勇者旅立つ!

エヌ·ケイ

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勇者旅立つ!1

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俺はこの国を救う勇者になる!

ファルード大陸にあるグランド王国は魔王アベリューの率いる魔物軍に襲われ、没落の危機に瀕していた。勇者を目指す少年ヤンは魔王を打倒するため立ち上がった。

「俺はこの国を救う勇者になる!」
「あんたまだそんなこと言ってるの、そんなことより父ちゃんもう畑に行ったよ!あんたも早く手伝ってきなさい」
ベッドで寝ていたら母ちゃんに布団ごとひっぺがされて、俺は床を転がった。
「母さん俺はこの村を出ていくことにしたよ」
俺は今日この村を旅立つことにした。
決して畑仕事が嫌だとかそんな理由ではない。
「あんたまたそんな夢みたいなことばかり言って、いいから早く仕事に行ってきなさい!」
母さんは温めなおしたシチューを味見しながらいった。
「行ってくるよ」
「ちょっと、ちゃんと朝飯食べて行きなさい!」
俺を引き留める声に振り返ることなく、俺は家を出た。

王国では魔王を倒すために勇者を広く集めているらしい。有望な者には準備金も用意するとの話しもある。ダダンに聞いたから間違いない。
家を出るとまっすぐ古本屋に入った。
メガネの店主が不審者をみるような目で此方の動向を伺っている。
俺は地図本を取り出すと隅の方に持って行きページを開いた。
ここが始まりの村ファースト。俺が今いるところだ。そして王国への道は街道を北に向かって、迷いの森を抜けたその先だ。
俺は店主のじいさんにばれないよう急いでメモると、怪しんでる目を尻目に店を出た。
早く王国に行かなければ、そうすればこんなコソコソする必要もなく準備金で本も買えるのに。
早く勇者にならなければ。俺の中の決心が強くなった。

村を出ると平原が広がっている。王国への道に向かい街道を歩き出した。俺の冒険の第一歩である。
しばらく歩くと前方の方から荷馬車がやってくる。
旅商人の馬車だ。荷台の上から声がする。
「お、ヤンじゃねーか!どこ行くんだ」
旅商人のダダンだ。俺は村を出ることを伝えた。
「あっはっは!そうか遂に旅立つ決心が出来たか。
お前なら出来る。何故ならあの勇者バンの息子だからな!」ダダンはニッコリ笑った。
ダダンはいつでも俺を元気づけてくれる。俺の味方だ。
「これを持っていけ」ダダンは荷物をごそごそ漁るとポーションとパンを投げた。
「腹が減って戦闘は出来ない、旅をしてればまた会うこともあるだろう。その時はうちの商品も買ってけよ!」「またな!」
荷馬車は走りだす。
「ありがとう!」
村に向かう馬車に手を降った。

ヤンはパンを食いちぎる。
パンは朝飯を食い損ねた俺に勇気と力をくれた。
俺は勇者になるために生まれた男。勇者ヤン。
ダダン貴方のくれたパンは魔王を倒すための力になる!
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