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第27話 転生陰陽師は入学する②
しおりを挟む「あれって……三大宗家の金銀二姫?」
「すげえ有名人じゃん」
「実物は写真の百倍綺麗だなぁ……」
「今夜のオカズは決まったな……」
こちらをチラチラと見ながら、下種な噂話をする声が耳に入ってくる。
(これじゃあ俺がモブ見たいじゃないか……)
「隣にいる男もイケメンよ!」
「美形過ぎる! 王子系って言うのかな?」
「背も高いし、ガッチリしてるし」
「三人とも芸能人?」
「吉田のボンだろ? 門弟だから知ってるよ……」
東京で行われるような『七五三』に参加できる家系は、そう多くないからな一般への認知度が低いのは致し方がない。
二人とも嫌な気分になっているかもしれないと思い、恐る恐る視線を向ける。
「やっぱり私達は有名ね!」
「え?」
「地元から離れた場所だけどみんなが私を知ってる」
「……」
「なんか言ってよ」
「えっと……優越感を覚える?」
「もちろん。そのために頑張っているもの」
「伊吹には敵わないよ」
「あら、もう勝てるつもりでいたの? 私を倒したいなら精進なさい」
「私は東京在住だけどね……(ボソ)」
「抜け駆け女が……(ボソ)」
(たまに出てくるこのギスギス感なんとかなりませんかねー)
「確か校門を入って直ぐの掲示板でクラスを確認して教室に向かうんだっけ? ――」
「――そうよ。湊《ミナト》が偉そうに言ったもの」
「それだと伊吹は教室に行く前に職員室に行って、原稿の確認と言うか読み合わせが必要だよね?」
「あら新入生ね」
声を掛けて来たのは、スラりとした背の高い女性だった。
肩程まで伸びたやや青みを帯びた美しい艶髪の毛先は緩く巻かれており、燦燦と照り付ける陽光の中でも枝毛の一本も見えない。
端正な顔立ち、そして分厚い冬服の上からでも分かる程に、肢体は引き締まっていて健康的な美を感じさせらる。
俺達を “新入生” と言う呼び方から察するに恐らく二年か三年生だろう。
生徒会役員かその手伝いと言ったところだろうか?
(休日だろうにご苦労なことだ)
「はい。そうです」
「このコサージュを胸に付けて置いてね。新入生の目印だから……私が付けてあげる」
そう言うと……俺の胸元まで屈んで安全ピンでコサージュを留める。
シャンプー、リンスいやコロンだろうか? 髪の毛それとも制服? 兎角先輩から漂ってくる甘い良い香りで理性がガンガンと削られて行くのを感じた。
「はい。できたわよあなたも……」
そういうと瀬織の方へ屈む。
内心のもう終わってしまったのかと言う気持ちと、理性が持って良かった。という安堵感で俺の内心は滅茶苦茶になっている。
「胸が大きくて上手く付けられないわね……できた!」
まるで俺の心は割れたステンドグラスのようだった。
瀬織は「やっぱりおっぱいが好きじゃない」。とでも言いたげにジト目でこちらを見ている。
仕方がない。男なんだから……
「改めて、入学おめでとう」
「あ、ありがとうございます」
「さ、早く掲示板を見て来た方がいいわよ。後からクラスに入るとそれだけで注目されるもの」
確かに不用意に目立ちたい訳ではないので先輩の助言には、素直に従おう……
「ご忠告ありがとうございます。では失礼します」
と言って礼をして立ち去ろうとした時だった。
「あ、先輩探しましたよ……生徒会の人達が先輩を探してて……私、どうしていいか分からなくてぇ~~」
どたどたとどんくさい足音を立てて、並みの中学生よりも小さな女性が走り走り寄ってくる。
しかも、ばいんばいんと大きな胸が揺れている。
すると万乳引力の法則によって揺れる胸に視線が吸い寄せられる……
「教えてくれてありがとう。あなたは性格的にコサージュ付けは向いていないと思うから、私と一緒に付いてきて頂戴」
「げっ! 先輩、あたしまた動くんですかぁ」
体躯の小さな女性は、やけにハイテンションで不満を述べる。
「そうじゃないと今以上に色んな所にお肉が付くわよ。それに単位オマケして貰ってるんだから、先生方から文句が出ない程度に働きなさい」
「はーい」
そんなやり取りを見せつけられながら先輩達は目の前から居なくなる。
「凄い先輩だったわ……それになに? あの爆乳……むしろ魔乳だね!」
そう言って自分の豊かな胸に視線を落とした。
(十分大きいと思うけど、バトルマンガのように胸の大きさもインフレしていくのだろうか?)
「あーキャラ立ってたね! あの二人会話から察するにスレンダーな方が三年生でおっきい方が二年生かな?」
「やっぱり見てたのね、このおっぱい星人!」
おろし立ての冬服に身を包んだ少年少女達は、普段は見向きもされないであろう掲示板に群がっている。
「俺のクラスはどこかな~~」
自分の名前を沢山あるクラスの中から探し出すのに苦労していると……
「あ、1組だって……」
俺の隣で鈴が転がるような声がした。
自分の名前を探していたら偶然僕の名前も見つけたといったところだろう。
「瀬織ありがとう。二人はもう自分のクラスは見つけた?」
「何を隠そう私たちも1組なの」
二人は大きな胸を張った。
普通の学校ならは成績を均等にするためクラスを分けると聞いたことがあるけど、俺達の場合は面倒ごとを纏めたとも言うのが適切だろう。
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