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第46話奴隷商説得完了

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 仲間を売れさすれば贔屓にしてやるぞ? と言う甘言を受け入れるか仲間を守る事を考えているのだろう……ここで止めの一撃だ。

「全て報告しろと言っている訳ではない。10知ったうちの2,3を教えてくれと言っているのだ。貴殿が黙殺した分は水に流そうではないか! 無論この話は俺とお前だけの密約だ。」

 コイツがいくら理想を掲げていても、同業の友人はどうだろうか? そいつらを無実にしてやる代わりに他を売れと言う提案にすれば、コイツは乗って来るだろうと言う判断だ。

「――――っ!!」

 丸いドジョウ顔にダラダラと大粒の脂汗を滲《にじ》ませ、言葉にならない声を発し苦悩の表情を見せる。

もう一押しか……

「もし、それでも不安があると言うのなら……貴殿の減刑嘆願げんけいたんがんがある場合のみ、前会長の引退もしくは処刑と罰金で国法による死罪すら誤魔化してみせよう……」

「飲みましょう……」 

 ダラダラとにじませた大粒の汗が、ツーっととあご先に集まり、雫となって落ちる頃には決断の言葉を何とか紡いだ。

「良かった。他の仕事は大々的に奴隷を仕入れて何か起こる・・・・・と内外に示して噂を欲しい。目ざとい奴か俺の動向を注視している奴なら、戦争か開拓だと思って喜んで買いこむだろうな」

 俺は初めから必要以上に金を流すつもりは毛頭ない。奴隷商を潰し金と奴隷をぶんどって、立派な労働力件納税者にするつもりだ。
 奴隷商以外誰も困らないのだから、皆ハッピーだ。

「その通りでしょうな……」

 脂汗をハンカチで拭いながらドジョウ顔の奴隷商は答えた。

「私から一つ、二つ質問してもよろしいでしょうか?」

「なんだ」

「どうしてユーサー様は、公爵位にこだわるのですか? あなたほどの才覚ならどこでもやって行けるでしょうに……」

 確かに4歳の俺がここまでやっているのだ。傍から見たら何でもできるスーパーマンに見えてもおかしくはない。

「愚問だな。古来より本家の予備として機能する分家が正しく機能する事の方が珍しい。私は叔父上や従兄弟達に会った事はないが当家が負ければ、分家設立、他家へ婿入り、修道院送り、追放、暗殺の五つの選択肢しか道は無くなるんだ。出来るうちに対策する方が得策ではないか?」

「確かにそうですな……商人も勝負市も賭ける時には己の進退をかけて大博打をするそれは国も、貴族も変わりないと……」

「その通り、俺はまだ余力がある。余力があり自由に行動できる間に保険を掛けるのは当たり前の事だ。無論家臣達には負ける積りは毛頭ないとは言っているのだが……俺は死にたい訳じゃない。出来る事はするさ……」

 俺は誰にも聞こえない様にボソボソと乾いた声でこういった。

「……もう誰にも奪わせはしない。逆に奪ってやる」

 俺の声に気が付いたのかドジョウ顔の商人は、「何か言いましたか?」と言った。

「嫌何も……では仕事を任せる。
  これは独り言なんだが……道路や河川の工事は融資を集める積りだ。金利は低いが絶対に増えて帰って来る。しかも従来の関所はなく入市税だけにして、商人の流動を活発化させる予定だ。名誉として橋や道路の命名権を販売するつもりもある」

「なるほど……そう言う事ですか……」

 俺の意図に気が付いたようだ。
 こうして気分で入った奴隷商会の会長、コジモ・ボヤジウとの商談は成立し、奴隷たちは後日屋敷に会長であるコジモ自ら届ける事になった。




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