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第12話 勉強と決意
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エルの母親であるマーザは二人の子供を書斎の椅子に座らせる。
本来なら貴族や金持ちの子女教育は家庭教師に勉学を習う。
この場合の家庭教師とは児童に、読み書き算盤の基礎教育を施す者である。
通常任期数年の仕事であるため、神官や学者、貴族や金持ちの子供それから書生などが行う臨時職である。
しかし貧乏騎士爵家にそんなもの雇える訳がない。
つまり騎士家の近しい者しか教える者はいないのだ。
そうして母マーザに白羽の矢がたったのだ。
「じゃあ、マリンは昨日の課題の続きを、エルは文字を覚えましょうこれが文字の基本で組み合わさって言葉になっているの」
母は俺を膝の上に乗せると文字が書かれた紙を見せ一文字ずつ読み上げ復唱させる。
「よくできました」
一通り読み上げると頭を撫でる。
「まずはこれを覚えてからよ?」
「もう覚えた」
母が指さす文字を読み上げると……
「ホントにおぼえてる……次は算数よ」
さきほどと同じように数字を見せられもう一度諳んじる。
前世の記憶がある俺は、もちろん数字どころか計算もできる。
「次は足し算よ!」
基本から教えようと、モノを用意して数を覚えさせようとしてた母親だったが、数を数えるどころか足し算もすらすら答える姿には姉のマリンも一緒になって驚いていた。
「エルは神童かも知れないわ……!」
「凄いわエル! 天才ね!」
マリンは弟の頭の良さに手放しで喜んだ。
嫉妬や妬みは全くなくいつも優しい姉の姿だった。
「それほどでもないよ~」
「歴史を学びましょう」
「歴史ですか?」
母と姉に褒められなんでもないことに得意げな表情を浮かべていた俺だが、歴史という言葉を聞いて緩みきっていた表情は引き締まる。
実学には殆ど役に立たない分野だが前世から好きな科目だった。
日本史よりも世界史が好きだった。
理由は漢字が書けなかったから、日本史や中国史は似た漢字や書くのに難しい漢字が多すぎて正直言って嫌いだ。それに出来事の規模と世界に与えて来た影響が一番大きいからだ。
知らない世界の知らない歴史を一から学ぶのはゲームのフレーバーテキストを読むような面白さを感じる。
「基本的には国史という本に記載されている公式な国の歴史と地方史とよばれるこの辺りのことだけがかかれた本それと家史の3つの本でで学んでもらうことになるわ」
それからは、俺は国の歴史とステップド騎士爵家の歴史を集中的に学んだ。
学んだ事を簡単に説明すると、ステップド騎士爵家は古代の大帝国の帝室に連なる家系だと言う。
大帝国の皇子が降下し土着しやがて苗字が領地の名前となるころ……更に幾つかの家系に分かれたようでそのころには領土を分割し相続するようになり、細切れになっていったそのころに産まれたのがステップド家らしい。
源平かよ。
まあ家史と呼ばれる家の歴史を纏め書き記した本に書かれているだけなので疑わしい限りだが……しかしその記載に真実味を持たせているのは、ステップド騎士爵家の保有する魔力量が極めて多いことだ。
そして現在の国の王を助けたことで好条件で臣従し、騎士として認められた経緯がある。
とは言っても末端の貴族まで国が面倒を見られる訳がないそのため、現在は辺境伯の家臣のような立場にある。これを「寄り親寄り子制」と言うよう。
「寄り親寄り子制」は日本で言う「御恩と奉公」に近い制度で、辺境伯の要請には絶対服従する代わりに、領土の保有と自治統治を認められ利権が増えれば分配されたり、災害などの際には金を貸してくれたり援助してくれる……互助会・派閥のようなものだ。
俺が産まれて直ぐに辺境伯の要請で出陣しため、家計は火の車状態でステップド家の財政が困窮している。
理由は戦争で得るモノが少なく一番苦しい末端まで金とモノが回って来なかったことにある。
財政を管轄するのは父や家宰それに母だが、領民に優しい性格が災いし金を貸してもあまり取り立てていないようだ。
こんな田舎では債権を買ってくれる徴税請負人ももいないため取り立ては、当家が持つ数少ない常備兵力兼デスクワーカーの従士が担うことになる。
幸い帳簿を付ける習慣があるため取り立てはできるが取り立てる相手の金がない。
それを前々から知っていた俺はこのままではステップド家は破綻すると確信し、金を取り立てるために農業と手工業製品の開発と普及に着手した。
そして取り立てを開始する。
本来なら貴族や金持ちの子女教育は家庭教師に勉学を習う。
この場合の家庭教師とは児童に、読み書き算盤の基礎教育を施す者である。
通常任期数年の仕事であるため、神官や学者、貴族や金持ちの子供それから書生などが行う臨時職である。
しかし貧乏騎士爵家にそんなもの雇える訳がない。
つまり騎士家の近しい者しか教える者はいないのだ。
そうして母マーザに白羽の矢がたったのだ。
「じゃあ、マリンは昨日の課題の続きを、エルは文字を覚えましょうこれが文字の基本で組み合わさって言葉になっているの」
母は俺を膝の上に乗せると文字が書かれた紙を見せ一文字ずつ読み上げ復唱させる。
「よくできました」
一通り読み上げると頭を撫でる。
「まずはこれを覚えてからよ?」
「もう覚えた」
母が指さす文字を読み上げると……
「ホントにおぼえてる……次は算数よ」
さきほどと同じように数字を見せられもう一度諳んじる。
前世の記憶がある俺は、もちろん数字どころか計算もできる。
「次は足し算よ!」
基本から教えようと、モノを用意して数を覚えさせようとしてた母親だったが、数を数えるどころか足し算もすらすら答える姿には姉のマリンも一緒になって驚いていた。
「エルは神童かも知れないわ……!」
「凄いわエル! 天才ね!」
マリンは弟の頭の良さに手放しで喜んだ。
嫉妬や妬みは全くなくいつも優しい姉の姿だった。
「それほどでもないよ~」
「歴史を学びましょう」
「歴史ですか?」
母と姉に褒められなんでもないことに得意げな表情を浮かべていた俺だが、歴史という言葉を聞いて緩みきっていた表情は引き締まる。
実学には殆ど役に立たない分野だが前世から好きな科目だった。
日本史よりも世界史が好きだった。
理由は漢字が書けなかったから、日本史や中国史は似た漢字や書くのに難しい漢字が多すぎて正直言って嫌いだ。それに出来事の規模と世界に与えて来た影響が一番大きいからだ。
知らない世界の知らない歴史を一から学ぶのはゲームのフレーバーテキストを読むような面白さを感じる。
「基本的には国史という本に記載されている公式な国の歴史と地方史とよばれるこの辺りのことだけがかかれた本それと家史の3つの本でで学んでもらうことになるわ」
それからは、俺は国の歴史とステップド騎士爵家の歴史を集中的に学んだ。
学んだ事を簡単に説明すると、ステップド騎士爵家は古代の大帝国の帝室に連なる家系だと言う。
大帝国の皇子が降下し土着しやがて苗字が領地の名前となるころ……更に幾つかの家系に分かれたようでそのころには領土を分割し相続するようになり、細切れになっていったそのころに産まれたのがステップド家らしい。
源平かよ。
まあ家史と呼ばれる家の歴史を纏め書き記した本に書かれているだけなので疑わしい限りだが……しかしその記載に真実味を持たせているのは、ステップド騎士爵家の保有する魔力量が極めて多いことだ。
そして現在の国の王を助けたことで好条件で臣従し、騎士として認められた経緯がある。
とは言っても末端の貴族まで国が面倒を見られる訳がないそのため、現在は辺境伯の家臣のような立場にある。これを「寄り親寄り子制」と言うよう。
「寄り親寄り子制」は日本で言う「御恩と奉公」に近い制度で、辺境伯の要請には絶対服従する代わりに、領土の保有と自治統治を認められ利権が増えれば分配されたり、災害などの際には金を貸してくれたり援助してくれる……互助会・派閥のようなものだ。
俺が産まれて直ぐに辺境伯の要請で出陣しため、家計は火の車状態でステップド家の財政が困窮している。
理由は戦争で得るモノが少なく一番苦しい末端まで金とモノが回って来なかったことにある。
財政を管轄するのは父や家宰それに母だが、領民に優しい性格が災いし金を貸してもあまり取り立てていないようだ。
こんな田舎では債権を買ってくれる徴税請負人ももいないため取り立ては、当家が持つ数少ない常備兵力兼デスクワーカーの従士が担うことになる。
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