ホラーの詰め合わせ

斧鳴燈火

文字の大きさ
39 / 41
学校の怖い噂

学校の怖い噂2 呪われたベートーベン

しおりを挟む
「ねえねえ、知ってる?」クラスメートの高梨さんが今日も怖い話をしにきた。
「なになに」今日はどんな怖い話だろう。楽しみである。
「美術部の子に聞いたんだけどね」と話始める。

呪われたベートーベン。
放課後、遅くまで吹奏楽部が練習していた。
練習が終わった後に一年生の生徒が、先輩に言われて居残り練習させられたの。大会が近づいていたからね。
一人の生徒がみんなが帰った後も、自主練をしていた。
夢中になって練習している間に、辺りはいつの間にか暗くなってしまった。
早く帰らないと…。片付けている時に誰かの視線を感じた。
後ろを振り返ったけれど、もちろん誰もいない。
音楽室には自分ひとりだけだ。
でも、ずっと視線を感じる。
その感じが気持ち悪くて、不安になった。
後ろには音楽家の肖像画があるだけ。
その時目が合った。
肖像画のベートーベンの目がジロリと動き、私を睨みつけていた。

家に帰るとお姉ちゃんがおやつのバターサンドを食べていた。「あんたも食べる?」
「食べる!」甘いものは大好きだ。
口の中いっぱいに、バターサンドの甘い味が広がる。
私はおやつを食べながら、音楽室のベートーベンの話をした。
「ベートーベン?モーツァルトじゃなくて?」
「ベートーベンだよ」
「音楽室にベートーベンの肖像画は飾ってなかったはずだけど、その代わりモーツァルトならあったな、たしか…」
「そうだっけ?」
ベートーベンがあったのか覚えていない。
そう言えば。音楽室の肖像画なんて気にしたことなかった。

私は夜の学校に向かう。
校舎にはすでに高梨さんが待っていた。

音楽室に入ると背面の壁をみる。
モーツァルト、バッハ、メンデルスゾーン、ショパン、ドビュッシーの肖像画がかけられている。姉の言う通りだった。
「ベートーベンだけないね」
「ない。でもこれだけそうそうたるメンバーの肖像画があるのに、ベートーベンだけないのは逆におかしいと思わない?」
「確かに…」高梨さんの言うとおりだ。
「何処かにしまってあるのかも…」
でも、音楽室にも準備室にも探したけれど、ベートーベンの肖像画はなかった。

肖像画がしまってある場所。
私達は思案する。
絵を保管する場所…。美術室だ!
私達は夜の美術室に向かう。
今夜は満月。
月明かりがあるとはいえ、美術室には沢山の彫像や絵があり、肖像画を探すのが大変そうだ。
視線を感じる…。
視線の感じる先をみると…。あった。
ベートーベンの肖像画が壁に飾られている。
「高梨さん、あれ…」私は指をさす。
私は目が離せないでいた。噂は本当であった。
ベートーベンの肖像はじっと私を睨みつける。私が視線から逃げようとしても、目で追ってきた。
「やだ、本当に目が動いてる…」私は逃げ惑う。
「ウフフ…」それをみて高梨さんは笑っている。
「アッハッハッハ」美術室に響く笑い声。気でも触れてしまったのだろうか?
なんで?なんで急に笑うの?高梨さんまでおかしくなったのだろうか。
「アッハッハッ、ごめんごめん、だってこの絵…」
ベートーベンの肖像を壁からはずし、私に絵をみせる。
「ほら、よく見て。目の部分がへこんでいる」
ベートーベンの目の部分を切り抜き、三角すいの形の紙を貼り付けてある。そこに瞳が描いてある。
みる角度によって瞳の見え方が違う。まるで…。
「トリックアートだよ」と高梨さんが言う。
「どの位置から絵をみても、目があうように細工されてるね」
私達は美術部に一杯食わされたのだ。
騙されたのと安心からか私達は笑ってしまった。

そんな私達を呪われたベートーベンはじっと見つめていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

静かに壊れていく日常

井浦
ホラー
──違和感から始まる十二の恐怖── いつも通りの朝。 いつも通りの夜。 けれど、ほんの少しだけ、何かがおかしい。 鳴るはずのないインターホン。 いつもと違う帰り道。 知らない誰かの声。 そんな「違和感」に気づいたとき、もう“元の日常”には戻れない。 現実と幻想の境界が曖昧になる、全十二話の短編集。 一話完結で読める、静かな恐怖をあなたへ。 ※表紙は生成AIで作成しております。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あなたのサイコパス度が分かる話(短編まとめ)

ミィタソ
ホラー
簡単にサイコパス診断をしてみましょう

短い怖い話 (怖い話、ホラー、短編集)

本野汐梨 Honno Siori
ホラー
 あなたの身近にも訪れるかもしれない恐怖を集めました。 全て一話完結ですのでどこから読んでもらっても構いません。 短くて詳しい概要がよくわからないと思われるかもしれません。しかし、その分、なぜ本文の様な恐怖の事象が起こったのか、あなた自身で考えてみてください。 たくさんの短いお話の中から、是非お気に入りの恐怖を見つけてください。

処理中です...