小説の悪党公爵とお見合い結婚することになっちゃいました

月冴桃桜

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8、初めてのお見合い

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ーー3年生の夏季休暇、初日から家に帰ることにした。勿論、家には前日に着くように手紙を出して連絡済み。
お陰で初日に帰っても、家族やヘレンをはじめ使用人たち全員でお出迎えしてもらえた。

「お帰りなさい!!」
「お帰りなさいませーー!!」

「ただい、ま……?」

帰ってきた挨拶しようとして、父の作ったような笑顔に、母の異常なニッコリ笑顔に立ち止まってしまう。

「……どうか、しました?」

たじろぎながら質問すると、母は、

「なんでもありません。ーーさあ、荷物を運んであげて!」

といって、手を叩いて侍女たちに指示を出す。すぐに侍女たちが動き出して私の荷物を部屋に運び込んでくれる。

「さあ、早く部屋で着替えてらっしゃい。」

母の指示に従ったヘレンたちが私を部屋に案内してくれる。

ーーあ、そう言えば、結局、テリーとアンナが専属侍女になったんだっけ……。
何だかんだとずっと一緒に過ごしてきたんだよね。ありがたいことに。

子供の頃は一緒に走り回って遊んでくれて、私のわがままにも何一つ文句も言わずに付き合ってくれた。
まあ、使用人だから従ってるまで……と言われてしまえば、元も子もないが……。
これまでのやりとりで、上っ面だけでない本当の意味での深い信頼関係が出来ているのも確か。
何よりこちらからも信頼しないで相手に信頼を得ようとするなんて、不具合が生じても文句言えないでしょうね。


ーー部屋で着替え終わった頃、昼食へと呼ばれた。

何となく身構えていたけど、心配するようなこともなく無事に食事は終わったーーが、は食後のティータイムで起こった。


「フィオナ、貴女、お見合いなさい。」
『ババーーーンッ』と、母のお達し。
「(って、いきなりかい!)」と思わず心の中で突っ込んでみた。

ーーと言っても、けどね。何故なら、貴族の娘であれば《》なんてものもあるから。
まあ、正直言ったら不安がないと言えば嘘になるけど、《》や《》といった《》なんて、のこと。
勿論、私もそう言い聞かされて生きてきた。
前世の記憶が戻ったのが、お見合い直前だったらちょっと抵抗あったかもね。ある意味、その辺はラッキーだったの、かな?

「……お見合いですか? お相手は?」

なるべく冷静にーーと聞いてみると、母はニッコリと微笑む。

「(圧が凄い。)」母のに押し負けそうになるのに必死で耐えた。

母はニッコリと微笑んだまま、侍女にを送る。すると、母の侍女たちが私の背後に素早く移動して、
「ささ、お嬢様、お支度を。」と、問答無用に部屋へと連れていかれて、お風呂に連れていかれて隅々まで洗われて、マッサージで揉まれて全身ピカピカに磨き上げられてしまう。

ほわほわ気分で部屋に戻ると、いつのまにか部屋に用意されていたドレスへと着替えさせられてしまうのだった。

鏡の前で自分の姿を確認する。
大人っぽすぎない大人っぽいドレスと宝飾品。

ーー正直、大人可愛くて……うん。いい……。
鏡の前で満足していると、どこか不服そうな父にエスコートされて、玄関へ、ニコニコした家族に見送られて、馬車に乗らされた。

「ん?」馬車が動き出してから、ようやく父に「行き先」を聞いてみると、言いにくそうにしていた父から、「これからだ。」と言われてしまった。

「(えええええーーーーーーーっ!?)」
さすがに叫んでしまった。母がいたら大目玉だったわね。ありがたいことに父は黙っていてくれた。感謝感謝……。

ーーそれにしても、って、どんな人なんだろう?
まあ、さすがにヤバイ人とかアカン人とかダメな人とかはないと思うけど……。
ーーご機嫌だった母の笑顔。
察するに、《》とか《》とか、とにかく喜んで受けた《》なんでしょうね。
……まさか、こっちから申し込んだ……ってことはないよね?
父の顔をそっと伺うと、私と目があった瞬間、反らしてしまう。

「(ええーーーーーーーーっ。)」
悪い方悪い方を考えてしまう。

馬車に乗っている間、父は窓の外を見つめているようにずっと横を向いていた。

ーーうーーーん。参ったな、これは。
私は最悪とは言えないけど、そこそこ何かしらのでもあるのかと不安になってしまう。

「(………それとも?)」

私はを思い付く。
そう、条件が悪いのではなく、《》……そう、《》なのではと。

ーーふうっ。溜め息をひとつついて窓の外を見る。

「(ーーこれは、相当なが必要かもね。)」

そう思いつつ、どうしようもない不安を感じながらも、どこか楽しみに思っている自分もいるのも確かなのであった。
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