私の遺書

青山華

文字の大きさ
1 / 2
3月、花粉症

理由

しおりを挟む
 私は私の遺書を書くことにした。それはシャワーを浴びている時に不意に、「ああ、死にたいなあ、遺書を書かなくちゃ。この気持ちを誰にも知られずに死ぬことは寂しい。」と思ったからだ。これから1年を通して自分の気持ちを日記のようにここに綴っていくことで、このなんとも表現のかなわない気持ちを昇華できることを願ってやまない。

 死にたいと思う理由は、毎日違う。そんな今日は、友達と大学の話をしている時に思った。
 親は私が中学3年生の時に進学についての相談をした時、
「うちはみんな専門学校しか行かせないよ、女の子は手に職を付けておけば結婚しても出産してもまた仕事に就きやすくなるからね。」
と、言った。何を言おうにもまず私は3人姉妹の中間っ子である。なので高卒で働き始めていた親の言いたいことももちろん分かるのだ。しかし最初から選択肢を与えないというのはどうなのだろうか?私は高校生の時勉強をとにかく頑張っていていつも上位20位以内には入っていたし、指定校推薦も狙える成績を持っていた。そもそも、やりたいことも決まっていないのにいきなり専門学校へ行けと言われてもピンとこないのも当然だろう。
 しかし、中学3年生の私は、『そういうものなのだな』と、納得せざるを得なかった。よってこの時点で私の中には自分が大学進学をするという認識自体がそもそも消え失せたのである。
 その話をする度に、親は自分の子供を育てきれる経済力もないのになぜ3人も産んでしまったのかと思うのだ。何かに集中する時間は今この世界に自分1人のような感覚になれることから、勉強をする事は好きであった。本音を言えば勉強をしていたかったのだが私には妹がいる。妹を盾にする訳では無いが、自分の家の経済状況位はわかっているつもりだ。そんな仕方の無さに苛立ちを通り越して絶望を覚えたのであった。
 この先もこんな風に自分の選べる選択肢が、自然と奪われながら、思ったことも家族に言えずにある日突然死んでしまったりもするのだろうかと考える。それは、こんな人生を終わらせることが出来るチャンスだと思うと少しワクワクして、逆に死ぬことも出来ずに続いていくこの先の人生を想像すると自分では死ねないけど事故でもなんでもいいから無理矢理終わらせて欲しい、とも毎日考えるのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

処理中です...