36 / 84
第3章 高校1年生 2学期
第32話 忍び寄る影。
しおりを挟む
新学期が始まった。
夏休みが終わってしまったということもあるだろうけれど、教室の空気はよくなかった。
先ほどからちらちらとこちらを伺う視線を感じる。
(まぁ、仕方ないよね)
夏休み中に一条家に届いたのと同じような脅迫状が、1年生全員の家に送られていたらしい。
どこの誰かは分からないけれど、嫌われたものである。
もとよりぼっち宣言していたことも加わって、私はクラスメイトにすっかり距離を取られてしまった。
それは別にいいというか、むしろ望むところなのだが、問題は――。
「あたしは別に気にしないもーん」
「障害がある方が燃えますわ」
「せっかくお近づきになれたんですし」
「脅しなんて無粋な真似をする奴、無視無視」
「佳代ちゃんの言う通り」
「わ、私も気にしません」
と言う女性陣6人と、
「オレを敵に回すとはいい度胸だ」
「売られた喧嘩は買うで。女の子絡み限定で」
「大将もナキも肝が太いね」
「まぁ、あんなものは姑息だな」
という男性陣4人である。
この計10人は写真を取られた10人でもあり、明確に『敵』からターゲットにされていると思われる。
夏休み中も、脅迫がいたずらかなにかだと確認できるまで、私に近づかないで欲しいと頼んだのだけれど、冬馬を筆頭に馬鹿らしいと言って誰も聞いてくれなかった。
一条くらい大きな家になると、年に何通かこういう手紙を送りつけられることはある。
有名税のようなものだ。
もちろん、その度に警察に通報するけれど、大体がただのいたずらで終わる。
ただ――。
(今回のは写真を撮られたくらいだから、ただの嫌がらせとは思えない)
誘拐事件のことや、お祖父様がわざわざ私に直接教えてきたこともあって、私は危機感を覚えていた。
「あの……。皆さん、やっぱり危険だと思います。もう少し慎重になった方が……」
「いつまでだ?」
「それは……。危険がないと確認できるまで――」
「和泉なら悪魔の証明って知ってるよな?」
それを言われると弱い。
私はしぶしぶ頷いた。
悪魔の証明とは「ある事象が全くない」というような、それを証明することが非常に困難な命題の証明のことである。
例えば「カラスの中には白いカラスがいる」ということを証明するには「白いカラス」を1匹でも捕まえてくればいい。
ところが「カラスの中に白いカラスはいない」ということを証明するにはすべてのカラスを調査しなければならないので、証明は非常に困難、事実上不可能であるということになる。
これを悪魔の証明という。
悪魔の証明の概念の起源は紀元前に遡るとも言われる。
また、厳密な定義はもっと複雑なので、あまり多用するのは好ましくないのだが、今回のケースには適応できる。
すなわち「危険がないこと」を証明するには、ありとあらゆる危険性がないことを調べ尽くさなければならないので、証明は事実上不可能ということだ。
もっとも、脅迫状の存在を以って「危険がある」と証明できるとも言えそうなのだが。
「誘拐事件以降、学園のセキュリティレベルは上がっているからな。学園内で不届きな真似をするのは難しいと思うぞ」
「それはそうかもしれませんが……」
「いずみんは心配症だねー」
いつねさんは危機感がなさすぎると思う。
「あたしは例え危険があったとしても、いずみんと離れるつもりはないからねー」
それは実に光栄なことだと思うけれど、みんなの安全のほうが重要だ。
誘拐事件の時――冬馬のようなことはもうまっぴらだから。
学園側にも相談した。
ただ、被害が出ていない今の状態で出来ることはそれほど多くないと言われてしまった。
やはり自衛しかないのだろうか。
◆◇◆◇◆
私の危惧をよそに、2学期の初めは何事もなく過ぎていった。
9月の後半に学園祭を控えた学園内は、少し浮足立っているようだった。
みんなだけでなく私の危機感も若干薄れ、やはりあれは悪質ないたずらだったのかと思い始めた矢先。
それは始まった。
最初は仁乃さんだった。
体育の授業を終えて教室に帰ってくると、着替えはなくなっており、机がめちゃくちゃに荒らされていた。
机には手紙が一通置かれていて、そこには先日と同じく『一条に近づく者には災厄が訪れる』という文面が。
仁乃さんは「これくらい平気ですわ」と笑っていたけれど、その顔は青ざめていた。
その次は遥さん。
寮に届いた遥さん宛ての手紙にカミソリが仕込まれていたのだ。
幸い指を切ることはなかったものの、危ないところだった。
手紙の文面はやはり同じだった。
さらに嬉一も。
1人で階段を下っている時、突然誰かに後ろから突き飛ばされ、下の階まで転げ落ちた。
幸い軽い打撲で済んだものの、頭でも打っていたら大事になるところだった。
事後、嬉一の元にも再び例の脅迫状が届いた。
この3件を初めとして、夏のバカンスに参加した10人を次々に不可思議な不幸が襲った。
一番危なかったのは実梨さんで、校舎の側を歩いている時に、上から植木鉢が落ちてきたのだ。
直撃していたら、どうなっていたか分からない。
最悪、命にかかわる事態になっていただろう。
私は確信した。
『敵』は本気だ。
本気でみんなを傷つけるつもりだ。
私はみんなに改めて距離を置いてもらうように頼んだ。
前と違って、今回は頭ごなしに拒否はされなかった。
みんなも身近に脅威が迫っていることを実感したからだろう。
「私のためと思って、どうかお願いします」
私は言葉を重ねた。
こうでも言わないと、お人好しのこの人達は離れてくれないと思ったのだ。
最初に折れてくれたのは実梨さんだった。
「あれから凄く怖くて。和泉様に何の罪もないことは分かっているのですけれど……」
「いいんです。実梨さんに万一のことがあったら大変ですから。佳代さん、幸さん。実梨さんをお願いします」
こういう言い方をすれば、2人も断れまい。
「……気に食わない。でも仕方ないわね」
「みのりんのことは任せて」
案の定。
これで3人組は大丈夫だろう。
「オレも一旦距離を置こう」
冬馬がそう言ったのは少し意外だった。
ずきんと胸が傷んだのはきっと気のせいだ。
「勘違いするなよ? オレの和泉に不愉快な思いをさせている奴をとっ捕まえるためだ」
「せやな。わいも協力するわ」
ナキも協力してくれるようだ。
犯人の目的も気になる。
私から人を遠ざけて得られるものとは一体何なのだろう。
「なら俺もそうするとしよう。俺は冬馬とは逆に、犯人を捕まえるのではなく、和泉の身辺をそれとなく警護することにする」
誠が身辺警護を買って出てくれた。
「ちょっ……。そっちをオレにやらせろよ」
「冬馬も腕っ節には自信があるのだろうが、誰かを守るというのは単純ではない。ここはこらえて俺に任せろ」
「ちっ……。絶対に守れよ?」
「無論だ」
冬馬がしぶしぶといった様子で同意すると、誠は静かに頷いた。
「女子寮内のことは私にお任せ下さい」
「そうだな。仁乃、頼む。ただ無茶はするな。素人の出来ることはたかがしれている。すぐに周りに協力を求めろ」
「分かりましたわ」
仁乃さんもそう言ってくれた。
「適度に距離をとって下さいね。危ないですから」
「ご安心なさいませ。お姉さまが自分より他人の安否を気にする方だというのは、重々承知しておりますわ」
いや、そんなに善人なつもりはないんだけどね。
「おれは何も出来そうもねーや。でも面倒事を増やすのは本意じゃねーし。俺も様子見かな」
「わ、私もお役に立てそうにありませんし……」
嬉一と遥さんも同意した。
ところが――。
「あたしは絶対離れないから」
いつねさんは聞き分けてくれなかった。
「いつねさん。本当に危険なんです。命に関わるかもしれないんですよ」
「それでもイヤ。いずみんを1人にするくらいなら、自分の体張る方がいい」
どう説得したものかと思案していると、
「俺も専門家じゃない。和泉はともかくいつねにまでは手が回らんぞ。自分の身は自分で守ってもらうことになるが、それも覚悟の上か?」
「もちろん」
警護役の誠がやや厳しめの言葉を向けたのだが、いつねさんにはなしのつぶて。
誠は身辺警護を買って出てくれたけれど、彼は別のクラスだ。
常に目を光らせていてくれる訳ではない。
可能性は低そうだけど、授業中を狙われればどうしようもないだろう。
いつねさんの安全を考えれば、ここは是が非でも距離を置いてもらうべきだ。
……仕方ない。
「本音を言いましょう。迷惑です」
ごめん、いつねさん。
「いつねさんがいて下さっても、私にとっては意味がありません。余計な心労が増すだけです」
「いずみん……」
いつねさんの傷ついたような顔を見るのが辛い。
でも、彼女を危険にさらすよりはずっとマシだ。
「入学式の日の、私の宣言を思い出して頂ければと思います。それでは失礼」
話を強引に終わらせて、私は席を立った。
いつねさんが何ごとか言おうとするのを、誠が説得しているようだったけれど、私は振り返らず、話の内容にも耳を貸さず、その場を後にしようとした。
すると冬馬が追ってきて、こう言った。
「犯人……。いや、実行犯は意外と身近にいるかもしれないぞ」
夏休みが終わってしまったということもあるだろうけれど、教室の空気はよくなかった。
先ほどからちらちらとこちらを伺う視線を感じる。
(まぁ、仕方ないよね)
夏休み中に一条家に届いたのと同じような脅迫状が、1年生全員の家に送られていたらしい。
どこの誰かは分からないけれど、嫌われたものである。
もとよりぼっち宣言していたことも加わって、私はクラスメイトにすっかり距離を取られてしまった。
それは別にいいというか、むしろ望むところなのだが、問題は――。
「あたしは別に気にしないもーん」
「障害がある方が燃えますわ」
「せっかくお近づきになれたんですし」
「脅しなんて無粋な真似をする奴、無視無視」
「佳代ちゃんの言う通り」
「わ、私も気にしません」
と言う女性陣6人と、
「オレを敵に回すとはいい度胸だ」
「売られた喧嘩は買うで。女の子絡み限定で」
「大将もナキも肝が太いね」
「まぁ、あんなものは姑息だな」
という男性陣4人である。
この計10人は写真を取られた10人でもあり、明確に『敵』からターゲットにされていると思われる。
夏休み中も、脅迫がいたずらかなにかだと確認できるまで、私に近づかないで欲しいと頼んだのだけれど、冬馬を筆頭に馬鹿らしいと言って誰も聞いてくれなかった。
一条くらい大きな家になると、年に何通かこういう手紙を送りつけられることはある。
有名税のようなものだ。
もちろん、その度に警察に通報するけれど、大体がただのいたずらで終わる。
ただ――。
(今回のは写真を撮られたくらいだから、ただの嫌がらせとは思えない)
誘拐事件のことや、お祖父様がわざわざ私に直接教えてきたこともあって、私は危機感を覚えていた。
「あの……。皆さん、やっぱり危険だと思います。もう少し慎重になった方が……」
「いつまでだ?」
「それは……。危険がないと確認できるまで――」
「和泉なら悪魔の証明って知ってるよな?」
それを言われると弱い。
私はしぶしぶ頷いた。
悪魔の証明とは「ある事象が全くない」というような、それを証明することが非常に困難な命題の証明のことである。
例えば「カラスの中には白いカラスがいる」ということを証明するには「白いカラス」を1匹でも捕まえてくればいい。
ところが「カラスの中に白いカラスはいない」ということを証明するにはすべてのカラスを調査しなければならないので、証明は非常に困難、事実上不可能であるということになる。
これを悪魔の証明という。
悪魔の証明の概念の起源は紀元前に遡るとも言われる。
また、厳密な定義はもっと複雑なので、あまり多用するのは好ましくないのだが、今回のケースには適応できる。
すなわち「危険がないこと」を証明するには、ありとあらゆる危険性がないことを調べ尽くさなければならないので、証明は事実上不可能ということだ。
もっとも、脅迫状の存在を以って「危険がある」と証明できるとも言えそうなのだが。
「誘拐事件以降、学園のセキュリティレベルは上がっているからな。学園内で不届きな真似をするのは難しいと思うぞ」
「それはそうかもしれませんが……」
「いずみんは心配症だねー」
いつねさんは危機感がなさすぎると思う。
「あたしは例え危険があったとしても、いずみんと離れるつもりはないからねー」
それは実に光栄なことだと思うけれど、みんなの安全のほうが重要だ。
誘拐事件の時――冬馬のようなことはもうまっぴらだから。
学園側にも相談した。
ただ、被害が出ていない今の状態で出来ることはそれほど多くないと言われてしまった。
やはり自衛しかないのだろうか。
◆◇◆◇◆
私の危惧をよそに、2学期の初めは何事もなく過ぎていった。
9月の後半に学園祭を控えた学園内は、少し浮足立っているようだった。
みんなだけでなく私の危機感も若干薄れ、やはりあれは悪質ないたずらだったのかと思い始めた矢先。
それは始まった。
最初は仁乃さんだった。
体育の授業を終えて教室に帰ってくると、着替えはなくなっており、机がめちゃくちゃに荒らされていた。
机には手紙が一通置かれていて、そこには先日と同じく『一条に近づく者には災厄が訪れる』という文面が。
仁乃さんは「これくらい平気ですわ」と笑っていたけれど、その顔は青ざめていた。
その次は遥さん。
寮に届いた遥さん宛ての手紙にカミソリが仕込まれていたのだ。
幸い指を切ることはなかったものの、危ないところだった。
手紙の文面はやはり同じだった。
さらに嬉一も。
1人で階段を下っている時、突然誰かに後ろから突き飛ばされ、下の階まで転げ落ちた。
幸い軽い打撲で済んだものの、頭でも打っていたら大事になるところだった。
事後、嬉一の元にも再び例の脅迫状が届いた。
この3件を初めとして、夏のバカンスに参加した10人を次々に不可思議な不幸が襲った。
一番危なかったのは実梨さんで、校舎の側を歩いている時に、上から植木鉢が落ちてきたのだ。
直撃していたら、どうなっていたか分からない。
最悪、命にかかわる事態になっていただろう。
私は確信した。
『敵』は本気だ。
本気でみんなを傷つけるつもりだ。
私はみんなに改めて距離を置いてもらうように頼んだ。
前と違って、今回は頭ごなしに拒否はされなかった。
みんなも身近に脅威が迫っていることを実感したからだろう。
「私のためと思って、どうかお願いします」
私は言葉を重ねた。
こうでも言わないと、お人好しのこの人達は離れてくれないと思ったのだ。
最初に折れてくれたのは実梨さんだった。
「あれから凄く怖くて。和泉様に何の罪もないことは分かっているのですけれど……」
「いいんです。実梨さんに万一のことがあったら大変ですから。佳代さん、幸さん。実梨さんをお願いします」
こういう言い方をすれば、2人も断れまい。
「……気に食わない。でも仕方ないわね」
「みのりんのことは任せて」
案の定。
これで3人組は大丈夫だろう。
「オレも一旦距離を置こう」
冬馬がそう言ったのは少し意外だった。
ずきんと胸が傷んだのはきっと気のせいだ。
「勘違いするなよ? オレの和泉に不愉快な思いをさせている奴をとっ捕まえるためだ」
「せやな。わいも協力するわ」
ナキも協力してくれるようだ。
犯人の目的も気になる。
私から人を遠ざけて得られるものとは一体何なのだろう。
「なら俺もそうするとしよう。俺は冬馬とは逆に、犯人を捕まえるのではなく、和泉の身辺をそれとなく警護することにする」
誠が身辺警護を買って出てくれた。
「ちょっ……。そっちをオレにやらせろよ」
「冬馬も腕っ節には自信があるのだろうが、誰かを守るというのは単純ではない。ここはこらえて俺に任せろ」
「ちっ……。絶対に守れよ?」
「無論だ」
冬馬がしぶしぶといった様子で同意すると、誠は静かに頷いた。
「女子寮内のことは私にお任せ下さい」
「そうだな。仁乃、頼む。ただ無茶はするな。素人の出来ることはたかがしれている。すぐに周りに協力を求めろ」
「分かりましたわ」
仁乃さんもそう言ってくれた。
「適度に距離をとって下さいね。危ないですから」
「ご安心なさいませ。お姉さまが自分より他人の安否を気にする方だというのは、重々承知しておりますわ」
いや、そんなに善人なつもりはないんだけどね。
「おれは何も出来そうもねーや。でも面倒事を増やすのは本意じゃねーし。俺も様子見かな」
「わ、私もお役に立てそうにありませんし……」
嬉一と遥さんも同意した。
ところが――。
「あたしは絶対離れないから」
いつねさんは聞き分けてくれなかった。
「いつねさん。本当に危険なんです。命に関わるかもしれないんですよ」
「それでもイヤ。いずみんを1人にするくらいなら、自分の体張る方がいい」
どう説得したものかと思案していると、
「俺も専門家じゃない。和泉はともかくいつねにまでは手が回らんぞ。自分の身は自分で守ってもらうことになるが、それも覚悟の上か?」
「もちろん」
警護役の誠がやや厳しめの言葉を向けたのだが、いつねさんにはなしのつぶて。
誠は身辺警護を買って出てくれたけれど、彼は別のクラスだ。
常に目を光らせていてくれる訳ではない。
可能性は低そうだけど、授業中を狙われればどうしようもないだろう。
いつねさんの安全を考えれば、ここは是が非でも距離を置いてもらうべきだ。
……仕方ない。
「本音を言いましょう。迷惑です」
ごめん、いつねさん。
「いつねさんがいて下さっても、私にとっては意味がありません。余計な心労が増すだけです」
「いずみん……」
いつねさんの傷ついたような顔を見るのが辛い。
でも、彼女を危険にさらすよりはずっとマシだ。
「入学式の日の、私の宣言を思い出して頂ければと思います。それでは失礼」
話を強引に終わらせて、私は席を立った。
いつねさんが何ごとか言おうとするのを、誠が説得しているようだったけれど、私は振り返らず、話の内容にも耳を貸さず、その場を後にしようとした。
すると冬馬が追ってきて、こう言った。
「犯人……。いや、実行犯は意外と身近にいるかもしれないぞ」
0
あなたにおすすめの小説
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる