42 / 48
崖へ②
しおりを挟む
「そこの者、名前は何て言うのかしら?」
「カシムだ、こっちはリリアム」
「カシム………ああ~、元々凶暴だったのに人間なんかに手懐けられちゃってるって噂の、あのカシムね」
族長は足を組み、髪の毛を弄りながらニヤニヤしている。
他の鳥人達も笑いを堪えている様だ。
「カシム、あなた魔王になりたいだなんて本当?あんなリスクしかないもの、バカしかなりたいなんて思わないわ」
「どう捉えてもらおうとも構わない。お前達はどうやったら仲間になってくれるんだ?」
あくまでも真正面からの態度に少し面を食らう。
「そうねぇ……、バカの仲間になんてなりたくないけど………どうしてもっていうなら鳥人流の力比べに勝てたのなら良いわよ。但し、あなたが負けたら一生私達のオモチャになってもらうけど、それでも良いかしら?」
明らかに分が悪い。
少女は待ったをかけようとしたが、カシムは承諾してしまった。
それを聞くや否や、先程の鳥人の男は勢い良く外に飛び出し叫んだ。
「みんなー!!聞いてくれー!!力比べが始まるぞー!!祭りだぁぁぁあ!!!!」
他の鳥人達から歓声が起こる。
店を営んでいる者はひと稼ぎしようと飲み物や食べ物の準備を、それ以外の者はまた別の者に触れ回った。
周りの雰囲気に圧倒され、目をパチクリする。
族長に何がどうなったいるのか聞こうとするが、いつの間にか族長はいなくなっていた。
「カシムとやら、力比べの準備をしているのでしばし待て」
護衛の一人から簡素な説明を受け、その場で待つ。
しかし、リリアムは外の様子が気になりウロウロしている。
行きたいけど、飛ぶ事が出来ないので物理的に行けない。
かといって、これから力比べをするカシムに頼むのもはばかられる。
結果的に外を見たり、カシムを見たり、忙しない状態になっていた。
そこでカシムは準備が整ったら教えてもらえる様に護衛に一声掛け、少女を抱いて飛び立った。
彼女は飛ぶ感覚にまだ慣れていないので服にしがみついている。
外から眺めると、元々賑やかだったのが更に騒がしくなっていた。
売り子も空を行き交っている。
カシム達のところにも来たので、肉串を注文し購入。
一口食べた瞬間、肉汁がジュワッと染み出し、口いっぱいに広がった。
少女から笑みが溢れる。
他にも甘味や魚等、沢山の飲食物が売り買いされていた。
誰もがはしゃいでいる。
鳥人の感覚では力比べはスポーツ競技の様なものなのだ。
滅多に開催されないので、始まった時のワクワクドキドキする感じがたまらないらしい。
賭けの対象としてもみられるので、一攫千金を狙った大人達も目をギラギラさせていた。
それからほどなくして、カシムは護衛に呼ばれた。
「カシムだ、こっちはリリアム」
「カシム………ああ~、元々凶暴だったのに人間なんかに手懐けられちゃってるって噂の、あのカシムね」
族長は足を組み、髪の毛を弄りながらニヤニヤしている。
他の鳥人達も笑いを堪えている様だ。
「カシム、あなた魔王になりたいだなんて本当?あんなリスクしかないもの、バカしかなりたいなんて思わないわ」
「どう捉えてもらおうとも構わない。お前達はどうやったら仲間になってくれるんだ?」
あくまでも真正面からの態度に少し面を食らう。
「そうねぇ……、バカの仲間になんてなりたくないけど………どうしてもっていうなら鳥人流の力比べに勝てたのなら良いわよ。但し、あなたが負けたら一生私達のオモチャになってもらうけど、それでも良いかしら?」
明らかに分が悪い。
少女は待ったをかけようとしたが、カシムは承諾してしまった。
それを聞くや否や、先程の鳥人の男は勢い良く外に飛び出し叫んだ。
「みんなー!!聞いてくれー!!力比べが始まるぞー!!祭りだぁぁぁあ!!!!」
他の鳥人達から歓声が起こる。
店を営んでいる者はひと稼ぎしようと飲み物や食べ物の準備を、それ以外の者はまた別の者に触れ回った。
周りの雰囲気に圧倒され、目をパチクリする。
族長に何がどうなったいるのか聞こうとするが、いつの間にか族長はいなくなっていた。
「カシムとやら、力比べの準備をしているのでしばし待て」
護衛の一人から簡素な説明を受け、その場で待つ。
しかし、リリアムは外の様子が気になりウロウロしている。
行きたいけど、飛ぶ事が出来ないので物理的に行けない。
かといって、これから力比べをするカシムに頼むのもはばかられる。
結果的に外を見たり、カシムを見たり、忙しない状態になっていた。
そこでカシムは準備が整ったら教えてもらえる様に護衛に一声掛け、少女を抱いて飛び立った。
彼女は飛ぶ感覚にまだ慣れていないので服にしがみついている。
外から眺めると、元々賑やかだったのが更に騒がしくなっていた。
売り子も空を行き交っている。
カシム達のところにも来たので、肉串を注文し購入。
一口食べた瞬間、肉汁がジュワッと染み出し、口いっぱいに広がった。
少女から笑みが溢れる。
他にも甘味や魚等、沢山の飲食物が売り買いされていた。
誰もがはしゃいでいる。
鳥人の感覚では力比べはスポーツ競技の様なものなのだ。
滅多に開催されないので、始まった時のワクワクドキドキする感じがたまらないらしい。
賭けの対象としてもみられるので、一攫千金を狙った大人達も目をギラギラさせていた。
それからほどなくして、カシムは護衛に呼ばれた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる