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第19話美人な先輩はお節介

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「私は鈴谷馨《すずたに カオル》この鳴涼館の監督生の代表で、先生方と生徒の橋渡しをしているわ。学年は三年生で今回は須藤君の処置についてお話しに来たの。こっちの子は天原杏那《あまはらアンナ》二年生の特待生で、私が面倒を見ている後輩よ」


紹介された。茶髪ツインテールのアンナ先輩は、「よろしくな。こーはい」と挨拶した。


「須藤豊ですよろしくお願いします」

「まず初めにあなたの事は、シズリ先生……あなたの従妹から聞いているわ。プライベートな事は、他の人には話さないから安心して……」

「いえ。必要であれば話して貰って構いませんよ。ありふれた事ですから……」

「そう……他の寮生には、折を見て開示していくわね」


カオル先輩は「いいの?」と言った表情を浮かべるが、構わない。
カオル先輩は俺の表情を見て、「困った子ね」と言った表情をするとアンナ先輩の方を見て、「はぁ……」とため息をついた。


「それで共用スペースについてなんだけど……」


カオル先輩は少し言いずらそうに言葉が言いよどむ。


「……ここは名目上は男女共用の寮になっているけど、実態は事実上の女子寮……共用スペースには大型の薄型テレビやソファー、自動販売機やコンビニエンスストアに学生食堂があるわ……」


確かに寮のエントランスにはホテルのように、多くのソファーなどが設置されており、和気あいあいとした空気になっていた。俺の部屋はエントランスからすぐ横にある場所になり名目上も管理人室となっていて、奥の部屋には監視カメラをモニタリングできる部屋や、外と直接出入りできる搬入口の様な場所もある。


「わかってます……男子がいると気を使うでしょう極力立ち入らない事にします」


アンナ先輩は信じられないモノを見るような眼をしてこう言った。


「いいのか? こーはいは、ここの寮生なのにここの設備を殆ど使えないことになるぞ? 浴場やトイレだって自分の部屋のを使わないといけない……大変じゃないか?」


アンナ先輩の言葉は純粋に俺を心配したモノだった……きっと何かしら思うところがあるだろう……


「別に構いませんよ。俺のワガママの結果こうなったんですから、仕方がないですよ……」

「こーはいは、強いなぁうちは、そんなに強くなれなかったからな……」

「アンナ」

「すいません。カオル先輩」

「はぁ、別にあなたなりに須藤君を思っての言動だと言うことぐらいは、私でもわかっているわ……」


鈴谷先輩とアンナ先輩は俺に何かを重ねているようだ。


「だからね須藤くん。私はあなたの手助けをしたいと思うの……例年新入生が入寮を追える始業式の日には、寮を挙げてパーティーを開くことになっているの良ければ、あなたも参加しない?」

「もちろん。ご迷惑でなければ参加させてください」

「もちろんよ。それと、本来は学年毎にいる監督生や寮長の仕事なんだけど、配達部や業者受け入れの時の立会人になってもらいたいの」


なるほど。皆がやりたがらない事をやるそれだけで、この寮で唯一の男子と言うレッテルも少しは霞むという事だろう。


「構いませんよ。管理室にいますし雑用ぐらいならお安いもんですよ」

「そう言ってもらえるとありがたいわ」


鈴谷先輩は安堵の表情を浮かべた。


「じゃぁカオル先輩。こーはいの引っ越しの荷ほどきの手伝いしますか」


そう言うとアンナ先輩は段ボールを開けた。


「うわぁびっくりした。これゲーミングPCだよな?」


 アンナ先輩は恐る恐ると言った手つきでPCを触る。
 ミドルタワーの外観にアクリル樹脂製のスケルトン部分から見える、LEDライトの発光パーツ、無骨なケーブルと基盤むき出しのパーツが最高にかっこいい。
まるで早すぎた名作。電光超人グリ〇ドマンのオープニングのワンシーンのようだ。


「杏那これって高いの?」

「そりゃ高いですよ! グラボだけでも多分9万ぐらいはしますから。こーはい、ガチすぎだろ……」

「まぁPC関連商品の総額は50万ぐらいですから……」

「うちの作業用PCでも30万行かないからな! こーはい。絶対CGが重いゲームやってるだろ」


作業用PCってこの人何してんだ。


「まぁやってますけど、それ以外にも使いますから少しオバースペックな分には構わないかと……」

「うちの散財も対外だと思ってたけど……こーはいの散財は中途半端に実用的な文責められない。まぁうちの場合はカオル先輩の伝手を使ったりジャンクを使ったりしたから、多少は安くなってるけどな」


そう言いながらPCに巻き付けていたプチプチを剥がして、PCを手際よくセットするアンナ先輩。
ジャンカーはPCの組み立てを何度もやってるから、やはり手際がいい。


「なぁ~こーはい。コイツたまにでいいから借りていいか? 動画の書き出しと化する時にハイスペックの方が早いし描画が高く出力できる」

「別に使ってない時なら構いませんけど……」

「ありがとな。こーはい」

「嫌なら嫌って言わないと、この子は誰にでも甘えるから気を付けてね?」

「ちょっと、カオル先輩!? 酷くないですか? 私だって甘える相手ぐらい選びますよ! こーはいはうちが普段通りに接しても勘違いしなさそうですし!」

「まぁわからなくはないけれど……とは言っても男の子なんだから気を付けた方がいいわ」


そう言うと、鈴谷先輩は開いていた段ボールをそっと閉じると物陰に隠し。
口パクでこういった。

「貸し一つ」


俺はブンブンと首を縦に振ると荷ほどきに取り掛かった。
これ以上ヤバイ段ボールを開けられる訳にはいかないからだ。



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