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第三十九話
しおりを挟む暫くは放課後にしかシナリオイベントがないと思っていたためそれは不意打ちだった。
「今日の授業サッカーらしいぞ?」
コミュ力の高いサブキャラクター保科の一言は、少しばかり浮かれ気味だった俺を冷静にさせる。
原作では真堂恭介が、非協力的だったことでセンターラインを抜かれ失点、罰ゲームとして校庭を何往復かさせられると言う。
悪役へのヘイトを貯めるイベントがあったことを思い出した。
「マジかよ!」
「俺小中サッカー部だったから期待してくれよ」
などと授業内容がサッカーとのことで、サッカー部や経験者の連中が自分は凄いんだぞとアピールしている。
理由は単純だ。
男子の体育と女子の体育は隣接する場所で行われるため、女子に対してアピールできるからだ。
自分も含め男と言う生き物は何と単純何だろう……なんて物思いに耽《ふけ》っていると……。
「サッカーじゃなくてフットボールだ」
と皆の輪に水を差したのは、洞口秀夢だった。
原作でも多少西洋かぶれだったが、真堂恭介グループの二番手だった洞口だが、今は悪役グループのリーダーになったことで、西洋かぶれが加速しているようだ。
「どっちでもいいだろそんなもの」
ついそんな言葉が口をついた。
ギロリと睨み付けられるが、リスのように膨れた頬で睨んで来るものだから面白くてつい吹き出しそうになる。
「ヨーロッパでは……」
説明しようとする声に被せる。
「ヨーロッパはどうでもいいだろ? 意味が通れば別にどっちでもよくないか?」
正直俺の中では、超次元サッカーアニメで両方使ってたからどうだっていいことだ。
俺の意見に納得したのか周囲の人間も「確かに」「判ればいいよな」などと同意する。
「クラス合同体育で三チームでミニゲームを三試合するらしいからスポーツ暦教えてよ」
と言い出したのは保科だった。
凄い。直ぐに全体の中心にいられるリーダーシップとコミュ力は尊敬を覚える。
原作では何度も真堂恭介に話しかけてくれるいい奴でもある。
体格は大柄なものの人当たりが良くて物腰も柔らかいく、人とのコミュニケーション能力に長けている。
これぞまさに、創作物における主人公の親友キャラ然とした相応しい立ち振る舞いだ。
学生時代は主人公に憧れたものだが、大人になって判るのは現実で一番モテるのは保科のようなタイプだ。
俺も悪役を脱した後の事を考えて、このコミュ力を少しでも習得したいものだ。
「……真堂は中学時代何部だった?」
「何だったかなぁ~?」
真堂恭介の過去なんて、殆ど語られない作品だったので俺は知らない。
もしかしたら、ファンブックとか作者のTwitterに載っている情報なのかもしれないが、そこまでは追っていない。
「苦手ではないんだよな?」
「全然、身体を動かすのは好きだよ最近散歩とかよくしてるし」
「犬でも飼ってるの?」
「一人で夜の繁華街とか歩くの好きなんだよね」
「変わってると言うか変わったな」
「……」
「こっちで調整しておくから任せてくれ」
「応任せた」
入学後数日でやらかしているとは思えないほど好感触だ。
もしかしたらテンションが上がってやらかしたとか、いいように解釈してくれたのかもしれない。
今のところ俺を悪役にしようとする強制力の気配はない。
だけど……俺は洞口達に視線を向ける。
やる気の無さそうな気怠げな態度で数人でまとまっている。
「お前ら集まってるなー負けた方のチームはグラウンド五周な」
と言う体育教師の無常な一言は、今までやる気の無かった連中をも掻き立てた。
校庭を軽くランニングしてから、ラジオ体操第二で身体を解しその後に柔軟と念入りだ。
チーム分けはあみだくじなどランダムに決められるわけではなく、リーダーを体育教師が決めリーダーがクラスメイトの中から、メンバーを選ぶというドラフト形式になっていた。
「祐堂はウチな」
「じゃあ俺は真堂で……」
祐堂と敵チームになってしまった。
最下位にならないことを目標にしよう。
問題児や友達いないクラスだとドラフトで呼ばれるのも後半になるんだよなぁ~
チームパワーが公平公正になるなんて考えはない。
勝てるように、また仲のいい友達を選んでいく訳だから必然的にチームパワーが均一になる。
後半戦は押し付け合いだ。
悪目立ちしていた俺見たいなタイプや、単純にやる気のないタイプ。友人の少なく選ばれ難い奴からマシな人間を選んで守備に据え、失点したら点を取り返す戦略や先述なんて存在しない団子サッカーそれが、授業スポーツに置ける鉄則だ。
メンバーの選出が終わり保科は俺達チームメイトに、同じ色のゼッケンを配るとコートへ行くように促した。
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