転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗

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第11話 石鹸と風呂

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「風呂に入りたい……」

「風呂ですか? 都市には公衆浴場がありますが田舎にはありませんね……あっても蒸し風呂ですよ。それに燃料代で幾らかかると思ってるんですか」

「……」

 この世界の燃料と言えば木か魔法の二択だ。
 確かにコストがかかりすぎる。
 マコモだのキャンセルだの度々話題になる風呂だが、個人的には最低でも数日に一度は風呂に入りたい。
 気候風土的にそこまでの頻度で入浴する必要はないのかもしれないが、あまり気分のいいものではない。

 俺は娯楽として風呂に入りたいのだ。
 しかし風呂に入るとしても石鹸がなければ本末転倒だ。
 手始めに石鹼を作ることにした。
 
 人間は石鹸の発明により清潔な生活環境を手に入れたと言っても過言ではない。
 石鹸の歴史は紀元前3000年代に始まるといわれている。

 古代から水だけで落ちにくい汚れに対して粘土や灰汁、などが利用されていたが、やがて動物の肉を焼くときに滴り落ちた脂肪と薪の灰の混合物が発見され石鹸となったと言われている。
 その事実は漢字からも伺える。

「馬の汗は論外として……ムクロジがあればなぁ……」

 ムクロジやソープワート、オリーブ、ブドウの皮、椿、変わり種で言えば馬の汗などはサポニン含有量が多く石鹸の代わりになる。これらの『サポニン』を高濃度で含む植物は、昔は石鹸代わりに洗濯などに用いられてきた。

 しかしそのほとんどは東アジアの作物で大航海時代を待たなければ入ってくることはない植物だ。

「馬の汗は論外だが極めて現実的な落としどころなんだよなあ……こんど行商に欲しいものリスト渡して探してもらうか……」

 荷を引く以外平時の馬は役に立たない。
 エサも半分以下で済む騎乗できる家畜、駆鳥《カケドリ》が存在する。
 首は長く、頭は類似するダチョウに比べて大きく長い2本の足があり、走るときは背中を曲げないので、乗用に用いることができる。

 馬より骨折しやすいものの軍事的に見ても馬力で見てもあまり差はない。流石に農耕馬と比べると力は劣るが……。
 強いて欠点をあげるとすると……定期的に多少の肉が必要ことだろう。
 そんな貴族の見え以外に役に立たない馬に価値を与えられるのだから割り切るべきだろうか?

「油脂にアルカリ性の物質をいれるとできるんだけど……獣系だと臭いし、灰を入れると煙っぽい匂いになるんだよなぁ……洗濯には向いてるけど」

 近代的な石鹸をつくるのが高くとも確実だな。

「火の調節は任せられるか?」

『おっけー』

「分けて貰った油脂と捨油を温め溶けたら、同量の水と塩を入れよく混ぜ30分煮る」

「凄い匂いですね……スープですか?」

 従士が顔を顰めながら訪ねる。

「いや。石鹸を作っている」

「石鹸ってあの石鹸ですか? 隣国によって製法が秘匿されたあれを作れるのですか?」

 石鹸は製法が秘匿されているのか……まあ俺も秘匿するつもりだしこれは改良版を早めに作った方がよさそうだ。
 
 この世界の商売は、個人が荷を運ぶ行商か行商が集団化した隊商《キャラバン》の二つだけだ。
 必然運ぶ量は少なく、商人を何人も経由し商品が消費者に届くため値段は指数関数的に高価になる。

 つまり隣国の値段よりも開始値が高くとも国内流通や、隣国の反対側に限っては安価に売れると言う訳だ。

「ああできる。冷えてくると油脂の膜ができるから不純物を掬い取る。そこに重曹を入れ炊くことで精製油脂ができる」

『できたの?』

『まだこれからだ。火を頼む』

『りょーかーい』

「精製した油脂に特別な水を入れる沸騰させる。この水は、穴の開いた樽の底に藁や枝、石などを入れ灰を被せ水かけ下の穴からできて来たものを使っている。――この混合液を6~8時間およそ半日ほど煮詰めることで液体ジェル石鹸(カリ石鹸)となる」

「液体石鹸ですか……固形だと持ち運びも便利になるのですが……」

「これを固形化するには塩を入れるだけだ。まあ今回はもう一つの鍋で固形石鹸(ソーダ石鹸)を作っているから安心しろ」

 以前作ったことのあるソーダ石鹼のレシピはこんなものだった。
 植物油4に対して精製水1苛性ソーダ(海藻の灰)と牛乳を0.5そこに香油を0.05入れると牛乳石鹼になる。

 香油をハーブに変えることで手間を短縮し香りを加えることができる。
 本当はもっと細かい比率だったが簡素化しているが覚えていてよかった。

「石鹸は高価ですからね。金に生るものが作れるのならそれに越したことはないですよ……」

「石鹸で手や患部を洗うことで病気の予防や悪化することを防げる。せめて屋敷のなかだけでも広めたいものだ……」

 この世界では魔法があるとは言え、風邪で死ぬ危険性も十二分にある世界だ。
 回復魔法に頼らなくてもいいのならその方がいい。

 半日後。

「出来た!」

『あるじ、おめでとう』

「本当ですか!? 使ってもいいですか?」

「その前に湯を沸かしたい……」

 成人男性一人が何とかは入れる大きさの樽に魔法で水を張り魔法で火を付け下から温める。
 異世界風五右衛門風呂だ。
 下に重しを付けた簀の子を二重に強いて掛湯をして体を洗ってから風呂に入らせる。

「あったかくて気持ちいですね……」

「そうだろう? 垢や脂、埃は適度に落とした方が清潔だ。不潔は万病の元だ。

「しかし燃料も水もかなり必要ですよ?」

「だろうな……水汲みは水車でなんとかできるが燃料は……」
 
 黒いビニール袋に水を入れ温めることで節約する番組を見たことがあるから何とかできると思うが……ガラスのような透明度の高いモノが必要になる。

「細かいことはいい今は湯舟を楽しもう」

 ――屋敷。

「それで自分だけ湯に浸かったんですね?」

「……はい」

 蚊の鳴くような小さな声で母の言葉を肯定する。

「従士に聞きましたけど湯は美容にもいいそうですね?」

「……はい」

「優しいエルなら用意してくれるわよね?」

「私にも用意してくれるよね?」

「…………はい」

『あるじ、げんきだして……テケリもてつだうから……』

 こうして俺は母と姉の風呂の準備をさせられる。

「石鹸は全身を洗ってもいいのよね?」

「もちろん。ただ顔を洗う際には良く泡立てて短い時間で流して、石鹼は脂や垢などの汚れを取り除くけど洗いすぎても逆に悪いので……」

「分かったわ……ねえ? 美容にいいものがあれば教えてくれないかしら?」

美容系は知識が薄いんだよなぁ~石鹸にも活かせるしアレ作るか……

「ええ、こんどやってみます」

「期待してるわよ」
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