子持ち専業主婦のアラサー腐女子が異世界でチートイケメン貴族になって元の世界に戻るために青春を謳歌する話

虎ノ威きよひ

文字の大きさ
96 / 134
第二章

聞いてない

しおりを挟む
 ラナージュの説明はまだ続いた。

 なんと、ラナージュはこの世界で既に4回死んでしまっていて、今回は5回目のチャレンジなのだという。
 死亡確実のライバル令嬢に異世界転移した上にループ物とは。辛い。
 
 あと、とても重要な情報なのだが。
 この世界で死ぬとまた一番初めのフワフワ空間に戻り、あのイケメンと話し、最初からやり直しになるらしい。

「聞いてない」
「聞かないと答えてくれませんの」
「お役所仕事か」

 マジでBL漫画を書き散らしてやろうかあの野郎。
 
 ただ、聞いたところ私とラナージュでは状況が違うので一概にルールが同じかは分からない。
 死んでも大丈夫!なんて油断は禁物だ。
 
 ラナージュは初めから、この学園の舞台がスタートだった。
 つまり、目が覚めたらいきなり入学式だったということだ。
 大好きでやり込んだゲームだったから良かったものの、1回目は相当戸惑ったらしい。

 3年を4回、プラス今回の1年目を1回で計13年この世界にいる。
 魔王とシンの接触を阻もうにも学園生活の3年をループする兼ね合いで不可能だったようだ。
 
 しかし今回。
 明らかに今までとは様子が違うシン・デルフィニウムが入学してきた。
 お取り巻きに囲まれていないし、皇太子に喧嘩を売るし、魔術以外は一番にはならない。
 ていうか、なれないんだわ。

「何よりシンはネルスに抱きついたりしませんわ」
「もしかして、入学式の日に見ていたのは」
「私ですわ。時が止まったかと思いましてよ」

 なるほど。
 あの時はやっぱり聞かれていたのか。
 そして全く噂になったりしなかったのはそのせいだったのか。聞かれた相手がラナージュで良かった。
 他の人だったら皆の記憶を消して回るという面倒なことをしなければならなかったかもしれない。
 
 人格の変わり方が自分と重なる部分があったらしい。
 本当はすぐにでも私に確認したかったが、確証が持てなかったという。
 何故なら、ネルスもゲームとは様子が違ったからだ。

「ネルスは、人嫌いの卑屈キャラです。いつも親戚のシンの日陰となっていて自己肯定感も低くて『僕なんか』が口癖のような子」
「誰それ」
「ネルス・クリサンセマムのキャラ設定ですわ」

 おそらく、私との関係性が違いすぎるせいで性格も別人になってしまったのだ。
 めちゃくちゃ可愛がったからな。勉強もネルスの方が出来るし。

 私とネルス、どちらかが今回の鍵になると踏んで観察していたのだとか。
 観察されてたのか。

「1年間見てきて、まぁ貴方でしょうと。ネルスの性格設定はシンの在り方に影響されていますが、シンはネルスの性格が明るくてもここまで変わらないでしょうし」
「なるほど」

 それが大正解だったわけだ。
 
 ラナージュは上品な所作で立ち上がる。
 そして、私の前に手を差し出した。
 キラキラとした紅い瞳が私を映す。

「貴方と協力し合って、今度こそ生き残りますわ」
「よし、生き残りたいのは私も同じだ」

 出された手をしっかりと握る。
 何だこの光景。
 
 私にとって最悪で高難易度なストーリーであることを知ってしまった絶望感が押し寄せてくるが、先に知れて良かったと思うべきだろう。
 この世界観のゲームをやり込んだ協力者まで出来て万々歳だった。
 
「でも、具体的にはどうしたらいいんだ?」
「それが分かれば私はとっくに帰ってますのよ」
 
 ですよねー! 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

異世界のんびり放浪記

立花アルト
ファンタジー
異世界に転移した少女リノは森でサバイバルしながら素材を集め、商人オルソンと出会って街アイゼルトヘ到着。 冒険者ギルドで登録と新人訓練を受け、採取や戦闘、魔法の基礎を学びながら生活準備を整え、街で道具を買い揃えつつ、次の冒険へ向けて動き始めた--。 よくある異世界転移?です。のんびり進む予定です。 小説家になろうにも投稿しています。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

処理中です...