おバカな魔族と少女の魔王計画

ユミ

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出会い⑤

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「さて、言い訳を聞こうじゃないか」

 彼女は平静を装ってみえるが、腹の中は煮え繰り返っていた。

 ドラコの元へ転移したまではよかった。
 だが、転移先が悪かったのだ。

 もともとドラコの巣があったであろう場所は、赤ん坊の魔力により消し飛んだ為、残っているのは広大な地面だけだった。

 ドラゴンの巣というのは一朝一夕で出来るものではない。
 人間の家の様に細かい配置があったり、装飾品があったりと様々なのだ。
 その為、自分の巣が作れて一人前みたいな風習がある。

 ドラコも例外無くコツコツと自分の棲家を作っていた。
 しかも、特にこだわりが強く出来上がるまでに数十年を費やしている。
 世界の反対側に行き鉱石を拾ってきたり、海の底にある珊瑚礁を飾りとして使っていた。
 少しでも気に入らなければ破棄し、初めからやり直すという徹底ぶりだ。

 そんな丹精込めて作り込んだ自分の棲家が一瞬で跡形も無く消え去ったのだ。
 その怒りも尋常ではない。

 ドラコの威圧感に思わずたじろぐ。
 しかし、相手がなぜ怒っているのかが理解出来ない。
 カシムの感覚だと、壊れた物はまた作ればいいだろうくらいの軽い気持ちなのだ。

 カシムがドラコと知り合ったのは巣が出来て数十年経ってからである。
 彼女の頑張りや、ドラゴンの習性など興味もなかったので知らなかった。
 その為、頭の中のハテナが増加していく。

「ドラコよ、何をそんなに怒っているのだ?たかが棲家であろう?」

 カシムの心無い言葉にプチンと何かが切れる音が聞こえた。

「カァァァァアシィィイイィィィムゥゥゥゥウウウウ!!!!!!
 そこへなおれぇぇぇぇ!!!!!」

 ドラゴンの咆哮が突風をもたらし、吹き飛ばされそうになる。
 そこへ炎を纏ったブレス、足をふみ鳴らし地面が割れる。
 様々な魔法がカシムを襲う。

 力関係はドラコの方が一枚上手なのでカシムは逃げ惑うしかない。
 なんとか殺されない様に必死に攻撃を避ける。

「す、すまん!!!!私が悪かった!!!!この通り謝るから攻撃をやめてくれ!!!!!
 ああああああああー!!!!!」

 カシムに雷が落ちる。
 バチバチバチと轟音が鳴り響き、光の強さに辺りが真っ白になった。
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