小説の悪党公爵とお見合い結婚することになっちゃいました

月冴桃桜

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5、「ここはファンタジーの世界」

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「(ーーさてと)」と、ソファでミルクを飲む。

ミルクは……決して私が望んだ訳ではない。そう、だという理由なのか、今日以前のフィオナがそうだったのか、とにかく、そのまま飲んでみたら、何の反応もなかったのでそんな風な理由なんだろう。

ーーまあ、とにかく、さっきのは使えないと。

「(………どーするかなぁ)」

私は次に使える作戦はないか考えてみた。

ーーしばらく考えてみて思い付いたのは、本。

「(……ま、普通か。)」

ーーそれでも、と、すぐに聞いてみた。

「ーーねえ。《》って読めたりする?」

質問してから、気付いた。

ーーそもそもフィオナは《を知っているのか》……と。ドキドキしながら返事を待っていると、

「そうですね。軽い物語の本であれば、練習としても今からでも用意してもいいかもしれませんね。」

と、ヘレンは頭の中でテキパキと予定を組み直してくれたみたいで、本を読むということに反対しなかった。

「(良かった。フィオナは本を知ってたみたいだね。)」

ーーこうして、私はヘレンに図書室に案内してもらうこととなった。


ーーローレル家の図書室。

「わあぁ。」

天井まで届くような本棚にびっしりと並べられている本、本、本……。

はしごもあるけど、子供の体では無理だね。

ーーゆっくり歩きながら、本のタイトルを見ていく。

「(……なるほどなるほど……)」

今後のためにおおよそどこにどんな本があるのか確認する。

「(ーーお!)」

ーー『魔法学』、『初歩の魔法学について』、『魔法学の基礎』……。

「(ふむふむ。)」と、本のタイトルを見ていく。

ーー『魔方陣の基礎』。

「(……この辺は魔法の基礎関係が揃ってるようね。)」

ーー『初めての魔法』なんてまさに子供向けっぽい。

本棚を見上げてみると、『魔法学Ⅱ』とか『魔方陣Ⅱ』とかといった実践的な魔法に関する本が並んでいるように見えたから、段階別かに並んでいるのかもしれないと予想した。

ーーとにかく、順番に片っ端から読んでいけば、実践的な魔法について学べそう。

チラッと視線を移すと、『魔法の歴史』、『魔方陣の歴史』といった『歴史』とついたタイトルがいくつか見えてきた。

「(ふむ。向こうは歴史か。)」

ーー色んな分野の本があり、ある程度のレベルまで学べるように揃った本。

ーー独学で色々学べそうだと内心嬉しくなってしまった。
流行る心を押さえるために他にはどんな本があるのかと見ていく。

ーー『騎士道精神とは』……『冒険者への道』と、そこまで見て、新たに『』という心踊るキーワードを見つけてしまった。

「(ーーーわーわーっ。冒険者いるんだぁ。)」

この世界に魔法と剣だけでなく、もいることに叫びそうになるほど興奮してしまう。

ーー思いがけずに、この世界が『』があって、『』という『』な世界ということを知ることができた。

ーーうーーーん。それも知りたかったけど、ここがファンタジーのどんな世界か知りたかったのに……。

侍女のヘレンたちがいるから、訳にはいかないと思い、そのうちをしてやろうかと悩んでしまう。

すると、本棚に近付いたヘレンが本を探し始める。

「?」

何をするつもりなのかと見ていると、薄い本を手にとって表紙のタイトルを確認する。

納得できたのか、私に近付いてきて持っていた薄い本を差し出してくる。

「?」

首をかしげて不思議がっていると、

「この世界の成り立ちが描かれた本です。最初の勉強にはこれが相応しいと思われます。」

と、と分かって驚いてヘレンを見上げると、優しく微笑んでくれた。

「………あり、がとう。」

言葉を詰まらせながら、私のために選んでくれた本を受けとると、思わず抱き締めてしまう。

「どういたしまして。」

ヘレンは優しく微笑むと、「部屋に戻りましょう。」と私の手を引きながら図書室から出る。


ーー部屋に戻って一人になると、ベッドに横になったまま選んでもらった本を持ち上げる。

「ーー初めて読む本」

そう呟いて、もう一度本を抱き締めると、改めて嬉しさが込み上げてくるのでした。
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