27 / 48
戦い③
しおりを挟む
元の姿に戻った男は、翼を使い、こっちに来いとばかりに宙へ飛び上がる。
カシムはそれを目で追い、同じく飛び上がった。
地面に空気圧が広がる。
衣服が張り付くほどの速度でどんどん高度を上げていく。
先に飛び上がった男が下をチラッと見る。
カシムが追いかけて来るのを確認すると魔力を練り始めた。
手に光が灯る。
カシムもそれを察知し、魔力を溜める。
それと同時に何が来ても良い様に防御魔法も付与した。
仕掛けたのは男だった。
巨大な炎の渦が相手に目掛け落ちて来る。
ゴゥーと唸りを上げた。
瞬時に溜めていた魔力を氷に変え、応戦する。
炎と氷が激しくぶつかり、空気が揺れた。
互いの魔法が消滅する間もなく、男が急降下し、カシムに襲いかかる。
それを軽々といなし、遠心力を利用して鋭く尖った氷を放つ。
男は防御魔法でそれを防ぐと同時に、雷を圧縮した球を無数に作り上げ投げた。
雨の様に降って来る雷球を相手はすんでのところで避ける。
お互い力が拮抗しているのか、当たる気配がない。
思わず男は舌打ちをする。
このまま埒があかないと狙いを少女に向けた。
あの少女へ攻撃すれば、カシムはそれを庇いに行くだろう。
その隙をついて、攻撃すれば良い。
だが、そんなことお見通しとばかりに足元の広範囲に防御魔法を展開する。
男は炎を放つも弾かれてしまった。
「だったら………!!!」
男は防御魔法に向けて再び急降下をする。
その勢いはまるで隕石の様だ。
赤いオーラを放ち、纏わりつく。
防御魔法に追突するとその部分だけ砕けた。
勢いは止まらず、地上へ近づく。
そこでカシムは鎖状の魔法を男へ打った。
金に輝く鎖は男に絡みつき捕縛する。
抵抗するが、なかなか引きちぎる事が出来ない。
それを勢いよく引き上げ、自分の前に来させた。
身動きが取れない男は悔しげな表情を浮かべる。
------
リリアムは地上から戦いの光景を眺める。
遥か上空で行われている為、眺めるといっても光の瞬きを見ているだけだが。
それでも凄まじさは轟音と共に伝わってくる。
そういえばと少女はソーシウスの元へ駆け寄った。
もしかしたら、重大な怪我をしているかもしれない。
少年の身体のいたるところを確認し、大事ないということがわかる。
自分は眠っていてわからないが、きっとここまでソーシウスが頑張ってくれたのだろう。
お疲れ様の意味も込めて、気付薬として少年に癒し魔法をかけてあげた。
しかめていた顔が安らいでいく。
それは寝息に変わっていった。
ホッと肩を撫で下ろすと再び上を見上げる。
いまだ衰える気配の無い、荒れ狂う魔法を見て、無意識に祈った。
「カシム……死なないでね……」
カシムはそれを目で追い、同じく飛び上がった。
地面に空気圧が広がる。
衣服が張り付くほどの速度でどんどん高度を上げていく。
先に飛び上がった男が下をチラッと見る。
カシムが追いかけて来るのを確認すると魔力を練り始めた。
手に光が灯る。
カシムもそれを察知し、魔力を溜める。
それと同時に何が来ても良い様に防御魔法も付与した。
仕掛けたのは男だった。
巨大な炎の渦が相手に目掛け落ちて来る。
ゴゥーと唸りを上げた。
瞬時に溜めていた魔力を氷に変え、応戦する。
炎と氷が激しくぶつかり、空気が揺れた。
互いの魔法が消滅する間もなく、男が急降下し、カシムに襲いかかる。
それを軽々といなし、遠心力を利用して鋭く尖った氷を放つ。
男は防御魔法でそれを防ぐと同時に、雷を圧縮した球を無数に作り上げ投げた。
雨の様に降って来る雷球を相手はすんでのところで避ける。
お互い力が拮抗しているのか、当たる気配がない。
思わず男は舌打ちをする。
このまま埒があかないと狙いを少女に向けた。
あの少女へ攻撃すれば、カシムはそれを庇いに行くだろう。
その隙をついて、攻撃すれば良い。
だが、そんなことお見通しとばかりに足元の広範囲に防御魔法を展開する。
男は炎を放つも弾かれてしまった。
「だったら………!!!」
男は防御魔法に向けて再び急降下をする。
その勢いはまるで隕石の様だ。
赤いオーラを放ち、纏わりつく。
防御魔法に追突するとその部分だけ砕けた。
勢いは止まらず、地上へ近づく。
そこでカシムは鎖状の魔法を男へ打った。
金に輝く鎖は男に絡みつき捕縛する。
抵抗するが、なかなか引きちぎる事が出来ない。
それを勢いよく引き上げ、自分の前に来させた。
身動きが取れない男は悔しげな表情を浮かべる。
------
リリアムは地上から戦いの光景を眺める。
遥か上空で行われている為、眺めるといっても光の瞬きを見ているだけだが。
それでも凄まじさは轟音と共に伝わってくる。
そういえばと少女はソーシウスの元へ駆け寄った。
もしかしたら、重大な怪我をしているかもしれない。
少年の身体のいたるところを確認し、大事ないということがわかる。
自分は眠っていてわからないが、きっとここまでソーシウスが頑張ってくれたのだろう。
お疲れ様の意味も込めて、気付薬として少年に癒し魔法をかけてあげた。
しかめていた顔が安らいでいく。
それは寝息に変わっていった。
ホッと肩を撫で下ろすと再び上を見上げる。
いまだ衰える気配の無い、荒れ狂う魔法を見て、無意識に祈った。
「カシム……死なないでね……」
0
あなたにおすすめの小説
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる