聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん

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こちらお城です。7

 城の中庭では、その場にいる者達が、鳥型従魔が奏でる歌声に皆うっとりと聞き入っていた。

 高貴な二人に挟まれるように空いた椅子の背もたれに止まり、ときおり左右に揺れながら奏でる囀りに、皆がほうっと聞き入っていたのだ。

 その姿は、先ほどまで鳴き散らかしていた怪鳥とは、とても同一とは思えないほどの可愛らしい姿であった。
 
「まあ、あなたは歌が上手ね?─────これ食べれるかしら?」

「従魔は人が食べれる物は、等しく食せるので大丈夫ですよ」

─────まあ、そうなの?と高貴なお人のお手自ら従魔に一粒大の果物が差し出される。それにきらっと目を輝かせ、図々しくもテーブルの上でウマウマと食べ始める鳥型従魔。

「かわいいわね。‥‥‥‥とても騎士団長の従魔に見えないわ」

「元、ですわよ王妃様。でも、何となく頭が昔のあの人に似てません?」

「─────まあ!。そういえばそうね!」

 ホホホホと笑い合う二人に、ぴょんぴょん頭の冠羽を揺らす鳥型従魔。
魔獣は基本恐ろしい。それが一般常識である。見た目に誤魔化されているが、それを「かわいい」という二人は、やはり只人ではないと周りの者達は再認識するのである。

「─────おお、二人ともここにいたのだな」

 ややくたびれた三人を共につけ、ご機嫌の男がお茶会に乱入してくる。

「陛下。その様子ですと、砦からの報告はいい知らせだったのですね?」

 うむうむ。と頷きながら、己の妻に報告書の『清書』を捧げる。

─────おや?と首を傾げる王妃に、横から宰相が「‥‥‥‥フリートの書が大半でしたので」と付け加えられ、他の三人がお疲れ気味の原因を知る。

「‥‥‥‥大変だったのね‥‥‥‥」

 一人だけご機嫌な所を見ると、このお人だけは細かな字を解読と言う名の『清書』作業には参加していないのだろう。
 それはさておき、ここ最近の厳しい顔をしていない辺り、かなり良い知らせと察した。
 そもそも私は愛しの娘を仕方ないとはいえ、砦に避難させるなど反対だったのだ。
 その事で夫であるこの人と、使用人には見えないところで、抗議と言う名の夫婦喧嘩が絶えなかった‥‥‥‥まあ、若かりし頃から付いていた侍女から「一方的な暴行にしか見えません」と忠告は受けたが。‥‥‥‥あの侍女は一体どこで、観察しているのだろう。

─────報告書の中身は驚きの内容であった。
  喜ばしい事に、娘にかけられたあの忌まわしい『呪詛』が無事取り除かれた様子。
 だがそれに続く報告の内容に、段々困惑の色が濃くなる。

 ─────膠着状態だったと思われた事態は、一人の旅人が訪れた事により著しく動いたと記されている。
 内密ではあるが、国を挙げて解決しようとした事柄が解決までたどり着かなかったのに、一人の人間が現れた事によりすべてが好転に転ずる。─────そんな事があり得るのか?
 自分の夫は「これで娘を城に戻せる」と嬉々として喜び浮かれ、この突然現れた「旅人」の異常さに何も疑問を抱いていないらしい。

「そうだ。お主宛に、クリスティーナの手紙が一緒に入っておった」

「そういうのは先にお渡しください!」

 王妃とはいえ、自分も人の親。愛しの娘からの手紙は特別枠だ。先ほどまでのの不審事は彼方に吹っ飛び、光速のごとく手紙を奪い取る。早速広げるとそこには文面からも喜びが溢れているのがわかる。愛しの娘からの手紙には嬉々とした文字で溢れかえり、先ほどまでの不信感がそれによって払拭される─────が。文面を追う瞳が、突然カカッと見開かれる。

「‥‥‥‥─────陛下」

「ん?なんだどうした?」

「すぐにでもクリスティーナを城にお戻しください!そしてこの旅人なる者を『国賓』として!『必ず』!同行させるのですっ!」

「え?─────ええ?」

「何をぼうっとしているのですっ!早くするのですっ!」

─────それからこの国で一番偉いお方は、その妻に馬車馬のように働かされたのである。

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