいの時間が経ったのだろうか、俺はただただ呆然としていた。
キスをされたのは一瞬だったが、長いように感じた。はじめてのチュウというやつか。しかし思った以上に破壊力がある。そう、例えるなら頭を誰かに後ろから石で殴られたようなーー
「いってぇぇぇぇぇーーーー!!!!」
頭が割れるように痛い! 痛すぎる! そして頭の中の脳に直接ヤカンの沸騰したお湯を注ぎ込まれているような、なんとも形容し難い痛みに悶えるしかない。
一方、悶え苦しんでいる俺の姿を見ながら、自称神様のルナさんはというと
「彼方さん彼方さん。キス……してしまいましたね! どうですかはじめてのチュウは? 何か感想とかないんですかぁ? どんな味だったとか色々あるでしょう?」
この神様は苦痛で悶えている俺を目の前にして何を言っているのだろうか? 殴ってやりたい。ファーストキスの味なんて激痛でそれどころではない。
「大丈夫です、痛みはすぐに治りますよ! 頭の中もスゥーっとなってきたでしょ?」
そう言われた途端に不思議と痛みは引いてきて、頭の中もスッキリとした気になってきた。
頭が冷静さを取り戻したら、今度は人生初の体験がフラッシュバックしてきた。自称神様とのファーストキス……
思い出したら罪悪感でいっぱいになってしまった。そもそも俺には彼女がいる。事故とはいえ、不意打ちだったとはいえ、先程の体験が紛れもなくファーストキスである。
「……ごめん……俺、最低だ……」
彼女への罪悪感が言葉になって出てきてしまった。我ながら情けない。しかも彼女とは手を握ったことすらないのに、こんな得体の知れない神様とだなんて……
「彼方さん、そんなにガッカリしないでくださいよぉ! 私だって傷つくんですよ! それに……私だって一応初めてだったんですよ!」
ルナさんも初めてだったらしい。顔を真っ赤にして恥ずかしがりながら言う自称神様の姿を見て、思わず一瞬だけドキッとしてしまった。
「……どうして突然……その……したんですか?」
「キスの事ですか? それはですねぇ……私を彼方さんの中に注ぎ込む為です」
すごくいやらしい言い方をしてくるルナさんに対して、なんて言ったらいいのか言葉を選んでいると、すぐに言葉を付け足してくれた。
「正確には私の記憶や知識を彼方さんに分け与える為にキスをして注ぎ込んだって感じです」
言っている意味が分からないと言いたい。言いたいのだが、どうやら本当に何かを注ぎ込まれているらしい。何故かルナさんの言っている意味を理解できてしまっている。
「記憶や知識を与えられた事は理解できました。ですがその……キ、キスでないとダメだったのでしょうか?」
そう言うとルナさんは、体をモジモジさせながら照れくさそうに
「私だって誰とでもキスするわけじゃないですよぉ! その……彼方さんなら……いえ、なんでもないです」
何か小声で言っていたが聞き取れなかった。多分どうでもいい事だろう、多分。
「話を戻しますね! 彼方さんには記憶と知識を与えました。今から彼方さんには魔法士を目指してもらいます!」
魔法士という言葉が理解できているのはやはり知識を注ぎ込まれているということだろう。どうやら魔法士とは資格の一種らしい。学校に行って勉強して資格を取れば魔法士になれる。なるほど、頭が勝手に理解していっている。すごいなこれ。
「なるほど分かりましたよ。簡単に魔法士になってもらう為に試験や魔法の知識を注ぎ込んでくれたのですね」
「全然違います、何を言っているんですか彼方さん。そんな事をしたら不正とみなされて死刑になりますよ」
違うのかよ。ドヤ顔で言ったのに恥ずかしい。て言うか試験の不正が死刑ってどんだけ罪重いんだよ。あ、待って、試験で死刑……プフッ
「ーーあー、三十点です彼方さん。良かったですね! これが試験なら本当に死刑でしたね!」
「……うるさい」
そういえば心を読めるのを忘れていた。しかし、正直心を読まれるのが一番厄介だ。今みたいに渾身のギャグを頭の中で考えるだけでルナさんには筒抜けになるからなぁ。
「今のが渾身のギャグですか……彼方さん、私彼方さんが魔法士になれるのか不安になってきました」
すごくバカにされている気がする。だが学生時代は神童と呼ばれていた俺だ、テストに関してはどんな問題だろうと自信はある。
それに資格だって実際何個か持っている。ほとんど使っていないゴミのような資格ばっかりだが……
「ーー申し訳ないのですが、魔法士試験は彼方さんの想像しているような試験ではなく、魔法の実技試験ですし、下手したら死にます!」
……なるほど、よし決めた。ここから一歩も動かないぞ。
キスをされたのは一瞬だったが、長いように感じた。はじめてのチュウというやつか。しかし思った以上に破壊力がある。そう、例えるなら頭を誰かに後ろから石で殴られたようなーー
「いってぇぇぇぇぇーーーー!!!!」
頭が割れるように痛い! 痛すぎる! そして頭の中の脳に直接ヤカンの沸騰したお湯を注ぎ込まれているような、なんとも形容し難い痛みに悶えるしかない。
一方、悶え苦しんでいる俺の姿を見ながら、自称神様のルナさんはというと
「彼方さん彼方さん。キス……してしまいましたね! どうですかはじめてのチュウは? 何か感想とかないんですかぁ? どんな味だったとか色々あるでしょう?」
この神様は苦痛で悶えている俺を目の前にして何を言っているのだろうか? 殴ってやりたい。ファーストキスの味なんて激痛でそれどころではない。
「大丈夫です、痛みはすぐに治りますよ! 頭の中もスゥーっとなってきたでしょ?」
そう言われた途端に不思議と痛みは引いてきて、頭の中もスッキリとした気になってきた。
頭が冷静さを取り戻したら、今度は人生初の体験がフラッシュバックしてきた。自称神様とのファーストキス……
思い出したら罪悪感でいっぱいになってしまった。そもそも俺には彼女がいる。事故とはいえ、不意打ちだったとはいえ、先程の体験が紛れもなくファーストキスである。
「……ごめん……俺、最低だ……」
彼女への罪悪感が言葉になって出てきてしまった。我ながら情けない。しかも彼女とは手を握ったことすらないのに、こんな得体の知れない神様とだなんて……
「彼方さん、そんなにガッカリしないでくださいよぉ! 私だって傷つくんですよ! それに……私だって一応初めてだったんですよ!」
ルナさんも初めてだったらしい。顔を真っ赤にして恥ずかしがりながら言う自称神様の姿を見て、思わず一瞬だけドキッとしてしまった。
「……どうして突然……その……したんですか?」
「キスの事ですか? それはですねぇ……私を彼方さんの中に注ぎ込む為です」
すごくいやらしい言い方をしてくるルナさんに対して、なんて言ったらいいのか言葉を選んでいると、すぐに言葉を付け足してくれた。
「正確には私の記憶や知識を彼方さんに分け与える為にキスをして注ぎ込んだって感じです」
言っている意味が分からないと言いたい。言いたいのだが、どうやら本当に何かを注ぎ込まれているらしい。何故かルナさんの言っている意味を理解できてしまっている。
「記憶や知識を与えられた事は理解できました。ですがその……キ、キスでないとダメだったのでしょうか?」
そう言うとルナさんは、体をモジモジさせながら照れくさそうに
「私だって誰とでもキスするわけじゃないですよぉ! その……彼方さんなら……いえ、なんでもないです」
何か小声で言っていたが聞き取れなかった。多分どうでもいい事だろう、多分。
「話を戻しますね! 彼方さんには記憶と知識を与えました。今から彼方さんには魔法士を目指してもらいます!」
魔法士という言葉が理解できているのはやはり知識を注ぎ込まれているということだろう。どうやら魔法士とは資格の一種らしい。学校に行って勉強して資格を取れば魔法士になれる。なるほど、頭が勝手に理解していっている。すごいなこれ。
「なるほど分かりましたよ。簡単に魔法士になってもらう為に試験や魔法の知識を注ぎ込んでくれたのですね」
「全然違います、何を言っているんですか彼方さん。そんな事をしたら不正とみなされて死刑になりますよ」
違うのかよ。ドヤ顔で言ったのに恥ずかしい。て言うか試験の不正が死刑ってどんだけ罪重いんだよ。あ、待って、試験で死刑……プフッ
「ーーあー、三十点です彼方さん。良かったですね! これが試験なら本当に死刑でしたね!」
「……うるさい」
そういえば心を読めるのを忘れていた。しかし、正直心を読まれるのが一番厄介だ。今みたいに渾身のギャグを頭の中で考えるだけでルナさんには筒抜けになるからなぁ。
「今のが渾身のギャグですか……彼方さん、私彼方さんが魔法士になれるのか不安になってきました」
すごくバカにされている気がする。だが学生時代は神童と呼ばれていた俺だ、テストに関してはどんな問題だろうと自信はある。
それに資格だって実際何個か持っている。ほとんど使っていないゴミのような資格ばっかりだが……
「ーー申し訳ないのですが、魔法士試験は彼方さんの想像しているような試験ではなく、魔法の実技試験ですし、下手したら死にます!」
……なるほど、よし決めた。ここから一歩も動かないぞ。
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