異世界ぽっちゃり無双 チートスキル『暴食』で最強&飯テロセカンドライフを満喫します!

空戯ケイ

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交易都市ラグリージュへ赴いちゃう、ぽっちゃり

第287話  家紋を把握しちゃう、ぽっちゃり

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 わたしが異空間に飛ばされた謎の祠の元までセシーナさんを送り届けたはいいものの、今度はその祠の安全性が心配になってしまったらしい。
 少し控えめな感じで祠に近づくセシーナさんに、わたしが意を決して祠と接触してみる。
 だけど、もうこの祠はわたしが最初に出会ったときのような不思議な力は宿していないみたいで、ただの石で出来たどこにでもある置物と化していた。

 それに安堵したのもつかの間、次はセシーナさんが何かを発見したような声をあげる。
 どうやら、祠の横に何か気になるものでもあったようだ。

「どうしたの? 何か手がかりになるようなものでも見つけた?」
「そう、ですね。かなり薄れていて目視での判別が難しいのですが……間違いないと思います。ここにうっすらと紋様のようなものが見えませんか?」

 セシーナさんは、祠の側面に位置する箇所を指でさし示した。
 だけど、その部分は祠の背後にある大樹の根に隠れるように位置しており、セシーナさんの後ろから回り込んで見ないと確認できない。
 わたしはいそいそと場所を移動し、セシーナさんの背後に覆い被さるような構図で陣取り、顔を祠に近づける。
 先ほどよりも間近で見て、かつセシーナさんの指という補助要素もあったからか、辛うじて紋様のようなものが確認できた。

「えーと、あっこれか。たしかに……言われてみればだけど、紋様っぽく見えなくもないね。これはなんだろう……剣のような花のような……」
「そうです。恐らく騎士が扱う聖剣とシンビジウムの花弁の紋様です」
「えっ、こんなうっすい痕跡からそこまで読み解けるの……!? さ、さすが調査隊の隊長を務めているだけはあるね……」
「い、いえ。それほどでも。ともかく、この紋様……というか家紋と表現した方が良いでしょうかね。これは私、古い文献で目にしたことがあります」
「古い文献?」
「はい。王都の中央図書館に所蔵されている歴史的な書物です。平たく言えば古文書のようなものでしょうか。その古文書の一冊に、これまでの王国の歴史……中でも王家や貴族の家柄やその誕生を綴った古文書があったのです」

 セシーナさんの説明に、わたしは心の中で感心する。
 へー、王都にはそんな古文書が所蔵されているような図書館があるんだ。
 まあ王都というくらいだからこの王国の首都だし、それくらい大規模な図書館があるのくらいは不思議でもないんだけど、この世界にも古文書みたいなものって存在しているんだね。
 わたしはあんまり歴史とか得意じゃないから詳しくないけど、そういう古の知識を有している人って知的でカッコいいなって思う。
 それにセシーナさんもそんな古い書物で見た家紋をすぐに特定できるってのも十分凄い能力だけどね。

 わたしはさすがの知識量のセシーナさんに感嘆しながら、話の続きを促す。

「なるほど。それでその古文書に乗ってるような家紋ってことは、この祠はだいぶ古い歴史のある貴族の所有物ってこと?」
「……それなのですが……」

 セシーナさんは躊躇いがちに目を伏せると、惑わせるように口をもごもごとさせた後、ぽつりと溢した。

「……ないのです」
「え? ないって、何が?」

 言葉の真意が見えなかったわたしは、再度問い返す。
 すると、セシーナさんはわたしに向き直り、しかと目を交差させながら今度ははっきりと聞こえるような口調で断言した。

「私が確認した書物の情報では、この家紋を有していた貴族は数百年前に没落……現在この家はもう存在していないのです!!」

 え、それってつまり…………どゆこと?

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