ラブコメの悪役に転生した俺は痴漢からモブ美少女を助けた結果、好感度爆上がり知らないうちにヒロイン達に囲まれたんだが……

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗

文字の大きさ
10 / 58

第十話

しおりを挟む


「はい。今日の授業はここまで……」


 男性教師が教科書をパタリと閉じる。シャーペンの音がピタリと止まり、ガチャガチャと筆箱に筆記用具を戻す音が静けさを取り戻した教室内に響き渡る。


「引き続き、ホームルームを始めるぞ。
一年の夏は海やプール、川に山様々なレジャーを楽しめる良い季節だ。色恋に勉強を楽しめるまさに『青春』だ!!」


 調子の良い声が窓際の席から上がる。


「先生がそんなこと言ってもいいのかよ」


「あのなぁ……俺は生徒の為を想って言ってるだけだ」


 呆れた様子で言い訳する男性教師に対して、真面目そうな女子生徒は話の腰を折った。


「でも先生夏休みは大分先ですよ?」


 教師は短くそして深い溜息を付く。
 その様子はわかってない。何もわかってないなとでも言いたげである。


「つまり、テストと課題等を頑張って、出席日数を失うなと言う話をしたかったに……お前らときたら……」


 悔しそうな表情を浮かべ、ぐぬぬぬぬと歯ぎしりをする先生を見て教室は笑いに包まれる。


「まあいい。ホームルームで伝えなきゃいけない事があるクラスの係り何かを決めたと思うが、ウチの学校では年間を通して自主活動を行う決まりになっている」


 先生の言葉一つで教室のあちこちから避難の声が上がる。

 思い出した!

 真堂恭介 オ レ が嫌われている理由は、係り決めの時に空気を読まずメインヒロインちゃんと同じクラス委員になろうとした事だった。

 つまり、真堂恭介 オ レ 悪役として序盤はまだ終わっていない……ってコトだ!?

 俺の思考は加速フィジカル・バーストしていた。


不味い。不味い。不味い。


 『カルマ値理論』が正しいと仮定した場合、俺の善行はまだこの世界が俺に課した『悪役』と言う役割ロールから抜け出す程高くないと、周囲の態度から推定される。

 つまり、現在進行している『ボランティア活動』と言う原作第前半のイベントでの『悪役』として設定されかねないのだ。


やばい。ヤバい。ヤバイ……


どうすればルート分岐出来る?

・腹痛を口実に離席するか? 

 それだと小規模なザマァしか喰らわないため、まだ『悪役』として使われる可能性が残ってしまう。

 確か第一巻の『悪役』は、真堂恭介 オ レ と、ボランティア活動の邪魔する大人、そして主人公『若松祐堂わかまつゆうどう』が中学時代に恋をしていた幼馴染だったハズだ。
 このままだと、真堂恭介 オ レ が敵としてパーティー追放モノの追放主のように、ザマァのリサイクルされ兼ねない。

 そうやって俺が一人自問自答している最中、クラスは教師の演説によって、ボランティア活動に意欲的な気運になっている。
 そりゃボランティア活動の歴史的背景を踏まえつつ、『アメリカでは親が多額の金を払ってボランティアの実績を金で買い、高校や大学、果ては企業での面接で活かす』などと言われれば、中二病の残滓を宿しつつも多感で、受験後の無敵間と虚無感を感じている少年少女にクリティカルに響く。

 これと似たような状況になっている人種を俺は知っている。
 後継者の居ない社長だ。
『後継者を探さないといけない病』を発症した経営者は、そう言う思春期の男女に似た不安定さを持っている。
だから不動産詐欺にあって貯金を失ったりするのだ。

閑話休題それはさておき

 そんな絶賛盛り上がっている最中の話し合いの開口一番、真堂恭介 オ レ が『最小の努力で最大のリターンがいいよね』なんて舐めた事を言って冷や水をかけてしまうのだ。

事実でもそりゃ嫌われるわ。

 真堂恭介しんどうきょうすけも多感なお年頃と言う事で多めに見て欲しいものだが……
残念ながらそう上手くはいかないのが物語の悪役というもの。

 ――最終的に彼は “退学処分” にされる

 ハラスメント行為を受けたとして【瑞宝学園高等学校ハラスメント告発サイト】を立ち上げ、実名を交え執拗に追及したことで裁判になり敗訴したと言う事が、後に作者への質問で判明するほど徹底的にザマァされる。

 自分の方が正しいと思っていても、周囲の空気に乗る事はどうしても必要な事だ。
 対人関係が多少苦手でも社会経験を積めば判る事だ。

 教師の説明が終わると、メインヒロインの『若松志乃亜わかまつしのあ』が声を張り上げる。


「何かやりたいことがある人は出来る出来ないは気にしないで気軽に意見を言ってください。ブレインストーミングでより良い意見を出したいです」


 やはりよく通るいい声だ。
 会議において最も重要なのはどんな意見でも言いやすい雰囲気を作る事だ。
 日本人は特に否定されることに弱いため、ブレインストーミングは非常に有効な手段の一つと言える。


「はい!」


気が付くと俺は手を上げていた。


おかしい。

どうして俺は挙手を……?

 トイレ等で離席をしないのならば黙っていることが一番いい選択だったハズなのに……気が付けば俺は手を上げて発言をしようとしている。


どんな発言を?


決まっている。

俺が悪役として確定する発言だ。

これが世界の強制力とでもいうのかっ!?


 真面目にボランティア活動をしようとする主人公やヒロイン、クラスメイトを小馬鹿にするような感情が、真堂恭介しんどうきょうすけと言う人間の根底からムクムクと湧き上がってくる。


なんだ! 

この抗い難い強烈な感情は……

なんなんだよ!!


俺が俺で無くなるような感覚に本能的な恐怖を覚える。
額に脂汗が浮かび、鳥肌が立つのが分かった。


真堂しんどう君……」


若松志乃亜わかまつしのあは心配そうなに声をかけてくれる……



ググググ……

クソッ!

言葉が出ない!! 

もうちょっここまで来てるのに!! 


 定められた運命を変えるために言葉を紡ごうとしても、世界の強制力が邪魔をする。


ルールが判っているのに変えられないとか地獄かよ!!

何か? 俺が親より早く死んだからここは地獄だってことか?


 しかし、答えを返してくれる人間は誰も居ない。
 空しい自問自答だ。


真堂しんどうくん体調悪いの?」


 俺にだけ聞こえる小さな声で成嶋なるしまさんが心配して声をかけてくれる。


「『出来れば何もしたくない゛っつーか、最小限の努力で最大のリターンが欲しい゛よね゛。ウチのクラスはぶっちゃけそういうのにしない?』」


 抵抗空しく原作と殆ど変わらない言葉が口から洩れる。
 しかし、クラスが嘲笑や失笑に包まれることもなければ、若松志乃亜わかまつしのあが怒りに肩を震わせ、チョークを折ることもない。


「体調が悪いなか貴重な意見をありがとう。何となくの方向性は分かったけど、出来れば具体例が欲しい。
ゴミ拾いとか、ペットボトルキャップ集めとか、ベルマークとか、アルミ缶集めとかさ……皆も彼見たいに先ずは方向性だけでもいいから、『先ずは何を重要視するのか?』テーマ見たいなモノから考えてみてくれないかな?」


 原作と多少異なるものの、ルール分岐をするまでには至らないようだ。
 俺は重い腰を椅子に降ろした。

 予想以上に大声が出た。
 オマケに全身から滝のように汗が吹き出てたためシャツが張り付いて気持ち悪い。
 多分目も血走っていたことだろう。

 うんこを我慢していたと思われて小ザマァされたとみなされれば、最悪の結末は回避できるかもしれないんだけど……


「体調悪そうだけどもしかして……」

「みなまでいってやるな……」

「武士の情けをかけてやれ……」


 など、ざまぁされたと言って差し支えない雰囲気になっている。



【あとがき】
評価とう頂けると嬉しいです。
カクヨムさまで先行公開しています。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい

みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。 それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。 願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。 スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。 ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。 ※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。

バイト先の先輩ギャルが実はクラスメイトで、しかも推しが一緒だった件

沢田美
恋愛
「きょ、今日からお世話になります。有馬蓮です……!」 高校二年の有馬蓮は、人生初のアルバイトで緊張しっぱなし。 そんな彼の前に現れたのは、銀髪ピアスのギャル系先輩――白瀬紗良だった。 見た目は派手だけど、話してみるとアニメもゲームも好きな“同類”。 意外な共通点から意気投合する二人。 だけどその日の帰り際、店長から知らされたのは―― > 「白瀬さん、今日で最後のシフトなんだよね」 一期一会の出会い。もう会えないと思っていた。 ……翌日、学校で再会するまでは。 実は同じクラスの“白瀬さん”だった――!? オタクな少年とギャルな少女の、距離ゼロから始まる青春ラブコメ。

S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…

senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。 地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。 クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。 彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。 しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。 悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。 ――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。 謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。 ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。 この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。 陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隣の席のクールな銀髪美少女、俺にだけデレるどころか未来の嫁だと宣言してきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な高校生、相沢優斗。彼の隣の席は『氷の女王』と噂のクールな銀髪美少女、雪城冬花。住む世界が違うと思っていたが、ある日彼女から「私はあなたの未来の妻です」と衝撃の告白を受ける。 その日から、学校では鉄壁の彼女が、二人きりになると「未来では当然です」と腕を組み、手作り弁当で「あーん」を迫る超絶甘々なデレモードに! 戸惑いながらも、彼女の献身的なアプローチに心惹かれていく優斗。これは未来で結ばれる運命の二人が、最高の未来を掴むため、最高の恋をする糖度MAXの青春ラブコメディ。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...