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第五十話
しおりを挟むシリアルやレトルト食品で殆ど仕方なく(現実逃避と言う実利も兼ねて)この世界でも料理を始めたが、元々おいしいモノを食べることが好きな自分には合っていたのだろう……今は結構楽しく料理してる。
そんなこんなで俺達二人は喫茶店を後にして、最寄りのスーパーマーケットに向かう。
美少女しかも推しのヒロインと二人で歩いていると流石に緊張する。
モブに至るまで美人が多いこの世界でも、頭一つ抜け出た女優顔負けの美少女との買い物、しかもその隣を歩いていると思うと、急に周囲の視線が気になる。
もっと頑張らないとな。
「で、スーパーに来たのはいいんですけど何を買うんですか?」
家の近所にある何件ものスーパーマーケットや、薬と化粧品も売ってるスーパー状態のドラッグストアを、モノによって買い回り、その差額を小遣いにしていた買い物マスターな俺だが、さすがにデートが終わったばかりの葛城を連れまわすほどの根性はない。
そのため徒歩圏内の大型スーパーマーケットに来ていた。
「冷蔵庫に無かったのは野菜とかお肉がメインかな……」
記憶を頼りにしながら独り言を呟いた。
「せんぱいなんだか主婦染みてますね」
「俺の将来の夢は専業主夫だ」
「まーたそんな下らないこと言って……」
「俺が頑張るより頑張ってる誰かを支えたいんだよ」
などとそれっぽいことを宣う。
実際は二度と社会に出たくないだけだ。
「バリバリ働く女性を捕まえないといけませんね」
「因みに料理には自信がある」
「胃袋から捕まえる気ですかガチですね……」
「おうよ! 『美味〇んぼ』も『食戟〇ソーマ』も全巻読んでるから大船に乗ったつもりでいてくれ」
「全部漫画じゃないですか! 安心できる要素が一ミリもないんですけど」
「タイタニックに乗ったつもりでいてくれ」
「責めて大船って言ってください! タイタニックだと沈んじゃうじゃないですか!」
「泥船よりはマシだと思うけど……」
「沈んだらせんぱいを突き落としてから、あたしがオールで叩いてせんぱいを沈めてあげます。あたしみたいな美少女の役にたつなら本望ですよね?」
「どこのカチカチ山だよ……」
「ちなみにお昼はどんなものが食べたい? 和洋中だいたい何でもできるけど……」
「そうですねーパスタなんてどうですか?」
「別にいいけど……そんなんでいいの?」
もっと難しかったり面倒な料理を作ることを覚悟していた俺にとっては意外なほど簡単なものだった。
個人的な葛城綾音と言う女の子のイメージは、徹底的な自己管理と女の子らしさを併せ持った娘と言うものだった。
しかし現実を生きる彼女は俺の予想に反して案外俗っぽい。
俗っぽいことが悪いわけではない。
むしろ人間味があっていいとさえ思っている。
「何を食べるかも大事ですけど誰と食べるか? の方があたしにとっては大事なだけです」
「そんなものか……」
「そんなものです」
俺は商店街にある洋食屋の一人息子ではないので、「この程度の○○くらい、俺だってつくれらー!!」と言って料理勝負をすることはない。
「出来る限りのことはしよう」
「せんぱいのそういう控え目なところが大好きです!」
俺は控え目(攻撃↓特攻↑)じゃないぞと心の中で突っ込んでいると、葛城は人目も気にせず抱きついて来る。
フニュりと中学三年にしては御立派な胸が潰れ腕を挟み込む。
ハサミギロチンかな? おっぱい登山家の俺としてはハサミギロチンにも等しい一撃必殺技だ。
ちょ! いきなり抱きついて来るなよな! 胸が胸が当たってるんだけど……その大好きってグラム幾らの大好きですか? 『愛』と一緒でコンビニの右から三番目の棚に298円ぐらいで並んでるの? だったら買うけど……
などと、偽〇語と俺修羅、MJPをごちゃ混ぜにした何かを想起するほど錯乱する。
「あくまで自分好みの料理なんであんま期待しないように」
「はーい」
間延びした返事が返ってきた。
カゴの乗ったカートに頼まれた野菜や肉を行く……。
上段と下段に乗せられた買い物籠の中にはキャベツや大根、白菜に人参と言った野菜が沢山乗せられている。
荷物持ちをさせちゃうけど、土日こそ両親も家に居るだろうし葛城を連れてきてよかった。
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