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交易都市ラグリージュへ赴いちゃう、ぽっちゃり
第275話 ありのまま話しちゃう、ぽっちゃり
しおりを挟む「単刀直入にお聞きしますが、コロネさんはどのようにして此度の霧の発生を食い止められたのでしょうか?」
鋭い眼光と共に、冷徹な質問が飛び出してきた。
セシーナさんと対峙するわたしは思わず言葉に詰まる。
この質問に対して答えを用意することは簡単だ。
わたしがさっき体験した、ありのままのエピソードを正直に話せばいい。
ボーンさんからも別に口止めとかされてるわけでもないし、皆にバラしても問題ないだろう。
ただ、唯一問題があるとするなら、そんな非現実的なことを話してもわたしがふざけていると思われるんじゃないかということだ!
説明するとしたら、森の奥深くに謎の祠があって、それに触れたら謎の異空間に連れ込まれて、そこで謎のガイコツ騎士とガイコツドラゴンが現れ、その敵を蹴散らしたらいつの間にか現実世界に戻ってきてついでに霧も晴れてましたー!
あははー!
……で、済むのだろうか?
わたしの発言は書記のような人も聞き耳を立てて調書を取っているはず。
つまりわたしの言葉はそっくりそのまま文章として記録されるってことだ。
そんな真面目な話し合いの中でこんなことを答えたら、セシーナさんにぶちギレられるんじゃないだろうか……?
「……どうされました? もしかして、何か言えないような手段を取られたのでしょうか?」
セシーナさんの語気が強まる。
全身から溢れでるオーラも僅かに攻撃的な色味を帯びていた。
まずい……!
このまま黙っていたらあらぬ疑いまでかけられてしまいそうな勢いだ。
わたしは腹をくくって、自分が体験したことを包み隠さず伝えることを決心した。
「あー、そうですね。じゃあさっき起こったことをお話します。ちょっとトンデモ展開になるような気もするんで、信じて貰えるかは分かりませんけど……」
「問題ありません。どのような内容であったとしても、私は聞き入れることをお約束します。ですので、どうぞお気楽にお話ください」
「……分かりました。まず、わたしがあの森に入っていったのは今から二、三時間くらい前のことです」
「なるほど。ちなみに、なぜ突然あの森に入られようと思ったのでしょうか? 先ほど冒険者だと仰っていましたが、冒険者の仕事として魔物狩りにでも?」
「あ、いえ、単純に霧が発生していて明日の海豊祭が中止になるかも、ってことを聞いたからです。わたしは一応冒険者をメインでやってるんですけど、ちょっとしたことがキッカケでお祭りの開催期間にお店をオープンすることになりまして。せっかくオープン準備を進めていたのに、霧のせいでお祭りが中止になってしまったら残念だなって思って、原因究明の調査に出向いてみたんです」
「ふむ……なるほど。そうなのですね」
セシーナさんはあごに手を当てて、何かを考えるような仕草をした。
部屋の角に陣取って机に向かっているもう一人の職員らしき人は、わたしの発言を紙にさらさらと書き移している。
「コロネさんが森に向かわれた理由は分かりました。それで、あなたはその森で霧発生の要因となりうる、何かと遭遇したのですね?」
「はい。わたしは森の奥で祠を発見しました。多分、その祠が今回の霧を発生させていた原因だと思います」
「祠、ですか……?」
わたしの答えに、セシーナさんは疑問符を頭の上に浮かべながら眉をひそめた。
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