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海へ②
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地図を頼りに海域を泳いで進む。
幸いにも巨大な魔物に出会う事なく族長の家に到着できた。
他の人魚の家に比べ二回り程度大きく、しっかりした造りをしている。
先程と同様に扉を叩く。
「空いている、入ってきなさい」
中から、野太い声が聞こえた。
言われたとおり扉を開け、入る。
そこにいたのは、髭を蓄えた大きめの人魚と、同じく大きめの身体を海藻でぐるぐる巻きにされて横たわっている人魚がいた。
「お前が族長か?」
「いかにも。私は全ての人魚達をまとめているものだ。君達は何故ここへ来た?」
「他の人魚さんから聞いたよ。このお兄さんは大丈夫なの?」
「眠ってはいるが、命に別状はないとのことだ。今の海は危ないから陸へ戻った方がいい」
そう言うと若い人魚に視線を下ろす。
時々呻き声を上げるので、その度に頭を撫でている様だ。
「その魔物。私が倒そうか?」
突然の無謀な言葉を聞き、族長は思わず声を荒げる。
「簡単に言ってくれるな。私の息子でさえこの有様だと言うのに、陸の者に何が出来る!…………すまぬ、出て行ってくれ」
悲しそうな声だ。
リリアムはこれ以上は居られないと思い、カシムを引っ張って外へ出た。
「今回の魔物倒せたら人魚達に尊敬されて魔王になる第一歩になりそうだね。問題は何処にいるかだよねぇ」
「そうだな。彷徨いていると言っていたし、案外すぐ見つかるのではないか?」
巨大な魔物と同じ様に辺りを彷徨いてみる事にした。
だが、見つけたい時に限って見つからない。
今日のところは引き上げて、また明日潜ろうと陸に向かっていると………。
ドドーーーーーーーン!!!!!!
下方の岩が破壊されて、飛び散っているのが見えた。
もしかしたらと近づいてみると、例の巨大な魔物と思われる生き物が人魚に襲い掛かっている。
手に網を持ち、貝が入っている事から考えるに、食料調達の為に出てきたのであろう。
巨大な魔物の突進をすんでのところで避けている。
その魔物は魚の形をしていた。
大きさもドラゴンのドラコと同じ位だ。
鱗やヒレ部分は鋭く、まるで刃と言わんばかりにギラついている。
口の中は無数の牙で覆われ、噛みつかれでもしたらひとたまりもない。
目は複数個あり、ギョロギョロと動いている。
早く助けてあげないと!!
スピードを上げ、更に近付く。
だが………。
------ぐちゃっ。
必死で逃げていた人魚は魔物の口へ収まる。
魔物は何度も何度も咀嚼。
その度に身体が切断され、悲鳴がこだました。
辺りには鮮血が充満している。
やがて悲鳴も聞こえなくなり、次の獲物を探しに魔物は移動を始めた。
少女はあまりにショックな光景に動けなくなり、カシムは少女を抱いて陸を目指した。
幸いにも巨大な魔物に出会う事なく族長の家に到着できた。
他の人魚の家に比べ二回り程度大きく、しっかりした造りをしている。
先程と同様に扉を叩く。
「空いている、入ってきなさい」
中から、野太い声が聞こえた。
言われたとおり扉を開け、入る。
そこにいたのは、髭を蓄えた大きめの人魚と、同じく大きめの身体を海藻でぐるぐる巻きにされて横たわっている人魚がいた。
「お前が族長か?」
「いかにも。私は全ての人魚達をまとめているものだ。君達は何故ここへ来た?」
「他の人魚さんから聞いたよ。このお兄さんは大丈夫なの?」
「眠ってはいるが、命に別状はないとのことだ。今の海は危ないから陸へ戻った方がいい」
そう言うと若い人魚に視線を下ろす。
時々呻き声を上げるので、その度に頭を撫でている様だ。
「その魔物。私が倒そうか?」
突然の無謀な言葉を聞き、族長は思わず声を荒げる。
「簡単に言ってくれるな。私の息子でさえこの有様だと言うのに、陸の者に何が出来る!…………すまぬ、出て行ってくれ」
悲しそうな声だ。
リリアムはこれ以上は居られないと思い、カシムを引っ張って外へ出た。
「今回の魔物倒せたら人魚達に尊敬されて魔王になる第一歩になりそうだね。問題は何処にいるかだよねぇ」
「そうだな。彷徨いていると言っていたし、案外すぐ見つかるのではないか?」
巨大な魔物と同じ様に辺りを彷徨いてみる事にした。
だが、見つけたい時に限って見つからない。
今日のところは引き上げて、また明日潜ろうと陸に向かっていると………。
ドドーーーーーーーン!!!!!!
下方の岩が破壊されて、飛び散っているのが見えた。
もしかしたらと近づいてみると、例の巨大な魔物と思われる生き物が人魚に襲い掛かっている。
手に網を持ち、貝が入っている事から考えるに、食料調達の為に出てきたのであろう。
巨大な魔物の突進をすんでのところで避けている。
その魔物は魚の形をしていた。
大きさもドラゴンのドラコと同じ位だ。
鱗やヒレ部分は鋭く、まるで刃と言わんばかりにギラついている。
口の中は無数の牙で覆われ、噛みつかれでもしたらひとたまりもない。
目は複数個あり、ギョロギョロと動いている。
早く助けてあげないと!!
スピードを上げ、更に近付く。
だが………。
------ぐちゃっ。
必死で逃げていた人魚は魔物の口へ収まる。
魔物は何度も何度も咀嚼。
その度に身体が切断され、悲鳴がこだました。
辺りには鮮血が充満している。
やがて悲鳴も聞こえなくなり、次の獲物を探しに魔物は移動を始めた。
少女はあまりにショックな光景に動けなくなり、カシムは少女を抱いて陸を目指した。
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