おバカな魔族と少女の魔王計画

ユミ

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決着②

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 捕縛を解除すると、チネハは悪態をつきながら何処かへと飛んでいった。
 先程の様子を見る限り、今回の様な事は起きないだろう。

 たまに見にいってみるか?などと考えているとソーシウスが目を覚ました。

「森?あいつはどこに行ったんだ?」

「心配しなくてももう大丈夫ですよ、王様」

 少年が気を失ってからの事を話してあげた。
 カシムがチネハと戦った事。
 捕縛して呪い(?)をかけた事。
 守ってくれた事に対する感謝の言葉。
 それを聞き、ソーシウスは安堵の表情を浮かべた。

「そうか、終わったんだな」

「王様はまだ終わってませんよ。これから事後処理、頑張ってくださいね」




 ------



 ソーシウスを王城まで送り届け、依頼を破棄してもらい、ベリオット帝国を後にした。

 現在地、ギズベリン王国。
 事の詳細を伝えに戻ってきたのだ。

 流石に普通の少女だと思われているリリアムが全てを喋るわけにもいかないので、ソーシウスに手紙を書いてもらった。
 そこには経緯の他に、謝罪と再び同盟を組んではくれまいかという願いも一緒に書かれていた。
 国王は満足げにうなづいている。

「カシム殿、ありがとうございます。誠に申し訳ないが、先日の依頼は破棄させていただいても宜しいでしょうか?」

「かまわない」

「ありがとうございます。お詫び……というかお礼の品をご用意しましたので、受け取ってください」

 王が手を叩くと、奥から箱を持ったメイド達が次々と現れ、カシム達の前に置いていく。
 国の特産品やら食材、財宝もあった。

 流石に貰いすぎでは?とリリアムは目を白黒させた。


 ------


 あれから一週間程経ち、二通の手紙が届いた。

 一つはギズベリン王国。
 再度同盟を組めた事への感謝の気持ちや、今度は観光として遊びに来て欲しいといった内容が書かれていた。
 律儀な国王である。

 もう一つはベリオット帝国。
 国民への謝罪や店への援助、無理矢理徴兵していた者達には金一封包んで家へと帰した。
 まだまだやらなければならない事は山積みだが、出来るだけ早く信頼を取り戻し、民達にとって住みやすい環境を目指していくと書かれていた。

 そして最後の一文を読み、少女は飲んでいたお茶を吹き出す。



『いつか、リリアムに相応しい男になった時会いに行く』



 魅了魔法はとっくに解けているはずなのにと、一緒に送られてきたお礼の品を見ながらぽそりと笑った。
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