男女比1：4の世界に転生した社畜～美少女JKに「あなたをリア充にしてあげるから、私をプロゲーマーにしなさい！！」と言われ秘密のレッスンをする

第23話大先輩あらわる

「あら、起きていたの？」


と馨先輩は首を傾げた。
それを見ていたアンナ先輩は、心底「良かった」とでも言いたげな表情で安堵のため息を「ふぅーっ」と吐いた。


「こ、こうーはい。お取込み中でなければ、もう少し早く来てくれると嬉しい……」


と言葉を濁しながら、俺を非難した。
折角アンナ先輩が言葉を濁してくれているが、金属製の扉越しだがハッキリと聞こえていたので今更無用な気使いとしか言えない……。


「それで迎えに来たんだど……」


馨先輩はモデルのように高い身長を生かして、少し背伸びをして俺の背後の玄関を覗き込んだ。


「……」


馨先輩が絶句したことに驚いたのか、アンナ先輩までもがぴょこぴょこと跳ねて背後の玄関を覗き見る。


「こーはい。女子寮に来ていきなり三人でって……こーはい。お前プレイボーイだったんだな……」

「あ、アンナダメよ男の子なんだから、そういう欲望の一つや二つあって当然じゃないかしら……まぁソレにしたって入寮早々三人で……っていうのは手が早すぎるのではないかしら……」


ダメだ。誰も冷静な人間がいない。
誰かここが名目上だけでも女子寮ではないと言う、純然たる事実を今ここで証言してはくれないだろうかと、心の中で俺は助けを求めるものの現実には何の変化も起きない。

すると背後から唯と香の声がした。


「お、お姉ちゃん！？　お姉ちゃん！？　ゆ、優斗君が入学初日それも私達が少し目を離した瞬間に美人の先輩二人が部屋を訪ねてくるような中になってる！？」

「ふふふふッ……私達が見てない数年間と数時間にとんでもない女たらしの男に育ってしまったようね……」

「確かに、三《みっ》ヶ日《かび》さん？　とかの前例もあるからね……」


などと三司姉妹だけの会話で事態が収束した。
そのやり取りを見ていたアンナ先輩と馨先輩が、目配せしながらこっちを見て来た。


「せっかくだし……あなた達も一緒にお夕飯を食べに行かないかしら？」


と馨先輩が提案してくれた。


「えっ！？　いいんですか？」

「唯わるいわよ……」


と美人なお姉さんが好きな唯が食いついた。


「取りあえずご飯行きましょうよ……カオル先輩」

「それもそうね……二人とも一緒にお夕飯でもいかが？　ふふふふっ、とーっても良いところよ」


とそういう訳で俺達五人は、近くのレストランで食事をすることになった。



………
……
…



馨先輩が連れてきてくれたのは雰囲気のいいレストランと言った見た目で、煉瓦《レンガ》の化粧板が何枚も張られているような。お洒落なヨーロッパ風の外観のカフェ・レストランと言った外観であった。

うん。今日、三《みっ》ヶ日《かび》桃《モモ》と来たお洒落で女性受けしそうな。ヨーロッパ風の外観をした喫茶店《カフェ》そのものだった。

ここレストランもやってたんだ……


「……」


俺が絶句していると。


「ほら。ボーっとしてないで、ホラ行くわよ」


そう言うと店の木製のドアを開けるとドアの上の部分の鈴がチリンと鳴った。


「いらっしゃいませ。……ってカオルにアンナじゃない……なに今年も一年生を連れてきてくれたのかしら」


20代前半に見える如何にも年上のお姉さんと言った風貌であり、色気と母性と言う相反する属性を持っているのだが……彼女だけが他のスタッフとは違い明らかなメイド服を着ている女性が、先輩達の名前を呼んだ。


「ええ、まぁそうなんです。今年のシズリ枠の生徒です」

「あぁ……うん……そうなんだ……三人とも？」


シズリ枠って何？　文脈を読んで推察する限り、問題のある生徒の総称と言った所であろう。


「いえ。幸い彼だけです」

「あら、男の子の学生なんて珍しい……そうよね流石に受験生相手にこれ以上負担をかけるような真似を、あの人情派がするハズないか……ただでさえカオルは二人掛け持ちしてるものね……」

「それを先輩が言いますか……」


どうやら二人はシズリ枠に関係あるらしい。