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二章
45話 ツタ⭐︎
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布が溶けたり焼けるように痛いということはないため、ツタ自体には毒性がなさそうなことが救いだろうか。
だがこの後のことを考えるとなんとかしなくては命に関わる。
ズルズルと、意外にもゆっくりと、しかし確実に崖の方に引き摺られているのだ。
「……っ!? なに……っ?」
ツタは足に絡みついて崖に向かって引き摺るだけでなく、まるで意志を持っているかのようにピングの黒いローブ内に侵入してきた。制服の裾やボタンとボタンの間を通って、細い毛の生えたガザガサとした植物の感触が素肌に広がっていく。
「ひ、……ぁっ、くすぐったいやめろ!」
地面に擦れて手が痛いと言っている場合ではなくなった。
脇腹に脇下などの皮膚が薄い部位を蠢くツタの触感にピングは身悶える。ゾクゾクと背筋に痺れが走り、逃れようとする力が抜けていく。
「ん……っ、ゃ、だぁ!」
胸囲に巻き付いてきたツタが敏感な突起を強く刺激してきた。命の危険にも関わらず甘い息が漏れてしまい、ピングは訳が分からなくなる。
正気を保とうともがけばもがくほど、ツタはしつこく絡みつく。
気がつけばツタはズボンの中にも入ってきて、内腿をまさぐっていた。
「っは、ぁ……ぁぅ」
こんな時なのに腹の奥が熱くなってくる。情けなさと悔しさと恐怖で、ピングは歯を食いしばり、目に涙が浮かんでくるのが止められない。
「ピング殿下!」
張りのある救いの声が聞こえたのは、崖から落ちる寸前だった。
地面から手が離れて浮遊感に身をすくめた瞬間、獣の咆哮と共にピングの体はツタから引き剥がされる。
「……っティーグレ!」
ピングを抱いているのは、ホワイトタイガーに跨ったティーグレだった。ホワイトタイガーに引き千切られたツタがバラバラと崖の下に落ちていく。
ティーグレが呪文と共に空に手を掲げると、大きな魔法陣が輝き雷鳴が轟いた。直後、崖の下の森から耳をつんざぐ不気味な断末魔が聞こえてきてピングは耳を塞ぐ。
空気がビリビリと震える中で、ホワイトタイガーは難なく地面に着地した。
崖からは少し離れ、木々の影になる場所でティーグレが顔を覗き込んでくる。
「遅くなってすみません」
「ティーグレ……っ」
逞しい腕に包まれて、ピングは胸にしがみついた。
ティーグレの鼓動が聞こえてくる。慣れ親しんだ香りと温もりに安心してポロポロと涙が溢れてきた。
髪に頬を擦り寄せられるのが伝わってくる。かすり傷だらけでひりつく手足などお構いなしで、ピングはひたすらティーグレの名前を呼んで肩を震わせた。
どのくらいそうしていただろうか。
ピングが大きく息を吐いたタイミングで、
「怪我してますよね。治癒するんで見せてください」
と、身体を離される。
温もりが名残惜しかったが、ピングは素直に従った。
ホワイトタイガーを降りたティーグレは、そこで初めてピングの現状の姿を確認した。座ったままのピングを見上げて口を覆い、目を逸らすティーグレ。
首を傾げながらもピングは自分の姿を見下ろし、絶句する。
酷い格好になっている。
全身泥だらけなのはもちろんのこと。
黒いローブは破れてはだけており、浅葱色の詰め襟もボタンがちぎれて薄い肌着が見えている。その肌着も、魔草が擦ったせいかところどころ小さな穴が開いてしまっていた。
何より、ズボンが臀部の半分が見えるほどまで脱げている。ピングの中心が頭をもたげているのが丸見えになってしまっていた。
慌ててローブを閉じて身体を隠したピングは、羞恥で顔がみるみる赤く染まっていく。
「あ、わ……あの……っ! わた、私は……! 見ないで……っ」
落ち着いたはずの涙がまた青い瞳から溢れてきた。
緊急事態に魔草に身体を弄られて反応した、浅ましい身体をティーグレに見られてしまった。きっと呆れられているに違いない。
ピングはホワイトタイガーの上で膝を曲げ、背中を丸めて小さくなる。
「……見たことを忘れてくれ……」
首まで真っ赤になりながら消え入りそうな声で呟き、肩を震わせるピングの頬に手が触れた。
だがこの後のことを考えるとなんとかしなくては命に関わる。
ズルズルと、意外にもゆっくりと、しかし確実に崖の方に引き摺られているのだ。
「……っ!? なに……っ?」
ツタは足に絡みついて崖に向かって引き摺るだけでなく、まるで意志を持っているかのようにピングの黒いローブ内に侵入してきた。制服の裾やボタンとボタンの間を通って、細い毛の生えたガザガサとした植物の感触が素肌に広がっていく。
「ひ、……ぁっ、くすぐったいやめろ!」
地面に擦れて手が痛いと言っている場合ではなくなった。
脇腹に脇下などの皮膚が薄い部位を蠢くツタの触感にピングは身悶える。ゾクゾクと背筋に痺れが走り、逃れようとする力が抜けていく。
「ん……っ、ゃ、だぁ!」
胸囲に巻き付いてきたツタが敏感な突起を強く刺激してきた。命の危険にも関わらず甘い息が漏れてしまい、ピングは訳が分からなくなる。
正気を保とうともがけばもがくほど、ツタはしつこく絡みつく。
気がつけばツタはズボンの中にも入ってきて、内腿をまさぐっていた。
「っは、ぁ……ぁぅ」
こんな時なのに腹の奥が熱くなってくる。情けなさと悔しさと恐怖で、ピングは歯を食いしばり、目に涙が浮かんでくるのが止められない。
「ピング殿下!」
張りのある救いの声が聞こえたのは、崖から落ちる寸前だった。
地面から手が離れて浮遊感に身をすくめた瞬間、獣の咆哮と共にピングの体はツタから引き剥がされる。
「……っティーグレ!」
ピングを抱いているのは、ホワイトタイガーに跨ったティーグレだった。ホワイトタイガーに引き千切られたツタがバラバラと崖の下に落ちていく。
ティーグレが呪文と共に空に手を掲げると、大きな魔法陣が輝き雷鳴が轟いた。直後、崖の下の森から耳をつんざぐ不気味な断末魔が聞こえてきてピングは耳を塞ぐ。
空気がビリビリと震える中で、ホワイトタイガーは難なく地面に着地した。
崖からは少し離れ、木々の影になる場所でティーグレが顔を覗き込んでくる。
「遅くなってすみません」
「ティーグレ……っ」
逞しい腕に包まれて、ピングは胸にしがみついた。
ティーグレの鼓動が聞こえてくる。慣れ親しんだ香りと温もりに安心してポロポロと涙が溢れてきた。
髪に頬を擦り寄せられるのが伝わってくる。かすり傷だらけでひりつく手足などお構いなしで、ピングはひたすらティーグレの名前を呼んで肩を震わせた。
どのくらいそうしていただろうか。
ピングが大きく息を吐いたタイミングで、
「怪我してますよね。治癒するんで見せてください」
と、身体を離される。
温もりが名残惜しかったが、ピングは素直に従った。
ホワイトタイガーを降りたティーグレは、そこで初めてピングの現状の姿を確認した。座ったままのピングを見上げて口を覆い、目を逸らすティーグレ。
首を傾げながらもピングは自分の姿を見下ろし、絶句する。
酷い格好になっている。
全身泥だらけなのはもちろんのこと。
黒いローブは破れてはだけており、浅葱色の詰め襟もボタンがちぎれて薄い肌着が見えている。その肌着も、魔草が擦ったせいかところどころ小さな穴が開いてしまっていた。
何より、ズボンが臀部の半分が見えるほどまで脱げている。ピングの中心が頭をもたげているのが丸見えになってしまっていた。
慌ててローブを閉じて身体を隠したピングは、羞恥で顔がみるみる赤く染まっていく。
「あ、わ……あの……っ! わた、私は……! 見ないで……っ」
落ち着いたはずの涙がまた青い瞳から溢れてきた。
緊急事態に魔草に身体を弄られて反応した、浅ましい身体をティーグレに見られてしまった。きっと呆れられているに違いない。
ピングはホワイトタイガーの上で膝を曲げ、背中を丸めて小さくなる。
「……見たことを忘れてくれ……」
首まで真っ赤になりながら消え入りそうな声で呟き、肩を震わせるピングの頬に手が触れた。
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