20歳の俺が12歳の俺になった話

パンくん

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俺は後悔したくない。

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 結論から言えば、俺は12歳の中学入学式の4月5日にタイムリープしていた。新しい学生服に身を包み、一階へと降りて行く。降りてる最中で母さんの声がした。
「涼太くんも中学生ね…」

母さんと玄関で談笑していたのは、俺の親友の名咲 涼太だ。涼太はサキュバスも逃げ出す程のスケベだ。小学校の時は、女子全員に警戒されてた位のドスケベだった。
だが、誰かを傷付ける事は一切せず友情に厚い事から友達は多い。

「おお、啓太!早く行こうぜ!可愛い女の子を探しに!」

涼太は相変わらずで、大学生になってもこんな感じだったな。坊主で野球少年と言っても違和感が無い出で立ちだからな。これが7年後にあんな姿に…
「啓太!」
そして、涼太の後ろで腕を組んで仁王立ちしてる黒髪ショートの女の子が俺達の幼馴染の霧崎 成羽だ。
身長は低いのだが、幼少期から空手を習っていて、舐めてると痛い目を見る。
「どうよ!じゃじゃーん!」
セーラー服に身を包んだ成羽はくるりと回ると感想を求めて来た。涼太は幼馴染である成羽には興味が無く「男にしか見えない」と、発言した。

「なに!?あんたには聞いてない!」
「ばーか!啓太も同じ気持ちに決まってんだろーが。な?啓太?」

俺は成羽を見ると自然と
「可愛いよ。髪が短いからこその魅力があっていいね」
涼太は呆然とし、成羽は顔を紅潮させていた。その光景を見て俺はやらかした事に気付いた。
母さんはニヤニヤと俺達の姿を見ていて俺は若干恥ずかしくなった。
「ど、どうしたんだ!?お前はこんな男みたいな奴がタイプだったのか!」
涼太は困惑を絵に描いた様な慌てぶりで、成羽は「可愛い…可愛い…」と呟き、俺はあたふたして、母さんはニヤニヤしている。何だろうこのカオス。


「行ってらっしゃーい♪」
ニヤニヤと笑いながら俺達を送り出す母さんにはいつの日か、復讐しようと心に決めた。
「だーかーらー!啓太は、お前に殴られない為にお世辞で言ったんだよ!そんな事も分からないのか」
「はあ!?あんたは啓太を見習いなさい!素直に可愛いって言えば良いじゃない!」

俺を挟んで喧嘩してる二人はとりあえず黙っててくれ。







「俺だけ…違う…クラス…」
「あはは!あんたは日頃の行いが悪いからよ!啓太!よろしくね♪」
「ああ、よろしくな。涼太は…まあ来年に期待しよう」

俺の言葉にトドメを刺された涼太は項垂れた。そして、俺はある女の子を探していた。その女の子は気が弱い性格のせいでイジメに遭い、不登校になった女の子だ。俺は止められなかった事を悔やんでるし、俺が仲間に入れてやればと今でも思ってる。
だからこそ、今度こそ山田 聖を救いたい。そんな事を考えながら歩いてると、暗い顔をしながら俯いてる黒髪おさげの女の子を見つけた。眼鏡を掛けている事などの共通点から彼女が山田 聖だと分かった。

俺は近づくと、声を掛けた。
「あのー「ひゃん!」ああ、怪しい人じゃないから。何か暗い顔してたからさ、何かあったの?」
山田聖は暗い顔のまま。
「な、何でもないです…」
警戒心が高い様で、理由を話してくれる感じはしない。だが、ここで引き下がる俺じゃない。
「君の両親は?友達と来たの?」
すると、山田聖は更に暗い顔で
「友達は居ないし、お母さんとお父さんは…子供より仕事ですから…」
「そうやって自分を騙すんだ」
「そんな…私は…」
「正直になりなよ。寂しいなら寂しいで良いじゃん。そんなに寂しいなら」

俺はイジメをしていた子達が何故イジメをする様になった理由は分かっていた。イジメをしていた女の子3人は勉強を強いられるストレスから逃れたかった。この現代社会が生んだ被害者でもある彼女らも、俺は救いたい。幸いと、中学や高校レベルなら問題無い頭はしてる為に俺が皆の悩みを時間を気にせず解決出来る。
「おーい。君達!そう!そこの3人の女の子!君達も同じクラスだろ?一緒に行かない?」




そう。俺は後悔しない様に行きたい。
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