146 / 241
こちらお城です。7
城の中庭では、その場にいる者達が、鳥型従魔が奏でる歌声に皆うっとりと聞き入っていた。
高貴な二人に挟まれるように空いた椅子の背もたれに止まり、ときおり左右に揺れながら奏でる囀りに、皆がほうっと聞き入っていたのだ。
その姿は、先ほどまで鳴き散らかしていた怪鳥とは、とても同一とは思えないほどの可愛らしい姿であった。
「まあ、あなたは歌が上手ね?─────これ食べれるかしら?」
「従魔は人が食べれる物は、等しく食せるので大丈夫ですよ」
─────まあ、そうなの?と高貴なお人のお手自ら従魔に一粒大の果物が差し出される。それにきらっと目を輝かせ、図々しくもテーブルの上でウマウマと食べ始める鳥型従魔。
「かわいいわね。‥‥‥‥とても騎士団長の従魔に見えないわ」
「元、ですわよ王妃様。でも、何となく頭が昔のあの人に似てません?」
「─────まあ!。そういえばそうね!」
ホホホホと笑い合う二人に、ぴょんぴょん頭の冠羽を揺らす鳥型従魔。
魔獣は基本恐ろしい。それが一般常識である。見た目に誤魔化されているが、それを「かわいい」という二人は、やはり只人ではないと周りの者達は再認識するのである。
「─────おお、二人ともここにいたのだな」
ややくたびれた三人を共につけ、ご機嫌の男がお茶会に乱入してくる。
「陛下。その様子ですと、砦からの報告はいい知らせだったのですね?」
うむうむ。と頷きながら、己の妻に報告書の『清書』を捧げる。
─────おや?と首を傾げる王妃に、横から宰相が「‥‥‥‥フリートの書が大半でしたので」と付け加えられ、他の三人がお疲れ気味の原因を知る。
「‥‥‥‥大変だったのね‥‥‥‥」
一人だけご機嫌な所を見ると、このお人だけは細かな字を解読と言う名の『清書』作業には参加していないのだろう。
それはさておき、ここ最近の厳しい顔をしていない辺り、かなり良い知らせと察した。
そもそも私は愛しの娘を仕方ないとはいえ、砦に避難させるなど反対だったのだ。
その事で夫であるこの人と、使用人には見えないところで、抗議と言う名の夫婦喧嘩が絶えなかった‥‥‥‥まあ、若かりし頃から付いていた侍女から「一方的な暴行にしか見えません」と忠告は受けたが。‥‥‥‥あの侍女は一体どこで、観察しているのだろう。
─────報告書の中身は驚きの内容であった。
喜ばしい事に、娘にかけられたあの忌まわしい『呪詛』が無事取り除かれた様子。
だがそれに続く報告の内容に、段々困惑の色が濃くなる。
─────膠着状態だったと思われた事態は、一人の旅人が訪れた事により著しく動いたと記されている。
内密ではあるが、国を挙げて解決しようとした事柄が解決までたどり着かなかったのに、一人の人間が現れた事によりすべてが好転に転ずる。─────そんな事があり得るのか?
自分の夫は「これで娘を城に戻せる」と嬉々として喜び浮かれ、この突然現れた「旅人」の異常さに何も疑問を抱いていないらしい。
「そうだ。お主宛に、クリスティーナの手紙が一緒に入っておった」
「そういうのは先にお渡しください!」
王妃とはいえ、自分も人の親。愛しの娘からの手紙は特別枠だ。先ほどまでのの不審事は彼方に吹っ飛び、光速のごとく手紙を奪い取る。早速広げるとそこには文面からも喜びが溢れているのがわかる。愛しの娘からの手紙には嬉々とした文字で溢れかえり、先ほどまでの不信感がそれによって払拭される─────が。文面を追う瞳が、突然カカッと見開かれる。
「‥‥‥‥─────陛下」
「ん?なんだどうした?」
「すぐにでもクリスティーナを城にお戻しください!そしてこの旅人なる者を『国賓』として!『必ず』!同行させるのですっ!」
「え?─────ええ?」
「何をぼうっとしているのですっ!早くするのですっ!」
─────それからこの国で一番偉いお方は、その妻に馬車馬のように働かされたのである。
高貴な二人に挟まれるように空いた椅子の背もたれに止まり、ときおり左右に揺れながら奏でる囀りに、皆がほうっと聞き入っていたのだ。
その姿は、先ほどまで鳴き散らかしていた怪鳥とは、とても同一とは思えないほどの可愛らしい姿であった。
「まあ、あなたは歌が上手ね?─────これ食べれるかしら?」
「従魔は人が食べれる物は、等しく食せるので大丈夫ですよ」
─────まあ、そうなの?と高貴なお人のお手自ら従魔に一粒大の果物が差し出される。それにきらっと目を輝かせ、図々しくもテーブルの上でウマウマと食べ始める鳥型従魔。
「かわいいわね。‥‥‥‥とても騎士団長の従魔に見えないわ」
「元、ですわよ王妃様。でも、何となく頭が昔のあの人に似てません?」
「─────まあ!。そういえばそうね!」
ホホホホと笑い合う二人に、ぴょんぴょん頭の冠羽を揺らす鳥型従魔。
魔獣は基本恐ろしい。それが一般常識である。見た目に誤魔化されているが、それを「かわいい」という二人は、やはり只人ではないと周りの者達は再認識するのである。
「─────おお、二人ともここにいたのだな」
ややくたびれた三人を共につけ、ご機嫌の男がお茶会に乱入してくる。
「陛下。その様子ですと、砦からの報告はいい知らせだったのですね?」
うむうむ。と頷きながら、己の妻に報告書の『清書』を捧げる。
─────おや?と首を傾げる王妃に、横から宰相が「‥‥‥‥フリートの書が大半でしたので」と付け加えられ、他の三人がお疲れ気味の原因を知る。
「‥‥‥‥大変だったのね‥‥‥‥」
一人だけご機嫌な所を見ると、このお人だけは細かな字を解読と言う名の『清書』作業には参加していないのだろう。
それはさておき、ここ最近の厳しい顔をしていない辺り、かなり良い知らせと察した。
そもそも私は愛しの娘を仕方ないとはいえ、砦に避難させるなど反対だったのだ。
その事で夫であるこの人と、使用人には見えないところで、抗議と言う名の夫婦喧嘩が絶えなかった‥‥‥‥まあ、若かりし頃から付いていた侍女から「一方的な暴行にしか見えません」と忠告は受けたが。‥‥‥‥あの侍女は一体どこで、観察しているのだろう。
─────報告書の中身は驚きの内容であった。
喜ばしい事に、娘にかけられたあの忌まわしい『呪詛』が無事取り除かれた様子。
だがそれに続く報告の内容に、段々困惑の色が濃くなる。
─────膠着状態だったと思われた事態は、一人の旅人が訪れた事により著しく動いたと記されている。
内密ではあるが、国を挙げて解決しようとした事柄が解決までたどり着かなかったのに、一人の人間が現れた事によりすべてが好転に転ずる。─────そんな事があり得るのか?
自分の夫は「これで娘を城に戻せる」と嬉々として喜び浮かれ、この突然現れた「旅人」の異常さに何も疑問を抱いていないらしい。
「そうだ。お主宛に、クリスティーナの手紙が一緒に入っておった」
「そういうのは先にお渡しください!」
王妃とはいえ、自分も人の親。愛しの娘からの手紙は特別枠だ。先ほどまでのの不審事は彼方に吹っ飛び、光速のごとく手紙を奪い取る。早速広げるとそこには文面からも喜びが溢れているのがわかる。愛しの娘からの手紙には嬉々とした文字で溢れかえり、先ほどまでの不信感がそれによって払拭される─────が。文面を追う瞳が、突然カカッと見開かれる。
「‥‥‥‥─────陛下」
「ん?なんだどうした?」
「すぐにでもクリスティーナを城にお戻しください!そしてこの旅人なる者を『国賓』として!『必ず』!同行させるのですっ!」
「え?─────ええ?」
「何をぼうっとしているのですっ!早くするのですっ!」
─────それからこの国で一番偉いお方は、その妻に馬車馬のように働かされたのである。
あなたにおすすめの小説
家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る
りーさん
ファンタジー
アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。
その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。
そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。
その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
「子守唄しか能がない女は要らぬ」と追い出された令嬢——3日後、王宮から眠りが消えた
歩人
ファンタジー
リディアは「眠りの歌い手」——声で人の精神を調律し、安らかな眠りに導く宮廷職。
王の安眠、騎士団の心的外傷ケア、外交使節の睡眠管理まで、宮廷の「夜」を支えてきた。
だが第二王子オスカーは嗤った。「子守唄しか能がない女は要らぬ」
リディアが王宮を去って3日後、王宮から眠りが消えた。
誰も眠れない。王も大臣も近衛騎士も。不眠は判断力を奪い、外交を狂わせ、王国を蝕む。
辺境で新たな居場所を見つけたリディアに、王宮から帰還要請が届く。
「おやすみなさい——はもう、言いません」
傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
ハズレスキル『自動販売機』を授かって婚約破棄されましたが、 実は回復薬も魔力食も出せる最強スキルでした
暖夢 由
ファンタジー
十八歳の成人儀式で授かったのは、誰も聞いたことのない《自動販売機スキル》。
役立たずと嘲られ、婚約者レオンには即座に婚約を破棄され、人生が崩れ落ちたように思えた。
だがそのスキルには、食べ物を作り、摂取すれば魔力を増やし、さらに“治癒効果”を付与できるという隠された力があった。
倒れた母を救い、王都の名門・ヴァルセイン伯爵夫人を救ったことで、カミーラは“呪詛”という闇の存在を知る。伯爵邸で出会った炎の力を持つ公爵家次男レグナスとの出会いが、彼女の運命を大きく変えていく。
やがて王都全体に“謎の病”が蔓延。カミーラは治癒スープの炊き出しを行い、人々を次々と回復へ導く。
一方、病の裏で糸を引いていたのは………。
“無価値”と嘲られたスキルが、いま世界を癒し、未来を照らす光となる――。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
社畜おっさん、異世界で子育てはじめました~拾った娘が可愛すぎるので、世界一のパパを目指します~
空月そらら
ファンタジー
A級パーティー『輝きの剣』で、支援魔法と裏方の雑用を一人で完璧にこなしていたガルド(38歳)は、ある日突然、理不尽な追放を宣告される。
前世は過労死した孤独な社畜。
異世界に転生しても報われない日々に絶望し、雨の降る裏路地を彷徨っていたガルドは、そこでボロボロの布にくるまって震えるメリアと出会う。
「おねがいでしゅ……たしゅけて……」
小さな手にすがりつかれた瞬間、ガルドは決意した。
――今日から俺が、この子のパパになる。絶対に守り抜いてみせる、と。
冒険者としての栄光などもういらない。
ガルドは愛娘との温かい生活を手に入れるため、長年隠し続けていた『規格外の支援魔法』と『チート級の生活魔法』を惜しげもなく解放する!
すべては、世界一可愛い娘の笑顔のために。
一方その頃、ガルドという「完璧な生命線」を失ったパーティーは、格下のダンジョンで罠にかかり、まともな野営すらできずにあっさりと崩壊の危機を迎えていたが……。
「パパのシチュー、せかいでいっちばんおいちい!」
「そうかそうか、いっぱい食べろよ」
そんなことはつゆ知らず。
不遇だった最強のおっさんは、今日も愛娘を全力で甘やかし、幸せなスローライフを満喫中!
本の虫な転生赤ちゃんは血塗りの宰相の義愛娘~本の世界に入れる『ひみちゅのちから』でピンチの帝国を救ったら、冷酷パパに溺愛されてます
青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。
藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。
溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。
その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。
目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。
前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。
リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。
アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。
当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。
そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。
ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。
彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。
やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。
これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。