勇者旅立つ!

エヌ·ケイ

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勇者旅立つ!6

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俺はこの国を救う勇者になる!

俺の眼下には迷いの森が広がっている。
この森が旅の第一関門だ。数々の冒険者達がこの森で迷い、命を落としてきた、呪いの森である。
だが、俺は臆したりなどしない。何故なら俺は魔王を倒すために生まれてきた男。勇者だからだ。

「ウオオーーーン」遠くで狼の遠吠えが聞こえる。
森の中は高い木々が鬱蒼と生い茂り、視界を遮っている。グネグネした道を進み続けると三叉路につく。どれが正解の道なのか、こんなことなら古本屋で森の地形を調べてからくるべきだった。
真ん中の道を選ぶと木に印をつける。
自分が来た道を分かりやすくするため、道が分岐する度に印をつけて進む。しばらく進むと大きな木の根元で動くものがみえる。それは子犬程度の大きさの大きなキノコだ。モゾモゾと動くそいつには小さな手足がついている。

【歩きキノコが現れた】
歩きキノコはその名の通り、歩くキノコで
秋の美味として人気をはくしている。このキノコはエリンギタイプのキノコだ。
警戒しんの強いキノコで人前にはめったに現れない。キノコはこちらの存在に気付き、その小さい手足を必死に動かしながら逃げていく。
「追いかけろ!」
俺とポチは坂道を転げながら逃げて行くキノコを追いかける。キノコはそれほど足は早くないが木々の間を上手くさけながら、奥へと逃げていく。
「ウィンドウ」風の魔法を使う。風の力で荷物を軽くし、空気抵抗を失くす魔法だ。体が軽くなり飛ぶように移動出来る。
距離が段々と近づいてくる。バッ!と飛び込み歩きキノコを捕まえる。枯れ葉がクッションになり体の負担を減らす。
「やった!」両手の中でキノコがバタバタ暴れる。
剣の柄でキノコを叩く、とバフッと胞子を出した。
キノコを鞄に入れると、木の影から此方を覗いてる存在に気づく。
「そっちにもいるぞ!」ポチをけしかける。慌てて逃げる歩きキノコにポチは体当たりをくらわす。
ドテンと倒れたキノコを回収する。探せばまだいるかもしれない。歩き回って探している間に森の奥へ奥へ深く侵入していった。
気がつけば、迷子になり途方に暮れていた。

元来た道を探そうとしたが、みんな考えることは同じようだ。木には他の冒険者達の印のキズが沢山ついていた。「ん?このキズは」辺りを見回すといつの間にかポチもいない。耳を澄ませていると泣き声が聞こえてきた。ヤン迷わず声のする方に向かった。
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