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第40話 転生陰陽師と三人娘の本性①
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「到着しました」
自動車のドアを開けると自然に回復することはない強烈な陰の気……瘴気が漂って来る。
現役の陰陽師である俺達にとって、瘴気には慣れたものだ。
しかし俺は眉を顰めた。
瘴気がきつかった訳ではない。
大きな鬼気を感じたからだ。
立て続けに鬼が二体も出現するなんて……何かあるのか?
周囲には東京は思えないほど山と森ばかりで、来た道の方を見れば水で満たされた水田などの田畑が見え、目の前には何時の時代のものか分からないコンクリート造りの廃墟が立っている。
割れたガラスの痕跡さえ残らないほどに風化した建物は、住もうと思えば人間が住めそうなぐらいに立派だった。
「新興宗教団体の拠点の一つだったようですが、現在は人権派を歌う過激派の反政府勢力の支部があるようです」
「……鬼を祓う意味ある?」
伊吹の言葉にドウジである運転手が答えた。
「彼ら全てが鬼になると面倒です。実際アフリカやヨーロッパ、南北アメリカで村一つが禍津日《マガツヒ》の巣になってたなんて話を聞ますし……」
「ああ通称バイオ事件!」
増えた鬼によって修祓に行った魔術師が返り討ちにされたり、何とか返り討ちにしたなんて話をニュースでやっていたことを思い出した。
「リアル レ〇ンさまって呼ばれてるよね」
「聖別済みの銀弾丸とナイフだけで、禍津日《マガツヒ》の巣になった村から脱出したCIAのエージェント! 日本人なら大好きな設定よ……自伝映画も面白かったし2やらないかしら」
「娯楽のためにもう一回奇跡を起きてって言っている!? 完全フィクションならいいとおもうけど」
「私達ならできるけど……」
「魔力のない一般人なんだからせめてもう少し装備整えさせてあげて……」
なんだか不憫に思えてきた。
リアルレ〇ンことヨハン・ジョーギア氏には、退魔刀を吉田家名義で送ってあげよう。破魔の力があれば色々と有用だろう。
「主人公は逆境を跳ね除ける者だよ?」
「だったら俺は主人公じゃなくていい」
「つまんないの……」
「――ッ! 来るぞ!」
俺が呟いた瞬間ドタドタと足音が聞こえた。
音のする方を見ると大型の禍津日《マガツヒ》が三体も接近してきていた。
つい先日戦ったタイプとは異なる牛頭《ゴズ》のような鬼だった。
牛と鬼を合わせたような顔に、ゴリラのように筋肉質な体、身長は数十メートルは余裕で超える大型振りに俺は思わず驚いて、即座に腰に佩した剣に手を掛けるが……
「私達に任せてよ」
湊の言葉で柄から手を離した。
「任せる。怨敵を打ち破れ」
三人はそう言うと魔力を高める。
魔力を纏い体に留める装纏術よりも纏う魔力の出力を上げ可視化された魔力を揺らめかせ、祈願するように言霊を紡ぐ。
「祖たる霊狐・信太妻(葛之葉)「神鳥・八咫烏」よ。末裔たる我に神力を貸し給へ。顕現せよ――」
三人の瞳が怪しく輝いたかと思えば魔力が炎のように揺らめき彼女達の身を包み込むと変身が始まった。安倍一族の二人は大きな金狐と銀狐に、賀茂の血を引く湊は金色の巨烏へと変身を遂げた。
全員が大きさ15メートルを超える巨大な姿に変化し、人よりもずっと神に近いモノ。神使としての“本性”を露わにした。
人間以外の霊的なモノの要素を持つ者を本来『生成り』と呼ぶ。
しかし神や使いの要素を色濃く受け継ぐ者の数は少なく、必然的に禍津日《マガツヒ》に憑かれた者を指す言葉に変化した。
三人の本性は『神使《しんし》』と『導く者』である。
つまり自分よりも上位の人物が命令を出さなければ本気を出すことができない。
だから俺は三人に命令した。
巨大な金狐へと変化した伊吹は魔術と格闘戦で禍津日を押しとどめ。
巨大な銀狐へと変化した瀬織は長い尻尾で敵の攻撃を受け流している。
性格から来る二人の戦闘スタイルの差は興味深く、強力すれば三体程度抑えることは容易い。
「日の神通秘詞による裁きを受けなさい! この神床《かんどこ》に坐《ざ》す掛《かけ》まくも畏《かしこ》き天照皇大神に畏《かしこ》みも白《もう》す。燃ゆる光焔と我が呪う呪詛を以《もっ》て、祓らい給まえ清め給え――」
ほぼ垂直に飛翔した金色の神鳥は、全射程対応漏斗型誘導兵器のように羽根を飛ばし攻撃を始めた。
祝詞の詠唱が進むと同時に地上には天の裁きの如き猛攻が下されていく。
湊の羽根は極上の呪符と同等かそれ以上の効果を持つ。
閃光と爆発が巻き起こりダメージを与えている。
まるで爆撃機による絨毯爆撃だ。
祖神たる太陽神あるいは創生神が遣わした案内人が王の障害、露払いをする程度の力はあって当然といえる。
日之精。すなわち太陽の精霊として聖なる光焔を自在に操り悪鬼羅刹のみを焼き払うことなど児戯にも等しい。
日取りや神仏に捧げる供物、朱粉や朱砂と言った道具、穢れを取り除くといった面倒ごとを無視しできることは強力なアドバンテージを持つ。
創造神である高御産巣日神もしくは、主神である天照大神が直接使わした神(鳥)であると同時に七十二種の護符を司る鎮宅霊符神と同一視される熊野権現の使いであるため強力な呪符として成り立つのだろう。
「噂には聞いていましたが三人とも凄まじい魔力です」
「三人とも血が色濃いが故に化身することができるんです。血や才能だけでなく血の滲むような修行によるところが大きいですが……」
「「金気の大祓!!」」
狐は基本的に金気を帯びた霊獣とされている。
なので女性が帯びる隠の気に属する『水気』や『金気』と相性が良い。
霊狐と化した二人の筆のように膨らんだ尻尾は、まるで剣槍《けんそう》のように鋭さを帯びると、薙刀を振るように禍津日に襲い掛かる。
息の合った二人の攻撃で次々と禍津日を次々と祓っていく……
「三人とも成長したな……」
大怪獣バトルの様相を呈した戦いは、湊の大技で削った後に二人の大技で修祓に成功した。
自動車のドアを開けると自然に回復することはない強烈な陰の気……瘴気が漂って来る。
現役の陰陽師である俺達にとって、瘴気には慣れたものだ。
しかし俺は眉を顰めた。
瘴気がきつかった訳ではない。
大きな鬼気を感じたからだ。
立て続けに鬼が二体も出現するなんて……何かあるのか?
周囲には東京は思えないほど山と森ばかりで、来た道の方を見れば水で満たされた水田などの田畑が見え、目の前には何時の時代のものか分からないコンクリート造りの廃墟が立っている。
割れたガラスの痕跡さえ残らないほどに風化した建物は、住もうと思えば人間が住めそうなぐらいに立派だった。
「新興宗教団体の拠点の一つだったようですが、現在は人権派を歌う過激派の反政府勢力の支部があるようです」
「……鬼を祓う意味ある?」
伊吹の言葉にドウジである運転手が答えた。
「彼ら全てが鬼になると面倒です。実際アフリカやヨーロッパ、南北アメリカで村一つが禍津日《マガツヒ》の巣になってたなんて話を聞ますし……」
「ああ通称バイオ事件!」
増えた鬼によって修祓に行った魔術師が返り討ちにされたり、何とか返り討ちにしたなんて話をニュースでやっていたことを思い出した。
「リアル レ〇ンさまって呼ばれてるよね」
「聖別済みの銀弾丸とナイフだけで、禍津日《マガツヒ》の巣になった村から脱出したCIAのエージェント! 日本人なら大好きな設定よ……自伝映画も面白かったし2やらないかしら」
「娯楽のためにもう一回奇跡を起きてって言っている!? 完全フィクションならいいとおもうけど」
「私達ならできるけど……」
「魔力のない一般人なんだからせめてもう少し装備整えさせてあげて……」
なんだか不憫に思えてきた。
リアルレ〇ンことヨハン・ジョーギア氏には、退魔刀を吉田家名義で送ってあげよう。破魔の力があれば色々と有用だろう。
「主人公は逆境を跳ね除ける者だよ?」
「だったら俺は主人公じゃなくていい」
「つまんないの……」
「――ッ! 来るぞ!」
俺が呟いた瞬間ドタドタと足音が聞こえた。
音のする方を見ると大型の禍津日《マガツヒ》が三体も接近してきていた。
つい先日戦ったタイプとは異なる牛頭《ゴズ》のような鬼だった。
牛と鬼を合わせたような顔に、ゴリラのように筋肉質な体、身長は数十メートルは余裕で超える大型振りに俺は思わず驚いて、即座に腰に佩した剣に手を掛けるが……
「私達に任せてよ」
湊の言葉で柄から手を離した。
「任せる。怨敵を打ち破れ」
三人はそう言うと魔力を高める。
魔力を纏い体に留める装纏術よりも纏う魔力の出力を上げ可視化された魔力を揺らめかせ、祈願するように言霊を紡ぐ。
「祖たる霊狐・信太妻(葛之葉)「神鳥・八咫烏」よ。末裔たる我に神力を貸し給へ。顕現せよ――」
三人の瞳が怪しく輝いたかと思えば魔力が炎のように揺らめき彼女達の身を包み込むと変身が始まった。安倍一族の二人は大きな金狐と銀狐に、賀茂の血を引く湊は金色の巨烏へと変身を遂げた。
全員が大きさ15メートルを超える巨大な姿に変化し、人よりもずっと神に近いモノ。神使としての“本性”を露わにした。
人間以外の霊的なモノの要素を持つ者を本来『生成り』と呼ぶ。
しかし神や使いの要素を色濃く受け継ぐ者の数は少なく、必然的に禍津日《マガツヒ》に憑かれた者を指す言葉に変化した。
三人の本性は『神使《しんし》』と『導く者』である。
つまり自分よりも上位の人物が命令を出さなければ本気を出すことができない。
だから俺は三人に命令した。
巨大な金狐へと変化した伊吹は魔術と格闘戦で禍津日を押しとどめ。
巨大な銀狐へと変化した瀬織は長い尻尾で敵の攻撃を受け流している。
性格から来る二人の戦闘スタイルの差は興味深く、強力すれば三体程度抑えることは容易い。
「日の神通秘詞による裁きを受けなさい! この神床《かんどこ》に坐《ざ》す掛《かけ》まくも畏《かしこ》き天照皇大神に畏《かしこ》みも白《もう》す。燃ゆる光焔と我が呪う呪詛を以《もっ》て、祓らい給まえ清め給え――」
ほぼ垂直に飛翔した金色の神鳥は、全射程対応漏斗型誘導兵器のように羽根を飛ばし攻撃を始めた。
祝詞の詠唱が進むと同時に地上には天の裁きの如き猛攻が下されていく。
湊の羽根は極上の呪符と同等かそれ以上の効果を持つ。
閃光と爆発が巻き起こりダメージを与えている。
まるで爆撃機による絨毯爆撃だ。
祖神たる太陽神あるいは創生神が遣わした案内人が王の障害、露払いをする程度の力はあって当然といえる。
日之精。すなわち太陽の精霊として聖なる光焔を自在に操り悪鬼羅刹のみを焼き払うことなど児戯にも等しい。
日取りや神仏に捧げる供物、朱粉や朱砂と言った道具、穢れを取り除くといった面倒ごとを無視しできることは強力なアドバンテージを持つ。
創造神である高御産巣日神もしくは、主神である天照大神が直接使わした神(鳥)であると同時に七十二種の護符を司る鎮宅霊符神と同一視される熊野権現の使いであるため強力な呪符として成り立つのだろう。
「噂には聞いていましたが三人とも凄まじい魔力です」
「三人とも血が色濃いが故に化身することができるんです。血や才能だけでなく血の滲むような修行によるところが大きいですが……」
「「金気の大祓!!」」
狐は基本的に金気を帯びた霊獣とされている。
なので女性が帯びる隠の気に属する『水気』や『金気』と相性が良い。
霊狐と化した二人の筆のように膨らんだ尻尾は、まるで剣槍《けんそう》のように鋭さを帯びると、薙刀を振るように禍津日に襲い掛かる。
息の合った二人の攻撃で次々と禍津日を次々と祓っていく……
「三人とも成長したな……」
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