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第10話洋ゲーや死にゲーだと序盤のマップに最強クラスの武器が落ちていることが多い

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美容室に案内されると直ぐにカットが始まった。
チョキチョキと鋏と櫛で髪がすかれていく……


「ブリーチってしてもいい?」


タケルさんが質問してきた。


「漫画ですか?」

「馬鹿ねブリーチは漂白……この場合は脱色の事だよ。髪を茶髪にしていいのか? って聞いてるの!」


女性向けファッション雑誌から目を離した三ヶ日が訂正を加えてくれる。
鏡越しだから油断しているのか、足を斜めに流した座り方ではなく足をハの字にした座り方をしている。


鏡越しだからって油断して足を崩してるんじゃないよ。スカートならパンツ見えてるんだからな!

て言うかなんで美容室のカット席の後ろに、なぞにある椅子に座ってんの? お前は俺のかーちゃんかよ! と言っていやりたくなったが鋼の意思で俺はグッと堪えていた。このまま「がむしゃら」か「きしかいせい」「じたばた」を打ってやろうか? とさえ思う。


「あはははッ確かに、床屋さんで髪を切っているような子だと耳なじみないよね。俺も好きだよ漫画のブ〇ーチ。俺は大紅蓮氷輪丸が好きかな氷雪系最強なのに名前に紅蓮ってかっこいいよ。って話がそれたね……俺は黒髪でもいいと思うんだけど……茶髪も見てみたいんだよね……やってくれたら俺のお古で良ければ服あげるよ。学生だとあんましお金ないでしょ?」


校則では問題なかったハズである。


「大丈夫ですよ金髪でなければ……お言葉に甘えさせてもらいます」

「ありがとう!」


うきうきとした様子で、鼻歌を歌いながら一端後ろに下がった。おそらく脱色剤などの用意をするのだろう。


「脱色がオッケーって随分と緩い校則なのね」


 パンフレットに書いてあったから、間違いはないだろう。
 この世界では学校の数は大きく減っている。理由は教育者と生徒の数が釣り合っていないからだ。男性の多くが戦争で死亡し当然女性も自ら参戦する方もいた。戦地となったし時には少年兵として、ゲリラ戦をした学生もいたそのため男女比や、人口ピラミッドが少し歪な形となっている。
 だから国公立は統合され、小中以外の学校の数は大きく減っている。多少校則を緩くしたとしても生徒が欲しいと言うのが、どの学校も考えるだから特色が強くなっているのであろう。


「あぁ校則は緩いけど成果を出せって校風なんだ」

「へ、へぇー」

「と言うか今時の高校なら対外オッケーでしょ。女子でもズボン制服がある学校が7割超えたってニュースやってたし……」


 この世界では俺がいた世界よりも早く、ジェンダー格差是正への動きが広まっている。その理由の大半は女性議員の増加と、女性有権者が多いこれに尽きる。また結婚可能な年齢は、男女共に15歳へ引き下げられたが、成人年齢も20から18へ引き下げられたし強姦罪も男女に適用されるようになった。これは減ってしまった労働力と納税者を増やせ国家が言っているとマスメディアが批判し、通称富国法と呼ばれている。

強姦罪は17年に改正され婚姻法や、成人年齢引き下げも18年可決だったがこの世界では、もうすでに施行されている。そういう面で考えれば、いい世の中と言ってもいい。


「そ、それもそうね」


それから約3時間ほどで、パーマと脱色が完了した。


「いいじゃん。やっぱり俺の目に間違いはなかった俺って、モデルみたいな整った顔の子がモデルやるよりも、普通より少し整ってるレベルの子の方が説得力があると思うんだ」

「確かにユタカくんの顔は普通よりは整っている……程度だものね」


なんで微妙な間があるんだ。言葉にしたんだから言い切れよ。地味に傷つくだろ俺のガラスのハートがさ……


「写真とってもいいかな? んで良ければその写真使わせてほしいんだよね……もちろん少しだけ加工させてもらうけど……」

「……」


黙っている俺を見かねて三ヶ日が口を開いた。


「いいんじゃないかしら……私達……と言うかユタカ君はタケルさんのお世話になりっぱなしなんだから、少しぐらいお返しをしても罰は当たらないと思うわよ」

「そうだな構いませんよ」

「助かるわ~~はいコレ」


そう言って差し出したのは紙袋だった。


「約束したでしょ俺のお古だけど、高校生が着るにはちょうどいいと思うんだ。今回のヘアスタイルにも合うものを、セレクトしたから遠慮なく着てってよ」

「ありがとうございます。」

「また来てね……セットは……」

「セットの方法は録画してあるので大丈夫です。今度は友達連れてきますよ」

「そりゃ助かるけどウチ結構するよ?」

「カットモデルじゃだめですか?」

「ぜんぜんいいよ。むしろ歓迎! 他の美容師たちもボウズの時がおおいから助かるよ」


そうして俺はピ・ヴォワーヌを後にした。


「待たせて悪かったな……」


三ヶ日は大したことじゃないと言った様子で。


「構わないわ……私は人形遊びが好きなのよ。だから精々頑張ってねリカちゃん。暇なときに連絡するからポヘやってね」

「へいへい」


そう言って三ヶ日は一足先に、名駅の帰宅ラッシュの列車に消えていった。
俺は少し時間を潰して帰ることにした。



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